鉄道ホビダス

2012年12月 3日アーカイブ

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▲味楽庵正面に飾られた豆相人車鉄道の復元車輌。JR湯河原駅から湯河原温泉方面に1.7キロほど進んだ道路沿いに位置する。'12.12.1
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先週末は伊豆で会合があり、その行きがけに以前から訪ねてみたいと思っていた湯河原の「味楽庵」さんにお邪魔しました。和菓子処として賑わっているこの「味楽庵」さんは、地元の豆相人車鉄道の復元とその利活用に熱心に取り組んでおられ、店頭には復元された人車が展示されています。

121201n002.jpg一昨年年末には根府川近くの「離れのやど 星ケ山」で復元された豆相人車をご紹介いたしましたが(編集長敬白アーカイブ「甦った"豆相人車鉄道"」参照→こちら)、「味楽庵」の人車はそれよりかなり以前に製作されたもので、この西湘地域が人車鉄道を介して町おこしに取り組むそもそものきっかけとなったものだそうです。
▲湯河原駅方の歩道から見た人車。通りがかりの人はこれが鉄道車輌だとは思わないだろう。'12.12.1
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▲豆相人車鉄道には上等、中等、下等の別があり、定員は5~8名、1輌につき車夫2~3名が担当したという。'12.12.1
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復元人車は車体裾部が絞られたタイプをモデルとしており、驚くほど小さく、実見するとあらためて人車鉄道の特殊性を思い知らされます。現代的感覚ではこの車体に車夫数人が取りついて運行することに何のメリットがあったのかと首を傾げますが、それまで駕籠で約6時間を要していた小田原~熱海間を2時間も短縮して約4時間にしたと伝えられますから、それなりの効用はあったことになります。いずれにせよ、豆相人車鉄道はわずか十年ほどで"へっつい"(編集長敬白アーカイブ「"へっつい"と呼ばれた機関車たち」参照→こちら)の導入によって動力化されて、人車鉄道としての幕を閉じます。

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▲その側面と正面。側面腰板部には豆相人車鉄道の社紋が再現されている。'12.12.1
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ただし、最急勾配は40‰と厳しく、いかに屈強な車夫数名をもってしても、時としては肝心の乗客を降ろして、さらには乗客にも手伝わせて乗り越えねばならなかったそうですから、その感覚はまさに駕籠や荷車の延長線上だったと言えましょう。

〔訂正〕RMライブラリー『へっついの系譜』の著者でもある湯口 徹さんからたいへん興味深いご指摘をいただきましたので、下にご了解を得てご紹介させていただくとともに上記内容を訂正させていただきます。
きつい坂では乗客を降ろし(中等客)、或いは手伝わせる(下等客)というのは、ほぼ伝説化していますが、『鉄道史料』109号所収の高山拡志氏「豆相人車鉄道・熱海鉄道の成立と展開過程」で、いずれも真実ではないことが綿密に考証されています。当時として極めて高額な運賃であり、歩かしたり、押させたりしたはずがないこと、仕事を失った人力車等の営業妨害虚言が元で、それを面白おかしく新聞等が書いたものが伝説化し、その後考証されることなく引き写し続けられて定説化したと思われ、鉄道忌避伝説に類したものでありましょう。

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▲軒下のリング状の紐(左)は蛇行時に車夫が踏台に乗った際に掴まるもの。車内はただ長手方向の椅子があるだけで実に簡素。'12.12.1
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豆相人車鉄道の軌間は2フィート(609㎜)ですが、復元人車は500㎜ゲージ。その点は少々残念ですが、限られた資材の中で復元されたことを思うとやむを得なかったのかもしれません。ちなみに実測によるホイールベースは820㎜、車輪径はφ300㎜でした。

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▲味楽庵では「人車もなか」も売っている。人車型のパッケージに入っているのは車輪を模したつぶあんの最中。お店では小田原商工会議所の発行しているA3四つ折りの「豆相人車鉄道 温泉夢物語」(画面右)という立派なカラーパンフレットももらえる。'12.12.1
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この「味楽庵」さんの復活人車は地元のイベント等に出張して運転されることもあり、これまでにもテレビをはじめとした各種メディアに取り上げられているそうです。
ところで、この豆相人車鉄道の"活躍"に負けじと、千葉県でも人車復活の動きがあります。現代を生きる人車...明日は今週末に行われる千葉県大多喜町での人車復活のイベントをご紹介いたしましょう。

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