鉄道ホビダス

2016年12月22日アーカイブ

PIKE'S PEAK 標高4,300mへ。

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▲割れんばかりの激しいブラスト音を響かせて客車を押し上げる4号機。ヴォークレイン複式の1897(明治30)年ボールドウィン製。'92.9.18
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現在、世界で最も高所にある駅は、中国・チベット自治区にある青蔵鉄道タングラ駅で、海抜5,072m。あまりに標高が高いため不用意に下車することは許されず、列車内も気圧調整がなされていると聞きます。ヒマラヤを望むダージリン・ヒマラヤン鉄道のグーム駅(アーカイブ「聖地ダージリンへ」参照→こちら)は、インド最高地点駅というにも関わらず標高は2,257m(参考:わが国の最高地点駅・野辺山駅の標高は1,345m)、ヨーロッパ最高地点駅のユングフラウヨッホ駅でさえ3,454mです。そんななか、タングラ駅には及ばないものの、標高4,000mを超える駅がアメリカ・コロラド州にあります。

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▲MANITOU & PIKE'S PEAK COG RAILWAYの線路縦断面図と平面図。起点のマニトウ・スプリングスの標高は6675.52ft、つまり約2,029mなので、頂上までは2,260mも登ることになる。(Morris W.Abbott著『THE PIKE'S PEAK COG ROAD』より)
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近年は自動車のヒルクライムレースでも知られるコロラド州コロラドスプリングス近郊のロッキー山脈に聳えるパイクスピーク(PIKE'S PEAK)がそれで、標高は14,199ft、つまりメトリックに換算すると4,316mになります。19世紀初頭に探検家のゼブロン・パイクによって紹介されたことから、その名を取ってパイクの頂と名付けられたこの山頂には1890(明治23)年にラックレールを用いた登山鉄道が開業、以来、コロラドの頂上として親しまれてきました。

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▲ひさしぶりのデモ運転を前に麓のマニトウ・スプリングスで給水する4号機(二代目)。後ろに見えるのは静態保存の5号機(1901年BLW製)。駅構内は勾配が緩いため、車体はかなりつんのめって見える。'92.9.18
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このパイクスピークを初めて訪れたのはほぼ四半世紀前の1992(平成4)年のことでした。コロラドスプリングスで開催されたナローゲージ・コンベンションに参加した際、周辺保存鉄道の関連イベントとしてMANITOU & PIKE'S PEAK COG RAILWAYのスチームアップがプログラムされており、さしてその重要性もわからぬまま起点のマニトウ・スプリングスを目指しました。

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▲さすがに蒸機の運転は途中まで。Shady Spring付近を下る4号機。下りは速度も速く乗車していても結構恐怖を感じる。実際、過去にはピニオン・ギアの破断で滑落する事故も起こっているという。'92.9.18
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▲客車内から猛然と押し上げる4号機を見る。ちなみにこの50人乗りのウッド・コーチ"ASPEN"にはしっかりとトイレが付いている点にも注目。'92.9.18
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▲定期気動車列車に続行するかたちでマニトウ・スプリングスを発車する特別列車。左奥の二階建ての建物がマニトウ・スプリングス駅本屋。'92.9.18
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あとから知ったことですが、このパイクスピーク・コグ(COGとは歯車式鉄道を注す米語)で動態保存されている蒸気機関車は4号機1輌のみで、しかもめったに動くことはないとのことで、まさに千載一遇の機会だったのです。

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▲森林限界を超えると、周囲にはまったく樹木がなくなる。さながら月面のような岩陰にはかわいらしいマーモットたちが棲息している。'92.9.18
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▲サイディングでメンテナンスカー№12と交換。GM製エンジンを搭載した自社製(1955年製)のワークカー。'92.9.18
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▲1939(昭和14)年GE製の№9。戦前を代表するなかなか好ましいスタイルの旅客用気動車だが、この時点ではすでにワークカーとなっていた。'92.9.18
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20161221171008-cf5407e0f876e91519233601692cd7e6550336eb.jpgMANITOU & PIKE'S PEAK COG RAILWAYの延長は14.3㎞(軌間は標準軌)。標高4,300mの山頂までを1時間15分ほどかけてスイス製の登山ディーゼルカーが登ります。途中、森林限界を超えると風景が一変し、気温もどんどん下がってくるのが実感されますが、実はこれが大問題。起点のマニトウ・スプリングスで撮影に夢中になり、発車間際のディーゼルカーに飛び乗ったのはよいものの、何とこの車輌、トイレの設備がありません。どういうわけか暖房も入らず、頂上に着く間際は絶景もまったく目に入らぬこととなりました。

▲かつてはこんな猛者(?)もいた。称して"Mile a Minute Scooter"。(Morris W.Abbott著『THE PIKE'S PEAK COG ROAD』より)
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▲初訪問から6年後、再びPIKE'S PEAK山頂を訪れた。当時最新のSLM製18号車が折返しを待っている。'98.9
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その後、6年ほど経ってから再びパイクスピークを訪れましたが、この時は前回の轍を踏まないようにしっかり"準備"をし、標高4,300mへの路を堪能することができました。

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▲ラック分岐器から頂上を仰ぎ見る。写真で見る限りではわからないが、ちょっとでも小走りしようものなら強烈に息が切れる。なんといっても標高は4,300m!'98.9
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さて、来年のナローゲージ・コンベンションは実に14年ぶりにデンバーが開催地となって8月30日から行われます。すでにエントリーをしておりますが、果たしてコンベンション協賛というかたちでパイクスピークのスチームアップが行われるかどうかも気になります。コロラドスプリングスがコンベンション開催地であれば可能性は高いのでしょうが、もう一度あのコグ・レイルのブラスト音を聞いてみたいと、今から淡い期待を抱いています。

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