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2011年5月25日アーカイブ

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鉄道友の会(須田 寛会長)が会員の投票をもとに決定する2011年ブルーリボン賞に、京成電鉄AE形が選ばれました。また、同時に選考される性能・デザイン・製造企画・運用などの諸点に卓越したものがあると認めた車輌に授与される2011年ローレル賞には、東京地下鉄の16000系が選出されました。
▲2011年ブルーリボン賞に決まった京成電鉄AE形。P:鉄道友の会提供

2011年ブルーリボン賞・ローレル賞にノミネートされた候補車輌は以下の10形式でした。
1.会津鉄道 AT-350形、2.会津鉄道 AT-700・AT-750形。3.東日本旅客鉄道 HB-E300系、4.京成電鉄 AE形、5.東京地下鉄 15000系、6.東京地下鉄 16000系、7.名古屋市交通局 6050系、8.西日本旅客鉄道 225系、9.西日本旅客鉄道 キハ189系、10.阪神電気鉄道 5550系
それでは、鉄道友の会が発表した選定理由を見てみましょう。

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▲出入口部の荷物スペースから客室内を見る。'09.5.20 宗吾車両管理所 P:RM(新井 正)
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京成電鉄AE形は、成田スカイアクセス線の開業を契機に、これまでのAE100形の置き換えのために製造されました。空港アクセスを担う特急車としては、初代スカイライナーから数えて3代目にあたります。東京都心部と成田空港間の所要時分の短縮は長年に亘る課題でしたが、新線開業に伴う距離の短縮と設備改良によって解決する見通しが立ちました。同社では、新形車両の投入によって列車自体の最高運転速度を引上げ、到達時間の短縮をはかることとしました。
性能面では、主電動機の出力を高め、最高運転速度を時速110kmから在来鉄道線では最速に肩を並べる時速160kmに引き上げることを実現しました。この結果、これまで51分を要していた日暮里~空港第2ビル間を、最速36分で結んでいます。速度の向上と同時に必要とされるブレーキ力の確保と横揺れの抑制は、油圧キャリパ式ディスクブレーキと先頭台車にフルアクティブサスペンションを採用することによって解決しています。
車両のデザインは、山本寛斎氏が手がけ、歴代スカイライナーの特徴である流線形状をより鋭角的にし、車体先端から立ち上がるウインドブルーの配色が、ベースのストリームホワイトを引き立てています。車内は、短い乗車時間ながらも気配りのある空間を目指し、天井をドーム形にして開放的な空間にしたほか、座席は、クッション材を改良し、幅と間隔を拡大しています。座席背面のテーブルは、リクライニングを使用した状態でもA4サイズのノートパソコンが使用でき、座席下には家庭用電源を備えて、ビジネス需要に応えています。荷物スペースは、拡大するとともに防犯カメラを設置することにより、セキュリティ面に配慮しています。
以上のように、AE形は、日本を代表する成田国際空港への所要時間において、高速運転によって諸外国の主要空港と遜色の無い水準を実現し、さらに京成グループを代表するフラッグシップの車両であり、鉄道友の会の多くの会員の支持を集めたことから、ブルーリボン賞に選定しました。

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▲2011年ローレル賞に決まった東京地下鉄16000系。P:鉄道友の会提供

東京地下鉄16000系は、既存の6000系の代替を図るために製造された千代田線用車両です。大手を中心とする鉄道では、車両の置換えにあたって近年では、主に消費電力とメンテナンスコストを抑制することを目的として、インバータ制御・誘導電動機駆動方式を採用する動きが、一般的になっています。誘導電動機駆動システムの普及によって電力消費量は大きく削減されましたが、同様のシステムを用いたさらなる省エネルギー化が図れない状況になっていました。同社では、誘導電動機に代わる駆動システムとして永久磁石同期電動機(PMSM)に着目し、丸ノ内線用02系の更新工事で導入の後に、国内で標準的な直流1500Vを電源とする路線としてはじめて16000系で量産採用となりました。
永久磁石同期電動機の導入によって励磁電流が不要になったことで、誘導電動機と比較して主電動機効率が約92%から約96%に向上しました。この結果、誘導電動機駆動を採用している有楽町線・副都心線用の10000系よりも、編成全体で10%程度の消費電力の削減が可能になりました。また、主電動機の発熱量が減少することから冷却ファンが不要になり、完全密閉構造にすることで低騒音化と保守の容易化を図っています。ブレーキ制御において、車両制御情報管理装置(TIS)の編成制御機能を活用して、回生ブレーキ時に全車のブレーキ力を最適にするよう中間附随車の空気ブレーキ力の制御をするように改良しています。
客室内に目を向けると、より広く開放的に感じられるよう、座席脇袖仕切の一部にガラスを新規に採用し、側天井部を曲線状に高くして改善を図っています。配色の基調は、新たな組み合わせとして、壁面を白色、座席と床を紺色とすることで落ち着きのあるデザインに仕上げています。

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▲16000系8号車(T')の客室内。床面や腰掛が紺色となり、脇仕切りへの強化ガラス採用が目新しい。'10.8.31 綾瀬車両基地 P:RM(伊藤真悟)
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以上のように、大都市圏における電力消費の抑制が一層求められる今日、成熟段階を迎えつつある既存のシステムに落ち着くことなく、「より先進的な技術を導入することで省エネルギー社会の実現へ向けて着実に貢献しようという、21世紀における通勤電車の新しいモデルを提示した」という特徴が、選考委員会において高く評価されたことから、ローレル賞に選定しました。

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