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2012年12月19日アーカイブ

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▲英国国立鉄道博物館館長記念講演会より。「マラード」号75周年の来年夏には、米国やカナダなど世界各地に現存するA4クラス全6輌が大集合するという。'12.12.18
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本日(12月19日)、鉄道博物館は英国国立鉄道博物館と姉妹提携を結び、復原なって間もない東京駅丸の内駅舎内で姉妹提携調印式が行われました。そしてこれに先立ち、昨日(12月18日)は大宮の鉄道博物館内においてポール・カークマン(Mr.Paul Kirkman)英国国立鉄道博物館館長の記念講演会が行われました。

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▲姉妹提携を記念して鉄道博物館2階スペシャルギャラリー前では「ヨーク・国立鉄道博物館」展が開催されている(1月14日まで)。'12.12.18
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すでにご承知のこととは思いますが、ヨークに本館がある英国国立鉄道博物館は年間70万人以上(シルドンにある分館は約20万人)もの入館者を誇る文字通り世界一の鉄道博物館で、2001年には「年間最優秀欧州博物館賞」も受賞しています。同館の正式な設立は1975年、まさに日本の無煙化とほぼ時を同じくして誕生したことになります。もちろんその前身は1927年にLNER(ロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道)がヨークに設立した鉄道博物館で、たいへん歴史あるものです。保有する実物車輌は実に144輌、そのほか膨大なコレクションや各種資料が収蔵されており、その管理運営は私たちにとっても大きな関心事です。

121218n004.jpgポール・カークマン館長はこの11月に新たに館長に就任されたばかり。文化・スポーツ・メディア省芸術創作産業局局長をお務めになっておられる文化芸術分野のエキスパートでもあります。講演冒頭でのサプライズは、収蔵車輌のなかでも最も有名な機関車の1輌、LNERのA4クラス「マラード」号(1938年に蒸気機関車の世界最速記録203㎞/hを達成)の75周年を記念して、来年7月に世界各地に散って保存されている同クラス全6輌が一堂に会するイベントが計画されているとの発表でした。米国の「ドワイト・D・アイゼンハワー」、カナダの「ドミニオン・オブ・カナダ」も遙か海を渡って里帰りを果たすのだそうですから、英国ファンの熱狂ぶりが今から目に見えるようです。

▲記念講演に臨まれる英国国立鉄道博物館のポール・カークマン館長。'12.12.18
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▲144輌にのぼる所有車輌のうち79輌は保存鉄道をはじめ他の機関に貸し付けているという。法的整備が進めば、今後わが国でも検討に値するスキームだろう。'12.12.18
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しかし、順風満帆に見える英国国立鉄道博物館ですが、やはり数多くの問題を抱えていることも今回の講演で明らかになりました。まずは膨大なコレクションと資料の整理・保存です。あまりに多い収蔵品に整理が追い付かず、不必要な重複を生じてスペース的にも有効活用できない状態が続いていたそうです。そのため学芸員チームにこれらを合理的に整理するための大掛かりな演習を課し、コレクションの一元管理を図るとともに大部分を科学博物館グループのメイン倉庫に移管し、さらにナショナルコレクションのなかで他の博物館や鉄道遺産施設が所有していない資料を貸し出すフローを確立したとのことでした。

121218n007.jpgまた、折しも先週、グレートセントラル鉄道とレスター市議会との提携を発表、レスターにあるグレートセントラル鉄道のターミナルに新たな博物館を作る計画を立ち上げたそうです。ただ、欧州経済危機は英国国立鉄道博物館にも大きな影響を及ぼしており、次期再開発計画「NRM+」は資金面でとん挫したままとなってしまっています。そんな状況にも関わらず、ポール・カークマン館長は実に前向きで、「これまでもそうであったように、ステップ・バイ・ステップのアプローチで、語りたい物語を少しずつ段階的に進めてゆけば、英国国立鉄道博物館は一気ではないにせよ、何年もかけて新しい、生き生きしたものになるはずです」と結んでおられました。

▲実に2000万ポンドを投じて「グレート・ホール」を再開発するという「NRM+」計画。残念ながら現状では資金難でとん挫しているという。'12.12.18
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▲スペシャルギャラリーで開催中の特別展「鉄道開業ものがたり」を視察されるカークマン館長。ほかならぬトレビシックとスティーブンソンの解説パネルの前で記念撮影。'12.12.18
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来訪者の満足度が極めて高く、なおかつ95%が友人や家族にぜひ一度訪れることを勧めてくれるという英国国立鉄道博物館、約275名のボランティア―が実に3万時間に及ぶ労力を提供しているという英国国立鉄道博物館...短い時間ではありましたが、その秘密の片鱗を知ることができた貴重な講演でした。

取材協力:鉄道博物館

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