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「情景作家―昭和のミニチュア」展を見る。(上)

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▲「情景作家―昭和のミニチュア」展 には鉄道をモチーフとしたもの以外も数多く展示されている。これはドールハウス作家として知られる戸塚恵子さんの作品「駄菓子屋」。素材の質感に拘ったその温かみは見る者を笑顔にさせる。'13.4.24
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旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で4月2日から開催されている「情景作家―昭和のミニチュア」展(→こちら)を拝見してきました。旧新橋停車場は、汐留再開発の際に発掘された国の指定史跡「旧新橋停車場跡」を保護しつつ再建されたもので、一階には常設展示コーナーのほか、南側には短いながらも双頭レールを使った復元軌道も敷設されています(編集長敬白アーカイブ「企画展 動輪が刻んだ時代(とき)開催中」参照→こちら)。

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▲旧新橋停車場 鉄道歴史展示室は都心の真ん中とは思えない静かな空間。通常は見下ろすかたちとなるミニチュアの展示を、今回は目線の高さを意識したポジションとし、さらに照明にも気配りがなされている。'13.4.24
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開館10周年を迎えて企画されたこの「情景作家―昭和のミニチュア」展は、従来の鉄道歴史展示室の企画展とは一線を画す新たな試みで、鉄道のみならずジャンルを超えた「ミニチュア」、しかもハンドメードのミニチュアを通して昭和という時代を再現しようとするものです。

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▲日本の鉄道模型レイアウト史の大きなターニングポイントとなった坂本 衛さんの「摂津鉄道」。1964(昭和39)年作なので、なんと来年で生誕50年となる。レイアウト上の照明も坂本 衛さんご本人が最近LED化されたとのこと。'13.4.24
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▲摂津鉄道の蔵本村。秋の山里をテーマとした一連の作品は多くのモデラーの人生を変えたといっても過言ではない。ちなみに右下に見える農作業小屋は半世紀の歳月で虫に食われて隙間だらけになってしまったそうだが、それがまた良い雰囲気を醸し出している。まさに天然のエージング! '13.4.24
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しかも一般の催事場でのイベントと異なり、鉄道歴史展示室の企画展だけあって実に落ち着いたディスプレーとなっており、ハンドメード・ミニチュアの世界をまさに"堪能"することができます。とりわけ目線の高さを重視した展示台は、逆に子どもを意識していない潔さがあり、静寂の空間で大人の時間を過ごすことができます。

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▲プロモデラーとして幅広く活躍されている山田卓司さんはこの展示に合わせて新作「踏み切り」を出展。フィギュアを登場させないドールハウスの戸塚さんと好対照に、山田さんの作品はフィギュアの表情や仕草が秀逸。'13.4.24
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R0021376.jpg出展作家は4名の方。鉄道模型の世界では知らぬ人のいない「摂津鉄道」の坂本 衛さん、おなじく独自の世界観で鉄道模型を作り続けられている諸星昭弘さん、プロモデラーとしてテレビでもお馴染みの山田卓司さん、そしてドールハウス作家の戸塚恵子さんで、監修をお務めの「さかつうギャラリー」代表の坂本憲二さんの新作も展示されています。
▲「踏み切り」の要はワイヤー昇開式の踏切。実は資料が乏しく、平山城址公園の京王資料館に保存されているものや、鶴見線に唯一残る日本鋳造前踏切などを参考にされたとのこと。'13.4.24
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摂津鉄道の坂本さんは御年78歳。3年前のJAMコンベンションでは「鉄道模型功労者」に選ばれ、エコーモデルの阿部敏幸さんとの特別講演(編集長敬白アーカイブ「JAMコンベンション特別講演より」参照→こちら)の際は私がMCを務めさせていただきましたが、模型製作への情熱はまだまだ燃え盛っておられるようで、会場には製作途中の車輌模型の数々も展示されています。

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▲山田卓司さんの作品「引っ越しの日」(上期展示)。スバル360に無理やり荷物を積み込んでの引っ越しがリアルに、そしてコミカルに描かれている。まるで会話が聞こえてきそうな1シーン。'13.4.24
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▲そしてその中心となっているスバル360は、なんとレジンを磨きだした地色そのものものだそう。クリアも吹かれておらず、その質感たるやまさに実車同様。'13.4.24
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▲ユーモラスなのが山田卓司さんご本人の日常をテーマにした作品「家族」(上期展示)。ご本人が実際使われている工作机をミニチュアにしたもので、その机にはさらにこのシーンの作りかけミニチュアが、そしてその机上にはさらに...と思わず覗き込んでしまう。余談ながら最初は椅子に座るご自身と娘さんだけだったものの、奥様からの申し入れ(?)で3人となったというエピソードも微笑ましい。'13.4.24
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ところで、坂本さん、諸星さんの作品は私たち鉄道の世界にいる者にとっては既知ですが、プラスティックモデルの世界を中心に活躍されている山田卓司さんや、ことにドールハウスの戸塚恵子さんの作品は目にする機会がなく、今回実際に拝見して大きな衝撃を受けました。ドールハウスでは基本的にフィギュアを置かないのがセオリーのようですが、作品には"人気がない"どころか賑わいの声さえ聞こえてくるようです。一方の山田さんの作品はフィギュアの表情が素晴らしく、ともにビッグスケールの魅力を再認識させてくれます。

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▲おなじみ諸星昭弘さんは今回も"諸星ワールド"全開! 写真のノスタルジックボックス(モノクロームな町)は今年の新作で、白黒テレビの画面を除くとモノクロームの町を小さな市電が走るというフォトジェニックな作品。'13.4.24
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▲これが「モノクロームな町」の"画面"。彩色を最低限に抑えてどうやってイメージを再現するかに苦心されたとのこと。'13.4.24
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明日も引き続きこの「情景作家―昭和のミニチュア」展の魅力をお伝えいたしますが、このゴールデンウィークはぜひゆっくりと時間をとって足を向けられることをおすすめしたいと思います。

取材協力:東日本鉄道文化財団 鉄道歴史展示室
(※展示室内は撮影禁止です。)

「情景作家―昭和のミニチュア」展 (→こちら
■会場:旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
■交通:JR新橋駅「銀座口」より徒歩5分、都営大江戸線汐留駅徒歩3分
■会期:2013年7月21日(日)まで ※会期中、一部展示替えあり
■休館日:月曜日 ※祝祭日の場合は開館、翌日休館。
■開館時間:10:00~17:00 (入館は閉館の15分前まで)
■入場料:無料
■監修:坂本憲二(情景模型専門店「さかつうギャラリー」代表)
■主催:公益財団法人 東日本鉄道文化財団
■後援:東日本旅客鉄道株式会社
■問い合わせ先:旧新橋停車場 鉄道歴史展示室(TEL:03-3572-1872)

「摂津鉄道」のストラクチャー照明をLED化されたのは坂本 衛さんご本人でした。情報を訂正して再掲いたします。

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