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『いもこ列車 ~谷地軌道物語~』を見る。

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▲洋館造りの谷地駅(右)や、現存する谷地軌道の社印、さらには竣工式で配られた落雁の型(左)まで収録されているのには絶句...。 (『いもこ列車 ~谷地軌道物語~』より)

近年、鉄道史というよりは地域史のアプローチで失われた鉄軌道の研究に秀逸な成果を上げる例がたびたび見られますが、今回ご紹介する「いもこ列車」こと谷地軌道を掘り下げた『いもこ列車 ~谷地軌道物語~』も、まさに地元ならではの究極の研究成果と言えましょう。

imoko009nn.jpg谷地軌道は現在の奥羽本線神町駅と最上川の水運で栄えた谷地間5.6㎞を結んだ2フィート6インチ軌間の蒸気鉄道で、1916(大正5)年開業、1935(昭和10)年廃止と実際に運行されていたのは20年に満たない短い期間でした。雨宮製5t機が装備していた火の粉止め煙突の形状が里芋の形に似ていたことから「いもこ列車」と愛称された谷地軌道は、わずかな運行期間であったにも関わらず今もって地元・河北町に語り継がれ、河北中央公園に敷設された線路では台湾の渓湖製糖から購入した347号機が動態保存されているのはご存知の通りです。

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▲起業目論見書などの一次資料も細大漏らさず収録されている(右)。左は「いもこ列車」の名前の由来ともなったドラモンド式煙突の略図。 (『いもこ列車 ~谷地軌道物語~』より)

しかし廃止から80年近くを経た鉄道を調査するのは極めて困難で、認可書類や営業報告書などの公文書類が唯一の拠り所といった例も少なくありません。本書を出版された「谷地軌道研究会」は地元の4名の研究者の方が3年ほど前に立ち上げたもので、谷地軌道の発案者でもあり敷設も行った地元の建設会社に段ボール箱3箱分の一次資料が保存されているのを発見、鉄道誘致の動きから起業、輸送状況の変遷、廃止の経緯までを事細かに読み解き、まさにその全容を詳らかにされました。

imoko014nn.jpg谷地軌道で働いた人びとの手記や「いもこ列車の思い出」と題されたオーラルヒストリー集、さらには山形の森林軌道に関しての記述まであり、わずかな営業距離の軌道でこれだけのコンテンツが集められたことに驚きを隠せません。
当初は500部のみを製作したそうですが、申し込みが多く、現在は東京の「書泉グランデ」でも購入することが可能です。A5判334ページの労作で価格は1,500円(税込)。機会があれば一度お手にとってみられることをおすすめします。

▲「いもこ列車」の復活を夢見た青年会議所の努力が実って1988(昭和63)年に蒸気機関車の運転を開始した。 (『いもこ列車 ~谷地軌道物語~』より)

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▲一昨年見学に行った際の復活した「いもこ列車」の庫とデモ走行用の線路。残念ながこの日は動いている姿を見ることはできなかった。'11.7.24
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▲「いもこ」列車の由来を記した説明看板。廃止から80年近い歳月が流れているにも関わらず、谷地軌道がどれほど地元の皆さんに愛されているかがわかる。'11.7.24
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