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駒形石灰 再訪。

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▲駒形石灰工業の構内で保存されている加藤製4.8t機(1961年製)。キャブ部分にはテント式の屋根が設けられている。'09.7.21
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現在発売中の本誌3月号(№342)では、トワイライトゾ~ン Specialと銘打って田中義人さんの駒形石灰工業専用軌道訪問記をご紹介しております。

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▲構内にはグランビー鉱車(右)も残されていた。ちなみに僚機3.5tGLは埼玉県鳩山町の公園に保存されている。'09.7.21
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駒形石灰工業の2フィート軌道は、日鉄鉱業羽鶴専用線(アーカイブ「1080搬出の記録」参照→こちら)や住友セメント栃木工場専用軌道(アーカイブ「住友セメントの"カブース"たち」参照→こちら)など数々の軌道がさながら"魔境"を形成していた葛生にあっても、とりわけ魅力的なナローでした。路線距離は600mほどと短いものの、土埃をあげて未舗装の併用軌道を走り、民家の軒先をかすめ、火の見櫓の下を回りと、そのシチュエーションはまさに模型ジオラマ。田中さんの訪問記はその魅力を見事に伝えてくれています。

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▲田中義人さんのフォトジェニックなグラフで綴る「一度きりの邂逅 ―駒形石灰専用軌道―」。本誌最新号(№342)誌面より(一部)。
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私がこの駒形石灰専用軌道を初めて訪ねたのは、田中さんの一年前の1974(昭和49)年のことでした。一部は『トワイライトゾ~ンMANUALⅡ』(1993年)でもご紹介しておりますが、この時点ですでに東武側線山菅1号荷扱所のホッパーを使った砕石輸送は終了しており、軌道の余命は長くなさそうな気配でした。

120131n005.jpg住友セメント専用軌道の訪問を終え、帰りしなにここ駒形に立ち寄った田中さんは、ラッキーなことに1往復の製品輸送列車に遭遇、歩くような低速の列車を追いつ追われつ撮影されましたが、結局この1往復が田中さんにとって最初で最後の邂逅となってしまったそうです。しかし、この当時の状況を振り返ってみると、1往復だけでも遭遇できたのは幸運以外のなにものでもなく、私も2回目の訪問時にはついに一度も動く列車に出会えない不運に見舞われています。
▲工場を出ると併用軌道となり、列車はガソリンスタンド脇をすり抜けるように走っていた。現在は、スタンドがあったと思しき地点には葛生原人出土跡の碑が建つ。'09.7.21
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▲ハイライトであった火の見櫓(画面左奥)の下を通る区間は生活道路としてその痕跡を留めている。右の家屋も軌道時代のまま。'09.7.21
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営業鉄道と異なり、この軌道が果たしていつ運転を止めたのか定かではありません。少なくとも田中さんが訪れた1975(昭和50)年中には使われなくなってしまったようで、この年の7月に私が訪れた際にはすでに休止状態となっていました。さらに1976(昭和51)年5月に念のためにと訪れた時には、すでに軌道は撤去されてしまっており、2輌の機関車も工場裏手の資材置き場に並べられているような状況でした。

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▲田中さんのレポートの表紙写真が撮影された地点。撮影方向が180度逆で、道幅も拡幅されているが当時の家屋(左奥)は健在。'09.7.21
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▲人家の軒先をかすめるように進んだ軌道(手前の小路)は、山菅荷扱所(画面前方)の構内へと入って行った。'09.7.21
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▲画面前方の塀の脇を通った軌道は、ささやかな逆勾配に苦しみながら山菅1号荷扱所を目指す。田中さんのレポート(上掲ポップアップ参照)写真と比較すると、塀や左の建物など変わっていないのに驚かされる。'09.7.21
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それから30数年、別件で葛生を訪れた際に再訪したのが今回お目に掛ける写真です。葛生の町自体もかつての賑わいを失ってしまったようで、クラッシャーやベルコンの音が絶えなかった山菅荷扱所跡もすっかり静まり返っていました。それでも軌道跡を辿るとそこかしこにあの日の面影を見つけることができ、しばし2フーターの忘れ得ぬ思い出に浸ることができました。

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