レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

下津井の忘れ形見。

2008年05月23日 13:03
名取紀之

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▲かなり荒廃してはいるものの、高架下ということもあってか、辛うじて姿を保っているクハ6。1931(昭和6)年日車製の気動車カハ6を電化時に制御車化したもので、外観は鮮魚台付きの気動車そのものである。'00.7.2
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瀬戸大橋をのぞみながら懸命の延命努力を続けていた下津井電鉄が力尽きてから早いもので18年の歳月が流れようとしています。2フィート6インチ軌間の新製電車として注目を浴びた「メリーベル号」落成(1988年)の際は試乗会にもご招待いただき、その昂奮さめやらぬまま本誌新車紹介を編集したのが、つい先日のようです。

shimotui523.2.jpgさて、その下津井電鉄の車輌が山陽新幹線の高架下に保存されているのをご存知でしょうか。「メリーベル号」を含め、最後に残った車輌の多くは今もって旧下津井駅跡に残されているようですが(ただし非公開)、それとは別に鮮魚台付きの制御客車とオープンデッキの木造客車、それに木造ボギー貨車の3輌が瀬戸内市(旧長船町)の新幹線高架下に残されているのです。場所は赤穂線香登駅の西側、国道2号線サービスエリア奥の新幹線吉井川橋梁手前で、一応公園らしいのですが、私が現地に行った8年前の時点ではただ漠然と高架下に置いてある…といった風情でした。
▲山陽新幹線の高架下にひっそりと保存されている3輌の下津井の忘れ形見たち。'00.7.2
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▲ホハフ2は味野町(のちの児島)〜茶屋町間の開業にあたって清水鉄工所で新製された由緒あるボギー客車。デッキ部の手すり類は失われているが、廃車は1958(昭和33)というから、現在まで木造のその姿を保っているのは奇跡的とも言えよう。'00.7.2
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あまり顧みられることもなく高架下に残されているのはクハ6、ホハフ2、ホワ10の3輌。クハ6は僚車クハ5が、ホワ10は同じくホワ6が下津井に残されていると聞きますが、ホハフ2は同形車が他所に残されておらず、下津井創業期の車輌としてのみならず、バッファー・リンクの木造ボギー客車としても極めて貴重な個体です。

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▲木造ボギー有蓋車ホワ10もしっかりとその姿を留めている。アーチバー台車にバッファー・リンク式の連結器とディテールの観察にも好題材だろう。'00.7.2
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訪れてから8年…消息を耳にしないだけにその後を案じておりましたが、最近になって再塗装を施されたとのことで、ちょっとひと安心といったところでしょうか。山陽新幹線に乗るたびに、吉井川を目印に「ちょうどこの下にあの下津井の忘れ形見の3輌がいるはず」と思いを巡らせてしまいます。


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