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立山砂防 あのころ。

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▲3列車続行でスイッチバックを下る。当時は安全基準も現在ほど厳しくなく、作業員はヘルメットもなしで無蓋車に乗っていた。'75.9.3
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発売中の本誌「広田尚敬の視線」でご紹介した立山砂防工事専用軌道は、近年紹介される機会がなかっただけに、驚きをもってご覧になられた方も少なくないようです。その解説頁を執筆する際に、かれこれ40年近くも前のネガを引っ張り出してきましたので、今回はその一部をお目に掛けたいと思います。

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▲素掘りのトンネルを潜って続行する。現在のように排ガス対策がなされていなかったため、トンネル内では呼吸を止めねばならないほどだった。'75.9.3
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当時の立山砂防軌道は、本誌解説でもご紹介したように、立山温泉(のちに廃業)への湯治客や登山者の便乗を認めており、朝の千寿ケ原起点には登山姿の一般人もちらほらと見かけました。それだけに発車を待つ構内で写真を撮っていると、運転手から「上がるのか?」(水谷まで乗ってゆくのか?)と声を掛けられることさえありました。

140808n002.jpg私が立山砂防を訪れたのはなぜか9月の初めが多く、1975(昭和50)年からはほぼ毎年9月初旬にこの軌道に乗りに行っていました。現在では厳しく制限されている沿線への立ち入りも、この頃は登山道に準じた扱いで、沿線で撮影しながら上流を目指したことも何回かあります。当時は、ちょうど王滝森林鉄道が運転を終了し、その支線であった鯎川線だけが最後の森林鉄道として注目を浴びていた時期でしたが、なぜか立山砂防に通うファンはそれほど多くなかったようです。
▲当時の人車はドアもないまったくのオープン。断崖絶壁や橋梁ではかなりのスリルだったが、それよりも困ったのは山岳地帯特有の強烈な夕立。一度はびしょ濡れになってしまったこともある。'75.9.3
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▲樺平18段スイッチバック最上段部の展望。この当時はまだ樹木が生い茂っておらず、ことに上段部は禿山状態でこのように展望が利いた。'75.9.3
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▲樺平18段スイッチバックは登りきるまでに30分を要する。最上段付近では谷からの涼風が心地よい。'75.9.3
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1970年代の立山砂防軌道は列車本数も現在よりかなり多く、ことに朝の千寿ケ原の賑わいはたいへんなものでした。当時、巡視用モーターカーはほとんどなく、定期の人車列車や区間列車、貨物列車に混合列車と、次々と発車する機関車牽引列車が一段目のスイッチバックに取りついてゆく様はまさに圧巻で、初めて目にした時は大きな衝撃を受けたのを覚えています。

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▲水谷出張所の賑わい。この当時はここ水谷が軌道終点ではなく、線路は白岩堰堤まで続いていた。続行して発車を待つ酒井C19形の3列車の左には、堀川工機製DLの牽くグランビー列車の姿が見える。'75.9.3
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この当時はスイッチバックの総数も今より多く42段。樺平の連続18段スイッチバックが完成してまだ十年しか経っておらず、その視界展望は驚くべきものでした。残念ながら現在では樹木が伸びてしまい複数の段数を一望できる状況ではなくなり、複数列車を一視野に捉えることも難しくなってしまっています。

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▲酒井C19形がずらりと並んだ千寿ケ原の機関庫。毎朝シャッターが開くと次々とエンジンが掛けられ、庫内はアイドリング音の大合唱となる。'76.9.1
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今回ひしさぶりに細かく取材させていただき、40年前の当時から比べて保安設備をはじめ軌道そのものが驚くべき進化を遂げているのが良くわかりました。しかし、稀に見る過酷な条件下で、世界的にも例のない総計38段のスイッチバックを持つ2フィートゲージ軌道というベースは揺るぎなく、立山砂防工事専用軌道は今もって日本が世界に誇りえる鉄道のひとつに違いないと、あらためて確信したのでした。

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▲1976(昭和51)年訪問当時のフィールドノートに見る起点の千寿ケ原。現在とは庁舎の位置も違いすっかり様変わりしてしまっている。建設省と向かい合うかたちで富山営林署常願寺治山事業所があり、こちらも独自の機関庫を擁していた。
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