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今井啓輔さんの『私が見た特殊狭軌鉄道』。

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▲印象的な前書の写真は1965(昭和40)年に仁別森林鉄道の起点・秋田貯木場で撮影されたもの。 (今井啓輔『私が見た特殊狭軌鉄道』)より)
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先日、仁別森林博物館をご紹介した際にも少々触れさせていただきましたが、7月20日に今井啓輔さんの著書『私が見た特殊狭軌鉄道』がレイルロードから発行されました。

imaisanhon008n.jpg今井さんは古くからのナローファンで、現在でも積極的に海外のナローなどを歩いておられますが、本書は昭和30年代から40年代初頭にかけての国内の「特殊狭軌鉄道」をまとめたもので、第1巻と表題にあるとおり、本書では北海道から福島までのエリアを取り上げています。それにしても「特殊狭軌鉄道」とは一般に耳慣れない用語ですが、これは1,435㎜、1,067㎜、762㎜と3種類のゲージを擁する近畿日本鉄道部内で使用されている言い回しで、便宜上、標準軌、狭軌、特殊狭軌と区分していることに由来します。というのも、著者の今井さんは長らく近畿日本鉄道にお勤めで、6年ほど前にリタイアされるまでは都ホテルの社長や、近畿保険サービスの社長などを歴任されてこられた方で、タイトルにもいみじくもその片鱗がうかがえるというわけです。

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▲目次には第1巻の収録線区が日本地図上にプロットされている(左)。右な歌登町営簡易軌道の扉ページ。 (今井啓輔『私が見た特殊狭軌鉄道』)より)
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本書を拝見してなによりも驚かされるのが、簡易軌道や森林鉄道など非営業の路線を丹念に訪れておられることです。やはり本巻に収録されている花巻電鉄や沼尻鉄道など時刻表に記載されていた路線はともかく、インターネットはおろか情報誌さえなかった時代に、非営業の「特殊狭軌鉄道」を探し出して実際に訪問するのは極端にリスクの高い冒険に等しく、その熱意には今更ながら圧倒される思いです。

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▲鶴居村営簡易軌道(左)と長木沢森林鉄道(右)のページから(一部)。手書きの構内配線図や車輌実測図が本書の大きな魅力ともなっている。 (今井啓輔『私が見た特殊狭軌鉄道』)より)
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先日も触れた仁別森林鉄道にしても、同じような体験を持つ者には少なからず想像できるのですが、運良く"便乗"はできたとしても帰路の保障はなく、それでも便乗する勇気を持ってからこそ残った記録と言えましょう。

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▲仁別森林鉄道の章の一部。便乗しながらの沿線観察は実に臨場感に溢れている。 (今井啓輔『私が見た特殊狭軌鉄道』)より)
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実は今井さんとは近年、何度もご一緒させていただいており、そのたびに驚かされるのがその"メモ"です。ほぼ必ず手帳に記録されているのが構内配線で、「あれっ、今井さんがいない」と思うと、構内外れや車庫裏などで配線図を描いておられるのでした。もちろん本書にはその成果も反映されており、歌登や問寒別といった簡易軌道の拠点や、小坂鉄道茂内駅に隣接する長木沢森林鉄道のヤードなど、その配線図を見ているだけで時間を忘れてしまうほどです。

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▲この第1巻ではむしろ一般営業路線の方が少ない。日本硫黄沼尻鉄道(左)と花巻電鉄のページから。 (今井啓輔『私が見た特殊狭軌鉄道』)より)
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この『私が見た特殊狭軌鉄道』第1巻に収録されているのは以下の各線です。
歌登町営簡易軌道、幌延町営簡易軌道、浜中町営簡易軌道、鶴居村営簡易軌道、標茶町営簡易軌道、別海村営簡易軌道、太平洋炭鉱運炭軌道、長木沢森林鉄道、仁別森林鉄道、花巻電鉄、宮城バス仙北鉄道、日本硫黄沼尻鉄道
続刊の第2巻以降では越後交通栃尾線以下、九州の日本鉱業佐賀関鉄道までが収録される予定だそうです。
なお、本書は文苑堂扱い(ISBN978-4-947714-23-7)でお近くの書店で取り寄せられるほか、鉄道書を多く扱う大手書店や模型店店頭でも入手可能です。

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