鉄道ホビダス

第12回軽便鉄道模型祭を見る。

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▲昨年、冬の神社とその周辺をテーマとした秀逸なモジュールで注目を集めたOナローモジュールクラブ(ONMC)桜山軽便鉄道の今井貴裕さんの新作モジュールは、がらっと変わって夏の小駅とその周辺。またまた驚愕の完成度。'16.10.9
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先週末は12回目となった「軽便鉄道模型祭」が開催され、多くのナローゲージャーが会場となった東京・人形町の綿商会館に集結しました。今年は初参加となるTOMYTECが新たに立ち上げた1/80スケール・9㎜ゲージの「富井電鉄猫屋線」のエンドレス・レイアウトを出展するなどの話題もありましたが、詳細は『RM MODELS』11月発売号誌面をご覧いただいくことにして、今日は個人的にシンパシーを感じたモデルのいくつかをご紹介いたしましょう。

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▲今井貴裕さんの新作モジュールより、停留場に隣接する農家の庭先(左)。屋根瓦もペーパー製の自作とのこと。駅を出てすぐ渡る小さな川には鯉(?)の姿も(右)。'16.10.9
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▲斜面に根を張らした古木や、苔むした道祖神(左)、さらには畑の傍らのさりげない表情再現(右)も圧巻。'16.10.9
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まず釘づけになったのがOナローモジュールクラブ(ONMC)桜山軽便鉄道の今井貴裕さんの新作モジュールです。今井さんは昨年は冬の神社とその周辺をテーマとした驚くべき作り込みのモジュールを発表されて話題となりましたが、今年は季節が反転してテーマは夏。草いきれのする炎天下の軽便停留場で列車を待つ女性二人の前には、身の丈より高いトウモロコシ畑が広がるというシチュエーション。ひとつひとつ紙を手加工して作ったというトウモロコシや、真鍮線を巧みに使った斜面に絡みつく巨木の根など、そのテクニックとセンスにはまたしても脱帽です。

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▲DMCの大竹尚之さんらはKEMURI PROの作品にインスパイアされて蒸機時代の小坂鉄道の再現に取り組んでいる。まだ完成状態ではなかったものの、大館駅の大モジュールを展示。'16.10.9
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昨年は基隆炭礦専用軌道のモジュールで注目を集めたDMCは、今年はうって変わって小坂鉄道をテーマにモジュールと車輌作品を展示。軽便とはいえアメリカナイズされた小坂鉄道は車輌の大きさも段違いに大きく、大館駅のモジュールでは国鉄線のC10と顔を合わせるシーンも目にすることができました。

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▲おなじくDMCの石井伸明さんは小坂鉄道の車輌をスクラッチするなかでレーザーカットによるペーパー工作のポテンシャルに着目。'16.10.9
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▲レーザーカットしたt0.5のケント紙を4層構造にして客車側面を構成(左)。なんと網目板も同手法で製作している(右)。'16.10.9
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そのDMCのメンバーの石井伸明さんは小坂鉄道の車輌やストラクチャーをスクラッチするなかで辿りついたペーパーのレーザーカット技法を初公開。うかがったところではクラウドファンディングに参加して入手したレーザーカッターのお値段は数万円程度...t0.5のケント紙をマテリアルに客車の側板から機関庫の扉、果ては「これが本当にペーパー?」と目を疑うような網目板まで自在に量産できるのは驚くべきコストパフォーマンスです。先行している3Dプリントと合わせて新時代の到来を目の当たりにした思いがいたします。

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▲四頓☆倶楽部の新井一雄さんは遠近感を強調したギミックを仕込んだ河川改修工事レイアウトを発表。遙か彼方には国鉄キハ11が走る。'16.10.9
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今回の展示のなかでもとりわけ個人的シンパシーを感じたのが、新井一雄さんの河川改修工事レイアウトです。900×600㎜のスペースに1/48、1/87、1/150と3種の異なるスケールを配して遠近感を強調、なおかつ上部には半球状のアクリルドームを被せて空間(空の広がり)を強調する手法は秀逸です。また川は、重機回りの濁りとそれが流れてゆく様子がエポキシ樹脂の着色・多重層・分割流し込みと、固着途中の加工で絶妙に表現されています。

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▲なんと手前に1/48、中程に1/87、奥に1/150と異なる縮尺を配することで小スペースのなかに見事な遠近感を演出している。キュービック状の展示ケースで観賞ポイントを一方向に限定することによってこそなしえるワザ。'16.10.9
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▲とあるローカル線の車窓。眺めるともなく見ていると、橋梁通過の轟音とともに眼下を過ったのは河川改修用軌道。あっと振り返る間もなくその光景は夢幻のごとく後方に流れ去って...インダストリアル・ナローにシンパシーを感じる向きには堪えられない情景。'16.10.9
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この新井さんのレイアウトの全容はいずれ『RM MODELS』でご覧いただくとして、このようなキュービック状の"箱"の中にレイアウトを収め、一方向の窓から覗くようなスタイルは十年以上前からヨーロッパで良く目にする方式(アーカイブ「EXPO RAILの旅」参照→こちら
で、彼の地ではそこにさらに光(時間)、気象、音響、匂いなどを加味して、さながらひとつのドラマを見るような物語を演出しています。

20161011130830-7cb06f58358f1bb7a67435444ca93169b7a8a11b.jpgモデル展示の前日、8日(土曜日)には、これまた恒例となったプレイベント「軽便讃歌Ⅶ」が開催され、今年は弊社カメラマンとして長年にわたって活躍いただいた青柳 明さんによる講演「海外のナローを訪ねて」と、軽便模型創世期から秀作を発表されてきた和久田恵一さんによる講演「私の軽便モデルライフ」が行われました。今春めでたくハッピーリタイアされた青柳さんは、セントルイスで行われた第1回ナショナル・ナローゲージ・コンベンション(NNGC)に参加して以降、いわゆるロッキーナローに入れ込んだ道のりをプロカメラマンならではの美しい写真の数々とともに披露されました。

▲プレイベント「軽便讃歌Ⅶ」の講演に臨まれた青柳 明さん。'16.10.8
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▲第1回ナショナル・ナローゲージ・コンベンション(1980年)に参加された際のエピソードも会場の大きな関心を集めた。何十年か後、海外のナローゲージャーが日本の「軽便鉄道模型祭」での体験を彼の地でこうやって語る日がくるかもしれない...。'16.10.8
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以前にも申し上げましたが、この軽便鉄道模型祭、いまやNNGCやヨーロッパのナロー系コンベンションに決して引けを取らない、それどころか凌駕するものに育っています。インバウンドが時代の趨勢となってきている今、来年はぜひ海外のナローゲージャーの招致を期待したいところです。

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