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山中馬車鉄道 残された2輌の客車。

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▲加賀市歴史民俗資料館(現在は閉館)に保管されていた頃の山中馬車鉄道客車。民家の物置として生き残っていたものだという。'09.9.21
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山中馬車鉄道と聞いてピンとくる方は少ないでしょう。明治時代から大正時代初期にかけて、山中温泉(石川県)への湯治客輸送を目的に、山中村~大聖寺間約8.6㎞を結んでいた馬車鉄道で、わずか14年ほどで改軌・電化(のちの北陸鉄道山中線)されてしまったため、馬鉄時代の記録も絵葉書に残る程度で、決して多くはありません。その山中馬車鉄道の客車がなんと2輌も現存しています。

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▲その内部。唐破風屋根が鉄道車輌としては異色。'09.9.21
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1輌は北陸本線大聖寺駅にほど近い加賀市歴史民俗資料館に保管されており、かれこれ7年ほど前にヘリテージ・オブ・レイル北陸の岩谷淳平さんにご案内いただき見学にうかがいました。聞くところでは、山中馬車鉄道電化後、お隣の片山津馬車鉄道で使われていたものの、こちらも電化で不要となり、近隣の民家が払下げを受け、瓦屋根を架けて物置として利用していたものだそうです

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▲出入口上部には木彫の装飾が施されている。'09.9.21
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▲「大正三年十一月四日」の文字が残るが(左)、いったい何を示しているのだろうか。側窓は一段下降で、一部はまだ機能する(右)。'09.9.21
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▲出入口の外側上部(上)。右は車端部の小さな手すりで(右)、形状からしても当時のものと思われる。'09.9.21
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寺社仏閣を思わせる唐破風屋根が特徴のこの馬車鉄道客車、残念ながら足回りは失われておりますが、軌間が3フィート(914㎜)であったことも特筆されます。明治生まれの木造車体ながら、さすがに瓦屋根を架けて、なおかつ日々物置として使用していたとあって、思ったほど状態は悪くはありません。

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▲加賀市歴史民俗資料館の個体は実測で、車体長2,430㎜、全幅1,540㎜、全高1,830㎜、WB830㎜。'09.9.21
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ところがこの加賀市歴史民俗資料館、その後、閉館してしまったそうで、市役所に電話で問い合わせたところ、客車は市が管理して保管しているが、原則として非公開とのことでした。なお、2011(平成23)年には大聖寺駅待合室で特別展示が行われており、今後、再び見える機会もあるかもしれません。

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▲もう1輌は加賀市動橋小学校の倉庫に保管されていた。唐破風屋根など歴史民俗資料館の個体と共通する部分も多いが、車体長、窓数などが大きく異なる。'09.9.21
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さて、もう1輌が加賀市動橋小学校に保管されています。同じく唐破風屋根を持つ木造車体ですが、全体にこちらの方が状態が悪そうに見えます。出入口上部にははっきりと「9」の標記が残されており、この個体が山中馬車鉄道の9号客車と見て間違いはなさそうです。

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▲動橋小学校保管の客車内部。出入口上部の木彫装飾などは確認できない。'09.9.21
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▲出入口上部の幕板部に「9」の標記が残る(左)。また天井には「山中よしや旅館」の書き込みが残る(右)。前所有者だろうか...。'09.9.21
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▲動橋小学校保管の個体は実測で、車体長2,815㎜、全幅1,530㎜、全高1,790㎜、WB1,120㎜。'09.9.21
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小学校だけにこちらも公開はされていませんが、明治期の馬車鉄道用客車が2輌も保存されているのは類例がなく、2輌ともに加賀市指定文化財となっており、今後なんらかの形で多くの方の目に触れるようになれば...と願っております。
なお、この2輌の客車については『北陸都市史学会誌』2009年7月号に詳しい検証論文(山崎幹泰「山中馬車鉄道株式会社とその客車の遺構について」)が掲載されており、インターネット上でも公開されています。

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