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RMライブラリー新刊は『現金輸送車物語-タブーとなったマニ34・30形-』。

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▲EF57に連結され東京駅で発車を待つマニ34 3。窓は内側から鉄板で塞がれ、異様な外観を見せていた。P:鈴木靖人 (RMライブラリー『現金輸送車物語-タブーとなったマニ34・30形-』より)
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今月のRMライブラリーは和田 洋さんによる『現金輸送車物語-タブーとなったマニ34・30形』です。日本銀行所有の現金輸送用荷物車、マニ34・30形の知られざる全貌を詳らかにします。

20161118151025-62b5bad6493a87ea9677ed54c2caecdbcf45eaaf.jpgそもそもマニ34・30形とは、日本銀行が所有し、国鉄線上で運用した現金輸送専用の荷物車です。その任務は、東京にある日銀本店から全国各地の支店へ送る新札の輸送、そして支店から本店へ戻す古札・廃札の輸送でした。この任にはもともと一般の有蓋貨車が使用されており、添乗する日銀職員にとっては過酷な任務であったといいます。しかし戦後の混乱期、インフレにより新札の発行・流通量が激増したことから貨車による輸送では警備上の問題が出てきました。このため日銀が計画したのが専用荷物車の製造で、一旦はGHQに却下されたものの、ちょうどそのころ、強盗団による現金輸送列車襲撃計画が露見したこともあって、結局6輌の専用荷物車の新造が許可されたという経緯があります。

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▲1949(昭和24)年に完成したマニ34形。荷物室の扉にはモハ63形と同じものが使用されている。当初、日銀は20輌の製作を計画したが、GHQ・CTSとの折衝の末、6輌となり、この輌数が最後まで続いた。 (RMライブラリー『現金輸送車物語-タブーとなったマニ34・30形-』より)
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こうして完成したマニ34形は、外観は極力目立たぬように一般の客車に似せて製作されたものの、その一方で前後二つの荷物室は窓を鉄板で塞げるようにして、中央には添乗する日銀職員や警備の警官が乗車する警備室を設けた独特の設計となりました。ちなみに添乗された経験のある方によれば、添乗する職員は荷物室の鍵は持たされていなかったそうで、たとえ途中で強盗が襲撃してきて脅されたとしても、荷物室の鍵を開けることはできないようになっていたのだそうです。

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▲1961(昭和36)年の改造により荷物室の扉は2m幅の両開きに変更された。マニ34・30の前位側には出入台がないため、上野での推進回送で先頭に立つ場合には後位を先頭にする必要があり、尾久客車区ではその向きに気を使ったという。 (RMライブラリー『現金輸送車物語-タブーとなったマニ34・30形-』より)
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さて、マニ34形は誕生から21年目の1970(昭和45)年に「何故か」形式が変更され、マニ30形となりました。そしてこの頃から、当局は次第にこの車輌に関する情報をなるべく公にはしないようになります。国鉄時代、半ば公式資料であった『国鉄車輌配置表』にも1980年を最後に掲載されなくなりました。分割民営化後、弊社が刊行していた『JR全車輌ハンドブック』にも、「JR所有の車輌ではない」という理由でついに掲載することはありませんでした。

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▲1978(昭和53)年に登場した2次車。1次車を置き換えるために50系をベースに製作されたものであったが、形式は継承され、番号も続番とされた。国鉄分割民営化では客車で唯一JR貨物に承継された。 (RMライブラリー『現金輸送車物語-タブーとなったマニ34・30形-』より)
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1978(昭和53)年には50系客車をベースにした事実上の二代目である2次車に代替わりしますが、形式は不変、車号も1次車の続番となりました。おそらく多くの読者の方が馴染みがあるマニ30形はこの2次車の方でしょう。国鉄改革による荷物列車の廃止後もマニ30の運用は続行され、JR貨物がその籍を引き継ぎコンテナ列車に連結する形で運用が続けられました。地方の高速道路の発達により自動車便への切り替えが進み運用が廃止されたのは2003(平成15)年度のことでした。

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▲小樽交通記念館に保存されているマニ30 2012号。左は第1荷物室。パレットの上のケースは「容箱」と呼ばれる現金収納箱だそうで、1箱は実に2億円相当! つまり1輌あたりは数百億円となったはず。P:名取紀之
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本書では、そもそも「なぜ紙幣が運ばれるか」から筆を起こし、マニ34形の製造の経緯から誕生、数度の改造、2次車への代替わり、そして運用終了から保存までを解説します。なにより、実際に添乗された日銀関係者の方々からの聞き取りは、これまで知られることのなかったマニ30・34の実像を浮かび上がらせるもので、客車ファンならずとも必読です。ぜひご覧ください。

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