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2013年7月23日アーカイブ

追憶の士幌線貨物。

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▲ダム建設に伴う付け替え区間の新線をゆく。この付近は連続25‰で新線といえども9600にとっては難所であった。画面下に見えるコンクリートアーチ橋が旧線。'74.12.22 黒石平-糠平 P:古村 誠
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現在発売中の『国鉄時代』vol.34では巻頭カラーで齋藤 晃さんによる「士幌線に9600の客レが走った日」をご紹介しています。士幌線は帯広から音更川に沿って十勝平野を北上し、終点の十勝三股までの78.3㎞。比較的早く客貨分離を遂げて1970年代には9600の牽く貨物列車がわずかに運転されているにすぎませんでした(編集長敬白アーカイブ「十勝三股あの頃」参照→こちら)。

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▲小休止する59683〔帯〕。人気のない構内踏切にはあの頃の仲間の姿が...。'74.12.22 P:古村 誠
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齋藤さんの「士幌線に9600の客レが走った日」は当時赴任しておられた帯広で、ロータリークラブの奉仕活動の一環として、間もなく無煙化される士幌線に蒸気機関車の牽く旅客列車を走らせて市内の小学生を招待する話を発端に、その旅客列車の顛末をビジュアルに綴られたものです。

130723n008.jpgこれをご覧になった古村 誠さんから「士幌線は北海道でも一番好きな路線でした」と当時の思い出をお送りいただきました。時は無煙化直前の1974(昭和49)年から1975(昭和50)年にかけて。帯広~上士幌間には一日2往復の貨物列車の設定があるものの、上士幌~十勝三股間は臨時列車の設定で、走るのは月に3日程度。何とも「撮り難い路線」(古村さん)路線でした。
▲キャブを降りる乗務員。この頃は鉄道職員とファンの距離も近かった。'74.12.22 P:古村 誠
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▲終点の十勝三股への最後の勾配に挑む。士幌線は随所に見られるコンクリートアーチ橋が独特の景観を作り出していた。'74.12.22  幌加-十勝三股P:古村 誠
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古村さんがそんな士幌線を訪れたのは1974(昭和49)年12月22日。天気に恵まれ、上士幌から幌加まで仲間同士で割り勘でタクシーをチャーターして追いかけたそうです。当時は高校生だった古村さん、往復は急行「十和田」か「八甲田」の自由席、道内でも毎晩夜行列車の普通席、食事もインスタントラーメンという超緊縮旅行が常で、こんな贅沢をしたのは後にも先にもこの時だけだったとのこと。

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▲清水谷の先のコンクリート橋を渡る下り貨物列車。下り列車に対してはひたすら上り勾配が続く。'74.12.22 清水谷-黒石平 P:古村 誠
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この日この列車の写真を撮ったのは古村さんたち仲間の6名と、帯広在住の方(幌付きのトラックで来ていらっしゃいました)だけだったそうです。無煙化直前にも関わらず、それほどまでに士幌線の貨物列車は影の薄い存在だったことになります。

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▲1975(昭和50)年当時、広尾線の「幸福駅」が大ブームとなり、同じ帯広を起点とする9600路線ながら士幌線を訪れたファンは決して多くない。'74.12.22 P:古村 誠
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次に士幌線を訪れたのは無煙化2ヶ月前の1975(昭和50)年3月20日。「この日は一発勝負で黒石平-糠平間の山に登りました。たしか下の道路から3時間くらいかけて上ったと思います」と古村さん。齋藤さんが記事に書かれた客車列車の話を渡道前に聞いていたという古村さんは、もしかして出会えるかも...と淡い期待を抱かれていたそうですが、残念ながら渡道中に士幌線に客車列車が走ることはなかったそうです。

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▲そしてこれが士幌線最後の訪問時のカット。この5月に重連の9600に牽かれたおわかれ列車が走り、士幌線から蒸気機関車の姿は消えた。'75.3.20 黒石平-糠平 P:古村 誠
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古村さんありがとうございました。士幌線は国鉄分割民営化直前の1987(昭和62)年3月23日に廃止されましたが、タウシュベツ橋梁をはじめとした遺構が北海道遺産に指定されるなど、歴史遺産としての見直しが進んでいます。また、糠平駅跡では「ひがし大雪高原鉄道」と名付けられた足こぎトロッコが人気を集めるなど、新たな取り組みも始まっています(編集長敬白アーカイブ「日本鉄道保存協会総会より」参照→こちら)。この夏休み、ひさしぶりに"古戦場"を訪ねてみるのも良いのではないでしょうか。

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