鉄道ホビダス

銚子電気鉄道は今...。(下)

121215n001.jpg
▲デキ3快走! 齢90歳を迎えても"今なお現役"。矍鑠たる走りっぷりをみせるデキ3。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

銚子電気鉄道と言えば、まず思い浮かぶのがデキ3の存在ではないでしょうか。1922(大正11)年ドイツ・アルゲマイネ製とされる同機ですから、今年はちょうど生誕90年。残念ながら制動装置や保安装置の関係から単独での本線走行はできませんが、車輌としての車籍はしっかりと維持しており、そのため銚子電気鉄道は今では数少ない電気機関車を保有する私鉄の1社ということになります。

121215n020.jpg先日「島秀雄記念優秀著作賞」に輝いた白土貞夫さんのRMライブラリー『銚子電気鉄道』(→こちら)にも詳述されていますが、このデキ3という機関車はなんとも謎の多い車輌で、今もってその来歴は詳らかになってはいません。さきほど「1922(大正11)年製とされる...」と表現したのもそんな理由で、車体内部の錆の中から発見されたという「NR.2538.1922」の小さなプレートから1922年説が有力となっていますが、かつては1923年説もあり、また、ちょうどこの年代のメーカー側のサプライリストが欠落していることもあって、いまだに類推の域を出ないのが実情です。
▲今春ビューゲルからポールへと変更されたデキ3。保存鉄道ならともかく、現役の営業鉄道でポール回しが見られようとは感激! '12.12.15
クリックするとポップアップします。

121215n203.jpg121215n202.jpg
▲直接制御+手ブレーキのみのキャブ内はシンプルそのもの。残念ながらコントローラーは三菱製(KR8形、製番10290)に変わってしまっている。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

前所有者も、ほかならぬ白土貞夫さんが走行部のペンキの下から「沖之山炭礦株式会社」の所有であったことを示す銘板を発見したことから、沖之山炭礦から銚子入りしたのが有力説となっていますが、これまた銚子側の記録には前所有者を確定する資料はなく、車輌竣功図にも「製造所 日本鉄道自動車工業」と記載されているのみです。もちろん日鉄自工はブローカーとして仲介したに過ぎず、沖之山時代の活躍の様子を含め、今後の解明が待たれます。

121215n009.jpg
▲集電ポールが何ともチャーミングなデキ3のプロフィール。補助電源を持たないため前照灯はキャブ内に積んだ自動車用バッテリーで点灯する。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

121215n007.jpg121215n006.jpg
▲「CDK」「デキ3」といった車体側面の切り抜き文字による標記は後年入れられたもの。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

121215n003.jpg121215n004.jpg
▲動輪直径はφ860㎜(WB1200㎜)ながら車体が小さいだけにやたらと大きく見える(左)。キャブ側扉下には1922年製番2538の小さなプレートが付く。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

121215n204.jpg121215n201.jpg
▲主電動機の釣掛け状態を見る(左)。この主電動機は英国ブラッシュ製に換装されている。軸受けはもちろん平軸受(右)。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

今回は銚子電気鉄道さんのご厚意で各部をじっくりと拝見することができました。残念ながら制御器は国産の三菱製に換装されていますが、これは前出書によれば1960年頃のことだそうで、それ以前はAEG製のオリジナルが付いていたはずです。ちなみにAEG製のダイレクトコントローラーは現在でも阪堺電気軌道の我孫子道車庫の入換車TR1(編集長敬白アーカイブ「TR1とTR2 阪堺の"秘蔵っ子"拝見」参照→こちら)で今もって実用されています。

121215n011.jpg
▲2501+2001に牽引されて構内を移動するデキ3。何とも微笑ましい光景。'12.12.15
クリックするとポップアップします。

今年4月にこのデキ3がビューゲルからポールへと変わったのは大きな驚きでした。今回あらためて拝見するに、集電ポールを高く掲げた姿は実に"様になって"いて、たとえ本線を走行することが敵わなくとも、仲ノ町の車庫でいつまでも元気な姿を見せてほしいものです。

※補足情報
小ブログをご覧になったベルリン在住の木村右史さんから、AEGのサプライリストは存在し、以下の記載があるとのメールを頂戴しました。たいへん重要な情報ですので追加させていただきます。
製造年 Baujahr 1922
電圧 Spannung 550 V
納入期日 Lieferdatum 04.09.1922(1922年9月4日)
納入先 geliefert an: H.C. Okura & Co., Osaka, Okinoyama

!cid_271529D6-6D7D-48D7-8618-487FCE089A31.jpg

121119RML160bn.jpg

waga09.jpg

レイル・マガジン

2012年12月   

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.