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「馬鉄」は小岩井農場。

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「馬鉄」??遠い過去のものと思われがちな1馬力の鉄道が、国内にはまだ2箇所残っているのをご存知でしょうか。岩手県の「小岩井農場」と札幌の「北海道開拓の村」の2箇所です。もちろんいずれも実用鉄道ではありませんが、後者が1981(昭和56)年に観光用に再現されたものなのに対し、小岩井農場の方は、昭和30年代まで国鉄駅との連絡に使われていた馬車鉄道の機材を再利用している点が特筆されます。

ご承知の方も多いかと思いますが、小岩井農場は明治時代の政財界の巨頭3人によって創設された近代農場で、牛乳をはじめとした酪農品を普及させる原動力になったことで知られています。「小岩井」の名は、この3人、つまり日本鉄道副社長の小野義真、三菱財閥の岩崎弥之助、鉄道庁長官の井上 勝の苗字の頭文字を一文字ずつ取って名付けられたものです。

1891(明治24)年に創業されたこの農場に、輸送手段として初めて馬車鉄道が敷設されたのは1904(明治37)年、最盛期には橋場線(現在の田沢湖線)小岩井駅から、農場本部を経て育牛部まで6キロ以上の路線が存在していたようです。積荷はもちろん牛乳缶が主で、『トワイライトゾ?ン・マニュアル 5』の広田尚敬さんのグラフ「一馬力の殖民軌道 簡易軌道風蓮線の一日」に見られるような光景が日々展開していたのでしょう。

▲まきば園内でも最も美しい「長者館」(ちょうじゃだて)と呼ばれる草地の中を「馬鉄」がゆく。パカ、パカッとのどかな“走行音”が楽しめるのもここならでは…。’93.8.28
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現在、「トロ馬車」と呼ばれているこの馬鉄は、「羊館」や「牛の乳しぼり」など農場内の動物とのふれあいをテーマにした「まきば園」に400mほどのエンドレスとして敷設されています。往時の馬鉄の終点であった育牛部の東側に位置するので、そのままではないにしても、由緒ある場所ではあります。

わが国最初の私鉄は、1882(明治15)年開業の東京馬車鉄道でした。その後、森林鉄道等も含めると、膨大な数の馬車鉄道が全国に誕生しましたが、最後は恐らく山梨県林務事務所の森林軌道で、何と昭和40年代初頭まで現役でした。つまり、馬車鉄道は実に80年近くも実用動力として日本に存在していたことになります。ちなみに、山の中ならともかく、都市部で馬車鉄道を運行するのはなにかと不都合があったようで、東京馬車鉄道(のちの都電)が早々に電化されたのは、その“糞害”が理由のひとつだったという説さえあります。

最後に、この小岩井農場まきば園の馬車鉄道、4月下旬から11月下旬までの運行で、まきば園入園料のほかに、乗車料金大人400円、子供300円が必要です。残された夏休みの一日、ご家族で訪ねてみては如何でしょうか。

▲この日の牽引機…ではなく牽引馬は「山吹号」。運行途中に突然停車し、ジョージョーとおしっこを始めたのにはびっくり。’93.8.28

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