鉄道ホビダス

2012年12月13日アーカイブ

多度津工場のロ481。

121213n008.jpg
▲準鉄道記念物にもなっている多度津工場のロ481号。二等を示す青帯が巻かれている。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

毎年一回、鉄道の日に一般公開されているJR四国の多度津工場。その工場内に明治期のいわゆる"マッチ箱"客車が保存されています。なにしろめったに見ることのできない保存車輌だけに、実見した方も決して多くないようです。今年の鉄道の日に訪れた宮武浩二さんの写真でこの"マッチ箱"客車、ロ481号をご紹介しましょう。

121213n009.jpg
▲その室内。光り輝く木部の一部にはかつての讃岐鉄道本社の解体部材も使われているという。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

121213n010.jpgこのロ481号は1906(明治39)年鉄道作業局新橋工場製の2等客車で、果たしてどのような経緯で四国入りしたのかは判明していないものの、高知線(現在の土讃本線)須崎~日下間が開業した1924(大正13)年頃にはすでに使われていたとのことですから、かれこれ90年も四国の地で時を過ごしてきたことになります。この客車が幸運だったのは、多くの
"マッチ箱"客車がボギー車の台頭で廃車となるか、さもなくば小私鉄に譲渡されて余命も長らえるも、結局は高度成長期前に廃車されてしまう中で、比較的早期(1933年)に廃車され、以後図書館として利用されてきたことでした。
▲中央部に位置する便所・洗面所。便器は失われていたが、洗面器や金具類は当時のものが残されていたという。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

121213n001.jpg
▲一見するとオリジナルのようだが、足回りはすべて復元で、担バネは鷹取工場製、それ以外は多度津工場で自製したもの。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

1933(昭和8)年、宮内大臣を務めた田中光顕伯の努力でこの客車は土讃本線佐川駅近くの図書館に移設されました。図書館自体は田中伯の雅号である青山をとって「青山文庫」を名乗っており、小振りな木造車体はその名も「列車閲覧室」に好適だったのかもしれません。ただし、残念ながらこの移設の際に足回りはすべて取り払われてしまっています。

121213n005.jpg121213n003.jpg
▲車体標記は現代的なものが書き込まれている(左)。廃車時点ではすでに自連化されていたため、リンク式連結器はレプリカ。バッファーは木工旋盤加工品。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

戦後もこの「列車閲覧室」は多くの人たちに親しまれたそうですが、さすがに老朽化は否めず、青山文庫側は1968(昭和43)年1月に処分方を国鉄四国支社に打診、折しも4年後の鉄道100年に向けての計画を立案中の同支社は、この客車の復元を100年記念の一環に据えることにしました。

121213n002.jpg121213n006.jpg
▲松葉スポークの車輪は多度津工場で仮台車として使われていたものの流用(左)。台枠には「鐵作新橋」の銘板が残る(右)。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

さっそく多度津工場に運び込まれたロ481号ですが、その復元作業は困難を極めたそうです(『鉄道ファン』誌1975年2月号所収「明治の客車「ロ481」復元あれこれ」)。何よりもネックとなったのがすべて失われてしまっていた足回りの復元です。図面・資料もほとんどなく、明治村まで出張調査を行うなど涙ぐましい努力の末に再現されたのだそうです。さらに木工も至難で、オリジナルで使用されている木種が入手困難であったり、別の木種ではソリが出たりで、これまた苦労が絶えなかったと言います。ちなみに一部には元讃岐鉄道本社兼多度津駅舎の階段手すりに使われていた手摺のケヤキ材を小割りにして再利用するなどの配慮もなされています。

121213n004.jpg
▲そのサイドビュー。最大長は7977㎜で、座席定員は24名と記録されている。'12.10.13 P:宮武浩二
クリックするとポップアップします。

かくして復元が完成したのは鉄道100年(1972年)をすっかり過ぎてしまった1974(昭和49)年のことでした。1978(昭和53)年にはEF55などとともに準鉄道記念物に指定されています。

121119RML160bn.jpg

waga09.jpg

レイル・マガジン

最近の記事

2012年12月   

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.