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岩内線廃止30年を振り返る企画展。(上)

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▲「あれから30年 岩内線廃止とたら丸誕生」展が開催されている岩内町・木田金次郎美術館の企画展示室。P:木田金次郎美術館
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昨年10月に荒川好夫さんの写真展を開催し、荒れ放題だったニセコ駅の転車台を修復する(アーカイブ「荒川好夫写真展"北海道 冬"とニセコ町・有島記念館の取り組み」参照→こちら)などして注目を浴びた北海道ニセコ町・有島記念館の主任学芸員・伊藤大介さんから、岩内線廃止30年の記念企画など、最近の後志地域の話題をお送りいただきました。

20150930132833-02b06b1af0b5ebbfb5ad09441526f2d731412571.jpg大正期の小説家・有島武郎の歩みを紹介する北海道ニセコ町・有島記念館では、この3年間でニセコ駅にある旧新得機関区転車台の動態復元化や殖民軌道真狩線の歴史掘り起こし、鉄道写真家・荒川好夫先生の写真展開催など、鉄道遺産の利活用などに取り組んでいます。
▲企画展展示室奥には「たら丸」の姿も見える。P:木田金次郎美術館
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そして、同じ後志に立地し、有島武郎の代表作「生れ出づる悩み」のモデルである画家・木田金次郎の作品と歩みを紹介している岩内町・木田金次郎美術館でも、現在、鉄道関連事業が行われています。鉄道と無縁と思われる同美術館ですが、実は大変鉄道と深い繋がりがあります。それはこの美術館が旧岩内線岩内駅跡に建ち、またこの美術館の建物は駅がここにあったという記憶を留めるために、かつて駅構内にあった転車台をモチーフに建設され、上空から見ると転車台のように円形の建物になっているのです。

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▲「岩内線廃線跡探訪バスツアー」時に行われたギャラリートーク。12年前、2003(平成15)年に開催された岩内線廃線跡ツアーの模様も展示された。P:木田金次郎美術館
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ちなみに、両館を含む美術館・文学館の5館は「しりべしミュージアムロード」という全国的にも稀なネットワークを構成しており、年1回共同展を開催するなど活発な活動を行っています。また木田・有島両館学芸員とも鉄道を愛する者同士で、仲良しです。

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▲廃止時のさよならマークも展示されている企画展入口。左に立っているのが岩内町の誇るマスコットキャラクター「たら丸」。P:木田金次郎美術館
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木田金次郎美術館「あれから30年 岩内線廃止とたら丸誕生」展の開催
そのような木田金次郎美術館では、現在、「あれから30年 岩内線廃止とたら丸誕生」展が開催されています。今年は国鉄岩内線の廃止から30年という節目にあたることから、岩内町郷土館の企画展や「いわない怒濤まつり」での「さよなら岩内線30年鉄道まつり」といったイベントが開催されましたが、美術館では岡部卓学芸員により町内外で秘蔵されていた岩内線関連の資料が集められ、展示されています。同時に「たら丸」という、岩内線が廃止された1985年に誕生した岩内町名産の魚のタラにちなんだマスコットキャラクターについても合わせて紹介されています。それは、このキャラクターの登場の背景には鉄道廃止により空洞化が懸念される岩内の街を盛り立てたいという、町民の強い意志があったからだそうです。「ゆるキャラ」の嚆矢であるたら丸は、テレビ番組の「ゆるキャラ選手権」に2年連続準優勝したことで、全国的な知名度を得て、いまや町内外で大人気です。

20150930132941-b56a7009d03e021394162fe44483fb90b20aa3fb.jpg今回の展覧会では30年前に役割を終えた「岩内線」と、その直後に誕生した「たら丸」の歩みを、かつて岩内駅があった木田金次郎美術館で振り返ろうとするものです。岩内の歴史を作り、岩内を広くアピールしてきた「岩内線」と「たら丸」。観覧する方にとってその両者の様々な記憶を思い起こす機会となればという強い岡部学芸員の思いがあります。
▲運賃表や発着時刻表など岩内町郷土館所蔵の実物も展示されている。P:木田金次郎美術館
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▲岩内駅で使用された乗車券保管箱やダッチングマシーンなども現物を見ることができる。P:木田金次郎美術館
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展示会場に入り飛び込んでくるのは、岩内線廃止記念のヘッドマークと、小沢駅で用いられていた乗換案内看板です。まさに小沢から岩内線に乗って岩内へ旅立つような感覚になります。中に歩みを進めると、岩内町郷土館所蔵の岩内駅で用いられていた運賃表や時刻表、乗車券保管箱などの備品の数々や開駅50年記念アルバム(木田金次郎さんの署名入)をはじめ、岩内駅に勤務されていた山口賢三さん、渡部清二さんが所蔵されている記念乗車券、貴重な映画やテレビドラマのロケスナップなどが展示されています。

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▲展示室内でのギャラリートーク。熱心に目黒伸廣さんの写真を見る参加者の皆さん。P:木田金次郎美術館
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さらに圧巻なのは、共和町が保存して普段は見ることができない、「小沢」(岩内線が発着した1番線用)、「国富」、「前田」、「西前田」の共和町内各駅駅名標です。そのほか、岩内町の目黒伸廣さんが撮影していた岩内線の写真が展示されています。その作品の中には、この美術館のモチーフとなった転車台で2つ目の9600を手回し回転させる光景などがみられます。このような資料や作品が、旧岩内駅跡に建つ木田金次郎美術館に30年ぶりに「里帰り」したともいえる展覧会です。開催中の会場では、ファンの方をはじめ、岩内町民も多く来場し、展示された資料や作品をみて、当時の思い出話に花が咲いているそうです。
会期は10月18日(日)まで。ぜひこの機会に岩内線を振り返ってみていただければと思います。
※木田金次郎美術館ホームページ→こちら

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