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「情景作家―昭和のミニチュア」展を見る。(下)

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▲戸塚恵子さんの「台所と居間 昭和30年代」より居間。畳のイグサなど実際のマテリアルに拘った作風はドールハウス作家ならではのもの。'13.4.24
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昨日に引き続き旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で開催されている「情景作家―昭和のミニチュア」展(→こちら)をご紹介いたしましょう。今回、新鮮な驚きとともに拝見したのがドールハウス作家・戸塚恵子さんの一連の作品です。

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▲戸塚恵子さんの作品「くるみべーカリー」(左)と「八百松」(右)。店先の駄菓子や野菜も見事に再現されている。'13.4.24
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▲カラン...と桶の音まで聞こえてきそうな「銭湯」(戸塚恵子さん作品)。敷き詰められたタイルは一枚一枚貼られたもので、その不揃いさが何とも言えない温かみとなって見る者を和ませる。なお、鏡やガラスも実物に拘り、ガラス屋さんに切り出してもらっているという。'13.4.24
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R0021399.jpgいわゆるスケールモデルと異なり、厳密な縮尺には拘泥しないドールハウスの世界ですが、ミニチュアとしては19世紀からの古い歴史を持ち、その原点は1インチスケール(1フィート=12インチを1インチに縮小する)、つまり1/12がベースとなっています。12分の1というとストラクチャーを伴う鉄道模型としては想像を超えたビッグスケールで、編成はもとより車輌そのものを丸ごと"情景"として配置することはとても無理でしょうが、戸塚さんの作品を拝見していると、このスケールでたとえば食堂車の1シーンなどを再現できないものだろうか...と思いを巡らしてしまいます。
▲「台所と居間 昭和30年代」の台所。鍋や食器にいたるまですべて戸塚さんの手作り。'13.4.24
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▲「台所と居間 昭和40年代」より台所。昭和30年代から40年代へ昭和の生活はめまぐるしい変貌を遂げた。炊飯器やポットにまで花柄があるのが時代を象徴している。'13.4.24
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▲同じく「台所と居間 昭和40年代」より居間。白黒テレビに黒電話...同時代体験を持つ者にとってはいつまで見ていても飽きない作品。'13.4.24
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さて、その一方で"昭和のミニチュア"をテーマとしながらも異彩を放つのは諸星昭弘さんの独自の世界です。一番手前に展示されている「ノスタルジックドーナツ」は今回の展示のために製作された新作で、ショーケースにはイメージラフから材料の調達メモまでその製作過程がわかる生々しい記録も展示されており、これも必見です。

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▲ひるがえってこちらは諸星ワールド。「ノスタルジックドーナツ」と名付けられたこの作品は本展に間に合わせるために突貫(?)で製作されたもの。'13.4.24
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▲「ノスタルジックドーナツ」の製作過程が生々しくわかるメーキング資料も展示されている。左の段ボールの切れ端は最初の着想時点での絵コンテで、宅配便が来た際に閃き、そのまま荷物の段ボールに書き留めてしまったとのこと。右は3月29日の日付のある製作メモ。本展が4月2日からなので、驚くべき突貫工事ぶりがうかがい知れよう。'13.4.24
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諸星さんはさらに新作を製作中で、会期中にはもうひとつ新作展示が増える予定だそうです。ちなみに今回の展示は7月21日までと長丁場。5月27日(月曜日)の休館日を挟んで以後の下期には山田卓司さんの作品4点が入れ替え、戸塚恵子さんの作品1点が追加されるなど展示替えも予定されているそうなので、こちらも注目です。

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▲諸星昭弘さんの「空箱レイアウト」(左)と「ノスタルジックランプ ミニ」(右)。世代を超えて笑みがこぼれる作品が諸星ワールドの真骨頂。'13.4.24
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本展を監修された坂本憲二さんが出品された「柿の実のなるころ」も心動かされる作品です。尺貫法に基づく日本の家屋をテーマとしたため、1間(6尺≒1.82m)÷45=約4㎝、6寸角(18㎝)柱÷45=4㎝と割り切りの良い1/45スケールを選択したそうで、「縮尺とは、ある作家にとって非常に重要なものではあるものの、絶対ではなく、博物館の模型でもない限り、作る人、見る人の脳の中にあるイメージをいかにして現実の模型で再現できるか、その一つの方法として存在するものだと私は思う」(解説文より)という言葉も実に含蓄あるものです。

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▲本展の監修をお務めの「さかつうギャラリー」代表の坂本憲二さんも新作を発表。1/45スケールの「柿が実るころ」は620×400㎜のベースに藁ぶき屋根の農家が見事に再現されている。13.4.24
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▲「柿が実るころ」より。スイッチを押すと囲炉裏の炎や軒下の電灯が点灯し、より一層生活感がにじみ出る。'13.4.24
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▲テーマとなった柿の木ももちろん手作り。鉄道そのものは登場しないものの、思わずこんな情景の横に車輌を置いてみたくなる。'13.4.24
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旧新橋停車場 鉄道歴史展示室ではこの企画展に合わせて立派な図録も用意されました。A4判44ページオールカラーの図録には、出展作品の美しい写真の数々のほか、「日本における情景模型について」といった解説も添えられています。価格は900円。なにしろ入場無料ですので、図録を購入しても千円札一枚あれば存分に楽しむことができるこの「情景作家―昭和のミニチュア」展、ゴールデンウィークのおすすめに違いありません。

取材協力:東日本鉄道文化財団 鉄道歴史展示室
(※展示室内は撮影禁止です。)

R0021447.jpg「情景作家―昭和のミニチュア」展 (→こちら
■会場:旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
■交通:JR新橋駅「銀座口」より徒歩5分、都営大江戸線汐留駅徒歩3分
■会期:2013年7月21日(日)まで ※会期中、一部展示替えあり
■休館日:月曜日 ※祝祭日の場合は開館、翌日休館。

▲写真右からご案内いただいた東日本鉄道文化財団の誉田 匠さん、監修をされた「さかつうギャラリー」代表の坂本憲二さん、そして「クラシックストーリー」の山川良一さん。'13.4.24
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■開館時間:10:00~17:00 (入館は閉館の15分前まで)
■入場料:無料
■監修:坂本憲二(情景模型専門店「さかつうギャラリー」代表)
■主催:公益財団法人 東日本鉄道文化財団
■後援:東日本旅客鉄道株式会社
■問い合わせ先:旧新橋停車場 鉄道歴史展示室(TEL:03-3572-1872)

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