鉄道ホビダス

タスマニアの保存鉄道を訪ねて。(下)

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▲1951年スチブンソン製のM形4号を先頭に発車を待つ列車。'14.3 P:谷川雄介
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140601n001.jpgDon River Railway
次にご紹介するのは、Don River Railwayです。この鉄道は、タスマニアの北にある港町Devon Portにあるボランティアによる鉄道保存団体で、その名の通り、町の西側を流れるドン川に沿って河口までの3 kmを走る動態運転線を所有しています。また、車輌基地が博物館になっており、その入場料で動態運転線に乗車することができます。Devon Portはオーストラリア本土からの大型客船Spirits of Tasmania が毎日発着するタスマニアの玄関口なので、この鉄道へのアクセスも良好です。
▲オーストラリア本土からの大型客船Spirits of Tasmania 。'14.3 P:谷川雄介
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▲M形のサイドビュー。ベルペア火室やベアリングを使用した走行部など、戦後生まれのスチブンソン機。'14.3 P:谷川雄介
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さて、この鉄道では毎日、旧型車輌が運行されています。平日は旧型ディーゼル車、日曜日は蒸機が運行されます。ちょうど日曜日に行きましたので、蒸機が運行されていました。毎時ごとの発車で、片道3km、往復30分の小旅行です。

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▲レストア中の1B1タンクは1879年ファウラー製(左)。右の客車は英国メトロポリタン製BA49で、これまた1899年製と19世紀生まれ。'14.3 P:谷川雄介
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博物館に保存されている車輌は、蒸機が11輌、ディーゼル機関車が7輌、レールカーや客車が20輌程度です。 現在は、平日は1944年製の機械式ディーゼル動車DP形22号、日曜は1951年製のパシフィックM形4号が保存運行に用いられています。また、車庫では同形機を含めて数台が動態保存機として整備されていました。

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▲ディスプレーとして展示されているM形3号(右/1951年スチブンソン製)とH形7号(左/1952年バルカン製)。'14.3 P:谷川雄介
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140601n004.jpg乗車したM形は戦後の機関車不足を補うためにタスマニア州政府鉄道が英国に10台発注したパシフィックで、製造は由緒あるロバート スチブンソン社です。この機関車は全長18mなので、日本のC58程度の大きさですが、車輌限界の高さが日本より低いので、全長が長く感じられます。
▲名門スチブンソンの製造銘板。1951年製造番号7424と打刻されている。'14.3 P:谷川雄介
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▲特徴的なM形の輪心スポーク。軸受やロッドにはベアリングが用いられている。'14.3 P:谷川雄介
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140601n011.jpg動輪直径は55インチ (1397 mm)で、輪芯の鋳造スポークが特徴的です。また、ベルペア火室やロングラップ弁、ロッドや全車軸にローラーベアリングが実装されているなど、先進的なカマです。世界中に機関車を輸出していた英国だけに、インドのメーターゲージのYB形と共通設計にして納期やコストを低減したそうです。
▲メジャーをあてて動輪径を実測。'14.3 P:谷川雄介
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140601n015.jpgまた、引退したガーラットの小さな動輪に履き替えた4輌はMA形となりました。この動輪のスポークは途中で枝分かれするY字型(松葉スポークを反転させた感じ)でかなり不思議な形状です。なお、MA形の2号機が動態保存機として復元中です。
▲MA形のスポーク動輪は実に奇妙な形状をしている。'14.3 P:谷川雄介
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▲1944年Waddingtons製というディーゼル動車DP22。平日はこの気動車が充当されている。'14.3 P:谷川雄介
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編成は外見がスハフ43に似た客車(ただし木造)や,モノコックのディーゼルカーに合わせた卵型断面の車輌の混成でした。内装もニス塗り革張りで英国的でした。

140601n005.jpg車庫内で整備中の車輌にも特徴的なものが数多くありました。整備場はボランティアのスタッフによるガイドツアーで見学できます。車庫内で整備済みのガソリンカーはエンジンこそかかるものの、駆動系統が現代の法的な基準に満たさないので、二度と走れないと残念そうに話していました。また、小さな古典的オープン型レールカーも美しく整備されていました。このレールカーは形態が楽しく、Oナローあたりで模型化すれば好ましいかと思いました。
▲Riley Engine製のレールカー(インスペクション・カー)。こちらも1907年製とオールドタイマー。'14.3 P:谷川雄介
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屋外には転車台があり、周囲に多くの静態保存蒸機や客車が留置されています。19世紀のオープンキャブ蒸機から、M形同様に戦後に輸入された大型蒸機まであります。基本的に英国からの輸入ですが、インドなどと同様に英国植民地形をタスマニアの環境に合わせた形態という点で興味が尽きませんでした。
これらの膨大な車輌と保存線をボランティアが管理し、行政のサポートもあって観光資源として認められているのは羨ましい限りです。

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▲博物館にはワークショップも併設されており、数多くの歴史的車輌がボランティアの手によって修復されている。'14.3 P:谷川雄介
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以上の2つの鉄道のほかにも、タスマニアには何か所にも鉄道保存団体があります。実際、車で通った町の博物館に蒸機が保存されていたり、復元された軽便鉄道が月に1回運転される町があったりと、いたる所に鉄道遺産がありました。また、21世紀まで操業していた鉱山がそのまま鉱山博物館となり、水車動力の時代から蒸気動力を経て電気に至るまでの鉱山機械が動態保存されているなど、古い機械に対する文化が強く根付いているように感じました。

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