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東急車輛がJR東日本へ...。

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昨日午後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)から毎日配信されてくるプレスリリースに編集部は騒然となりました。表題に「東急車輛製造株式会社の鉄道車両製造事業の経営権取得について」とあるではないですか。時を同じくして東京急行電鉄株式会社からも「子会社の事業の譲渡に関するお知らせ」がリリースされています。

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▲東急車輛製造「新造車両10,000両の歩み」パンフレットより。ページをめくるごとに記憶に残る車輌たちがずらりと並ぶ。
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リリースによると、東急電鉄は、東急車輛製造の鉄道車輌事業を来年4月1日(予定)をもって、今後設立予定の東急電鉄の完全子会社の「鉄道車両新会社」に吸収分割し、JR東日本は翌日、来年4月2日(予定)で「鉄道車両新会社」の全株式を東急電鉄から取得し、JR東日本の完全子会社とする、というスキームです。新会社の商号については、経営権取得までの間に決定する予定と発表されており、伝統ある「東急車輛製造」という名称は、残存する不動産を保有する会社として存続するものの、車輌メーカーとしては途絶えることとなります。

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▲横浜製作所正門横に展示された東急車輛産業遺産第2号の東急デハ7052。言うまでもなく日本におけるオールステンレスカーのパイオニアである。現在は第3号として佐久間レールパークから移設された0系新幹線の前頭部も加わっている。 '09.8.27 P:RM(高橋一嘉)
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東急車輛製造㈱は1948(昭和23)年の設立。実際にはそれより以前、1946(昭和21)年に現在の横浜市金沢区にあった旧海軍航空技術廠支廠跡地に東急横浜製作所を興して、戦時中のいわゆる大東急下で疲弊した800輌にもおよぶ電車・貨車の修繕を開始したのが発端でした(RMライブラリー『東急碑文谷工場ものがたり』参照→こちら)。また、関西地区では名門・梅鉢鉄工所をルーツとする帝国車輌工業を引き継いだ大阪製作所を擁し、東急電鉄のみならず国内外の多くの鉄道事業者に先進的な車輌を供給し続けてきました。カルダン駆動台車の開発や、アメリカのバッド社とのライセンス契約によるオールステンレス車輌の生産など、その技術的挑戦は枚挙に暇がありません。

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▲横浜製作所の敷地の前身である海軍航空技術廠支廠の表札と、錨の紋章が入ったマンホールの蓋(左)。ステンレスカーとともにバット社との提携により誕生した「パイオニヤIII形」台車のパンフレット(右)。(「パイオニア」ではないところに注意)。どちらも横浜製作所歴史記念館内に保存されている。 '09.8.27 P:RM(高橋一嘉)
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▲東急車輛から旅立っていった数々の車輌や台車に取付られた歴代の銘板。今後、台車の形式である「TS」はどうなるのだろうか...。 '09.8.27 P:RM(高橋一嘉)
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東急電鉄側のリリースでは「構造改革を推し進め、経営の効率化を図っておりますが、需要の低迷など事業環境は厳しく、東急車輛製造の業績は、計画数値を下回る状況が続いております」と今回の事業譲渡に至った背景が語られており、一方のJR東日本側のリリースでは、「経営権取得の目的とその後の展開」として、車輌製造事業を「経営の第4の柱」と位置づけ、東急車輛の開発設計力や特急車輌の製造能力と新津車両製作所との連携によって、国内外の市場への事業展開を目指すとそのシナジー効果に期待がかけられています。

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▲2009年に開設された「横浜製作所歴史記念館」。「鉄道車両や関連技術の歩みを"見える化"し、技術伝承や教育、社員のモチベー ション(動機付け)向上につなげる。」という意図のもとに誕生したもので、その傍らにはこの横浜製作所で誕生した日本初のステンレスカー、東急デハ5201が保存されている。新会社に移行してもこれらの施設が継承・発展してゆくことを願いたい。 '09.8.27 P:RM(高橋一嘉)
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ご承知のように、3年ほど前には日本車輌製造株式会社が東海旅客鉄道株式会社(JR東海)の連結子会社となり衝撃が走りましたが、今回は数々の記憶に残る車輌を生み出した「東急車輛」という名前そのものが実質的に歴史の中へと消えていってしまうわけで、私たちファンにとっても計り知れない喪失感を感じずにはいられません。先進的技術にトライし続けたそのDNAが、JR東日本という新たなフィールドで生き続けてくれるのを祈らずにはいられません。

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