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日本鉄道保存協会2011年度総会より。(上)

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▲リニア・鉄道館のエントランスホールから展示室に入ると、まずシンボル展示のC62 17、新幹線試験電車955(300X)、超電導リニアMLX01-1が迎えてくれる。それぞれ狭軌蒸気機関車としての世界最高速度(129㎞/h)、電車方式による1996年時点での世界最高速度(443㎞/h)、鉄道の世界最高速度(2003年・581㎞/h)のレコードホルダー。'11.10.20
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先週10月20日(木曜日)・21日(金曜日)に日本鉄道保存協会の2011年度総会と見学会が開催されましたので、その概要をご紹介いたしましょう。今年の総会の開催地団体は東海旅客鉄道株式会社(JR東海)。総会会場は昨年オープンした「リニア・鉄道館」で、鉄道保存に関わる全国の鉄道事業者、団体、個人60名余りが一堂に会しました。

111024n013.jpg昨年3月14日にオープンしたリニア・鉄道館は、名古屋市の「モノづくり文化拠点構想」に基づき、鉄道の文化・技術を後世に伝えること、歴史的な産業遺産を活用し、観光産業を推進することなどを使命として開設されたもので、オープン直前に東日本大震災が発生してしまったものの、開館7カ月で78万人を超える来館者を集める大盛況ぶりで推移しています。
▲リニア・鉄道館はあおなみ線の金城ふ頭駅から徒歩2分ほど。画面奥の高架が金城ふ頭駅。'11.10.20 
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総会に先立ち、リニア・鉄道館の天野満宏副館長のご案内で館内を見学いたしましたが、今回は通常は立ち入れない収蔵車輌エリアのバックヤードツアーを企画していただき、2班に分かれてモハ63形とオヤ31形の車内を見学させていただきました。ことにモハ63638は事業用車クモヤ90005に改造されて延命しいていた個体を浜松工場で可能な限り復元したもので、特徴的な3段窓や屋根構造はもとより、床の主電動機点検蓋の一部には透明アクリル板が取り付けられ、電機子の状態が見える配慮もなされており、参加者の皆さんも説明に熱心に耳を傾けておられました。

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▲1階車輌展示スペースに並んだ歴代新幹線車輌。奇しくもこの日、300系新幹線の2012年春の引退がプレス発表されただけに、展示された323形もひときわ印象深く見える。'11.10.20 
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▲収蔵車輌エリアのキハ82形や復元されたモハ63形。この日は特別にバックヤードツアーを催していただいた。'11.10.20 
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館内の講座室で行われた総会では、リニア・鉄道館の金子利治館長からご挨拶をいただいたのち議事に入りました。会計監査報告など一連の年度報告のほかに、組織の一般法人化、事務局の機能強化などのほか、花上嘉成東武博物館館長の新顧問への就任が決議されました。また、世界の保存鉄道の連絡組織である"WATTRAIN"(World Association of Tourist Trams and Trains)への加盟を検討することなど、将来的な国際協調への道筋も提起されました。

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▲目を見張る完成度の鉄道ジオラマには総会参加者も釘付けとなった。「鉄道の24時間」をテーマにしているだけあって、ことに夜間の情景は必見。'11.10.20 
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▲"ライブ会場"に詰め掛けた群衆はおびただしい数のフィギュア(左)。とても個人では再現できない物量だ。右は五山送り火をのぞむ夜の京都駅ジオラマ。'11.10.20 
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ところで、今回の総会報告のなかで初めて公となったのが、通称「山田コレクション」と呼ばれる保存車輌群への取り組みです。「山田コレクション」とは北海道・江別にお住まいの山田建典さんが私財を投じて集めてきた道内の蒸気機関車を中心とした実物車輌群で、1970年代からさながら都市伝説のごとくその存在が噂されてきたものです。4122号機を含む2輌の4110形、2輌のB6、9615など5輌の9600形、夕張鉄道の12号機や雄別鉄道のC11など12輌の蒸気機関車と、客車、貨車、除雪車など総計15輌に及ぶコレクションはこれまでまったく公開されることなく、またその存在も秘匿されてきました。

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▲館内の講座室で行われた総会と事例報告。写真は上下分離の先駆けとして積極的な活動を続ける若桜鉄道(「若桜駅を元気にする会」)の事例報告。'11.10.20 クリックするとポップアップします。

日本鉄道保存協会では十数年前からこの歴史的コレクションの行方を見守り、山田さんご本人ともたびたび協議を重ねてまいりましたが、近年ご本人の体調不良もあり、今年になってからその所有が日本鉄道保存協会の手に移ることとなったものです。蒸気機関車の輌数だけとっても国内では梅小路蒸気機関車館に次ぐ規模で、今後、利活用のための委員会を設立し、関係自治体とも連携のうえで保存・公開の途を探ってゆくことが報告されました。

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▲バックヤードツアーではリニア・鉄道館の天野副館長自らがモハ63形の車内などを解説。参加者の多くは各地の保存団体だけに、復元工程の説明に熱心に聞き入っていた。'11.10.20 
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▲可能な限りの復元がなされたモハ63形の車内。復元に当たっては、木工技術がもっとも大きなネックとなったとのことで、今後の技術伝承も課題。'11.10.20 
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▲オヤ31形の車内で天野副館長の説明に聞き入る参加者の皆さん。現役時代でもまず目にすることはできなかった建築限界測定車の車内だけに興味津津。'11.10.20 
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▲オヤ31 12の車内。計測機器のほか、事務机や休息スペース、トイレ、洗面所...等々、この1輌にして必要充分な設備が備えられている。'11.10.20 
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この情報化社会にこれだけの個人コレクションが人知れず残されていたこと自体が驚きで、"散逸させない"、"道内で護る"という山田さんの意向を踏まえたうえで、これからその利活用が模索されてゆくことになります。なお、日本鉄道保存協会では環境が整うまでこの車輌群を公開することはありませんので、事務局への問い合わせ等はご遠慮ください。

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▲充実した総会、見学会、そして懇親会と名古屋の夜は更けてゆく。JRセントラルタワーズの高層階より名古屋駅ホームを見下ろす。'11.10.20 
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