鉄道ホビダス

初冬の釧路を巡る。(上)

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▲根室を5時30分に出た初発の5624D(左)が釧路に到着する。4番線(右)に停車しているのは5624Dの到着を待って8時18分に発車する根室行き5627D。根室本線釧路~根室間も、先ごろJR北海道が発表した「単独では維持することが困難な線区」(→こちら)とされており、今後が懸念される。'16.11.27 釧路 P:名取紀之
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先週末は釧路市立博物館の創立80周年企画展「釧路・根室の簡易軌道」での「簡易軌道と鉄道遺産講演会」にお招きいただき、1年4ヶ月ぶりに釧路の地を訪れました。

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▲会場となった釧路市立博物館の講堂は満員御礼の盛況ぶり。地元の方ばかりでなく、関東や関西からわざわざ足を運ばれた方も少なくなかった。写真は私の講演。'16.11.26 P:情野裕良
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この「簡易軌道と鉄道遺産講演会」は、簡易軌道研究の第一人者である湯口 徹さんが「北海道殖民/簡易軌道」と題した講演を、続いて私が「唯一無二の地域遺産をどう活かすか~道内・そして全国の事例から~」と題した講演をさせていただくもので、会場は釧路市立博物館の立派な講堂。事前予約制ではないため、果たしてどれほど多くの方にお越しいただけるものかと心配しておりましたが、結果的には満員の大盛況。しかも道内各地はもとより、東京、大阪、さらには遠路福岡から来られた方もおられ、演者の一人としても恐縮することしきりでした。

20161128160614-fb7498aa8038d4223b2165e8534e6b70f21092ad.jpg湯口さんのご講演は殖民軌道の成り立ちからその特殊性、そして車輌や運行に関しての変遷をわかりやすく解説し、後半は昭和30年代に自らが訪ねられた際の、現代では考えられないエピソードの数々を、ユーモアたっぷりに語りかけるものでした。ことに雪裡線と幌呂線の自走客車が原野で続行デッドヒートを繰り広げる鶴居村営軌道や、新車の試運転列車が対向してくる定期ミルク列車と鉢合わせしてまう浜中町営軌道の様子などは、実体験したファンでなければ語ることのできない逸話で、会場の皆さんも身を乗り出さんばかりに聞き入っておられました。

▲「釧路に来るのは概ね60年ぶり」と仰る湯口 徹さん。軽妙な語り口で簡易軌道を巡り歩いた体験談を披露された。'16.11.26 P:奥 清博
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湯口さんが総括されるに、殖民軌道(簡易軌道)とは泥炭土壌地帯の道路の代用として考え出されたもので、一言で言ってしまえば鉄道というよりは道路の変形だったのではないかとのこと。戦後、道庁も北海道開発局もその育成には必ずしも熱心ではなく、一方、鉄道を所管する中央官庁からは最後まで不可侵の関係を保ったことが、他に類例を見ない独自の世界を築き上げていったと言えましょう。

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▲今や伝説の書となった『簡易軌道見聞録』を著者の湯口さん自らが語られるまたとない機会となった。'16.11.26 P:奥 清博
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さて私の方は、ようやく見直し機運が醸成され始めたこの簡易軌道という地域遺産を、それではどうやって利活用してゆくのか、その可能性を、全国各地、さらには海外の事例を含めて解説申し上げました。

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▲続いての私の講演は「唯一無二の地域遺産をどう活かすか」という、むしろ現在、そして将来に軸足を置いたもの。'16.11.26 P:奥 清博
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20161128160731-bfffdb15b68f24bb5b1ea2f612a8d15e9526aae3.jpg会場には実際に簡易軌道が存在した町村の行政関係者、教育委員会、文化財委員の方も多く見えられており、講演後に名刺交換させていただいた際にも、実に力強い感触を得ることができました。一時は保存車輌でさえ荒れるにまかせ、仕舞いには解体の憂き目を見てしまったものが少なくありませんでしたが、この企画展を機に、確実に"潮目"がかわりつつあるようです。
最後の浜中町営軌道が廃止されてから44年。簡易軌道の存在が歴史に埋もれることなく、再び光を放つ日がやってくる...僭越ながら今回の講演がその一助にでもなれば、望外のよろこびです。

▲会場には女性の方も少なくなく、ちょうど100枚のパワーポイント画像も熱心に見ておられたのが印象的だった。'16.11.26 P:奥 清博
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▲マンモスホールで開催されている「釧路・根室の簡易軌道」展のエントランス。会場は決して広くはないものの、簡易軌道に関してこれだけの写真・資料が一堂に集まったことはなく、その密度は圧巻。'16.11.26 P:名取紀之
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▲初出のカラー写真や地元自治体が保管していた文書類が数多く展示されているのも出色。'16.11.26 P:名取紀之
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▲全国のファンに提供を呼びかけたというだけあって、各線別に展示された写真はじっくり見ると数時間は掛かるボリューム。'16.11.26 P:名取紀之
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