鉄道ホビダス

2013年10月 4日アーカイブ

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▲スタッフォードバーンのハンスレ・コレクションの一部をご紹介しよう。前補機(?)は1906(明治39)年製の"SYBIL MARY"、本務機は2005(平成17)年製!のその名も"STATFOLD"で、ともにハンスレのロングセラー"Quarry"クラス。前者はハンスレ・エンジン社製だが、後者はハンスレ・スチーム社、つまりはスタッフォード製の新車。'13.9.14 
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それではスタッフォードバーン、というよりもオーナーであるグラハム・リー(Graham Lee)さんとハンスレ・エンジン(Hunslet Engine Company)との日本の感覚とはかけ離れた関係についてご紹介してみましょう。

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▲トランキル№4と同じ"Brazil"クラスのハンスレ1936(昭和11)年製"JOSEPHINE"。ブリティッシュ・アルミニウム社で使用されていたが、現役を引退後、1960年代にサイドタンクに改造のうえ、軌間も2フィートに改軌されて保存された。保存先のDurley Light Railwayが閉鎖されたため、昨年10月にスタッフォードバーンが引き取ってレストアし、今回はその元気な姿をお披露目してくれた。ちなみにゆくゆくは本来のサドルタンクに戻される予定という。'13.9.14 
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数多くの事業を手掛けてこられたグラハムさんは、英国屈指の鉱工業機械サプライヤーで鉄道車輌用車輪などでも実績のあるLHグループ・ホールディングスのチェアマンを務められておられ、その経営戦略の中で2004(平成16)年に他グループの傘下にあったハンスレ・エンジン社とアンドリュー・バークレー(Andrew Barcley)社を買収、その経営権を手中にしました。ハンスレ・エンジンは現在でも世界32か国に代理店を持つ機関車メーカーで、ことに製鉄所用の巨人機(DH60C)など産業用内燃機関車ではつとに有名です。ただ、なによりも1864年(わが国では江戸時代)創業という世界屈指の歴史は代えがたいネームバリューで、グラハムさんが熱心なナローゲージャーであることから、一部にはブランドを目的の買収と誤解されたこともあったようです。もちろん、成長可能性のあるゴーイングコンサーンとして経営戦略の中に組み込んだものであり、買収は決して趣味的なものではありませんでした。

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▲ハンスレ・エンジンの"社用車"1928年製のスチームワゴン"ELIZABETH"。デモ運転ではブラスト音も高らかに走り回っていた。'13.9.14 
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昨年(2012年)、グラハムさんはリタイヤするとともにLHグループをウェスチングハウスを核とする世界屈指の工業グループであるWabtec(米国)に譲渡、これにともなってハンスレ・エンジン社も自動的にWabtecの関連企業となりました。ところがこの譲渡の際、蒸気機関車技術などを分離、新たにハンスレ・スチーム(Hunslet Steam)社を立ち上げて自らの手元に残したのです。つまり、現在世界各地に実用機関車を供給しているのがWabtec傘下のハンスレ・エンジン社、保存鉄道などに蒸気機関車を中心とした技術供与をしているのがグラハムさんのハンスレ・スチーム社という構図となっているのです。

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▲この日は工場はお休みだが、内部を見学することができた。これはレストア中のスチームトラクター(?)のようだ。'13.9.14 
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131002n002.jpgハンスレの買収とあい前後してインドネシアから最後の新製機"TRANGKIL №4"を帰国させたグラハムさんには、もうひとつ壮大な夢がありました。"TRANGKIL №4"の製造番号3902の次、つまりハンスレとして製番3903を新製することです。この夢はさっそく買収翌年2005(平成17)に実現し、1870~1932年にかけて量産されたハンスレの標準機"Quarry"クラス2輌(製番3903・3904)が新製され、1輌はハンスレの創業地"Jack Lane"、もう1輌はその名も"Statfold"と命名されました。
▲工場内の作業机にはハンスレ・エンジン時代からのものと思われる生産図面が広げられていた。'13.9.14 
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▲"Quarry"クラスだろうか、新製途中のボイラと煙室。ハンスレ・スチームはビジネスとして蒸気機関車の新製も請け負っている。'13.9.14 
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現在、ハンスレ・スチームはスタッフォードバーンのみならず、各地の保存鉄道の車輌メンテナンスにも関わり、時として新製機の納入も行っているとのことです。

1864年創業のハンスレのさらに原点は1811年の、かのブレンキンソップからの依頼に、つまり実用蒸気機関車の誕生にまで遡るとされています。もし今そのファミリーツリーを作るとすれば、その後ハンスレが統合していった名だたる機関車メーカー、バークレー(Andrew Barclay)、エーボンサイド(Avonside)、ノース・ブリティッシュ(North British)、ファウラー(John Fowler)、カー・スチュアート(Kerr Stuart)、キッツオン(Kitson)、マニングワードル(Manning Wardle)等々といった名前の先に、ハンスレ・スチームが、そして最後にグラハムさんの名前が記されるはずです。

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▲インドネシアから帰国して間もなく10年。スタッフォードバーンの原点でもある"TRANGKIL №4"は終日快調な走りっぷりを見せてくれていた。'13.9.14 
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