鉄道ホビダス

加藤製作所を訪ねる。

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先日、加藤製作所の加藤公康社長にお招きいただき、実に12年ぶりに東京・品川の同社本社をお訪ねしました。加藤製作所といえば、いまさらご説明するまでもなく産業用内燃機関車メーカーとしてその名を轟かせ、私たちファンの間では"加藤くん"の愛称でいまだに根強い人気を博しています。すでにご承知かと思いますが私が仲間と共同所有している4t機も典型的な"加藤くん"の1輌です(アーカイブ「足尾歴史館再訪」参照)。

▲品川の加藤製作所本社に保存されている2輌の自社製機関車。左はいわゆる"たれ目の加藤くん"ことレディーメードの15t機、右は小誌トワイライトゾ~ンが発端となって里帰りした戦前の3.5t機。それにしてもこうやって並ぶと、まるでスケールが違うがごときその大きさの違いにあらためて驚かされる。'11.2.17
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残念ながら時代の変化とともに機関車の製造は1960年代に終焉を迎えてしまいましたが、その後の同社はクレーン、油圧ショベル、アースドリル等のリーディングカンパニーとして大発展を遂げ、現在では中国にも生産拠点を持つわが国を代表する東証一部上場の建設機械メーカーに成長しております。

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▲実に12年ぶりの再会となるフリクションドライブの3.5t機。1999(平成11)年にフル・レストレーションされ、その後も大事に保管されているだけあって、まさに新車状態。ちなみに主要寸法は3030(バンパー間長さ)×1250(台枠幅)×1795(屋根高さ)㎜。'11.2.17
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現在、加藤製作所本社には2輌の機関車が保存されており、今回の訪問もその機関車を拝見するのが主目的でした。1輌は1955(昭和30)年6月製の15t機(製番LD61107)で、新潟の大平洋ニッケル㈱新発田工場に納められたもの。"たれ目"とサイドロッドがチャームポイントの量産型で、のちに大平洋金属㈱八戸工場に転じて用途不要となったのち、自社茨城工場での保存用に引き取られてきたものです。もう1輌はおそらく現存最古と思われる昭和初期に製造された3.5t機で、こちらは小誌トワイライトゾ~ンがきっかけとなって里帰りを果たした、私にとっても思い出深い機関車です。

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▲ギアを用いない極めて原始的な変速機構=フリクションドライブがまるで"標本"のようによくわかるキャブ内。それにしても足先でこの直交する円盤がブンブン回っているキャブは現代の感覚では信じがたい。'11.2.17
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▲戦前の"加藤くん"の特徴でもあった上辺が弓なりにカーブを描くラジエータシェルのKATOWORKSの陽刻(左)と、奇跡的に残っていた始動用クランク棒(右)。'11.2.17
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▲エンジンは米国イリノイ州のBUDA社製WTU形ガソリンエンジンを備える。おそらく新製時から搭載されていたものと思われ、吸排気側には真鍮エッチング製の銘板もしっかりと残されいている。'11.2.17
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本誌1998年1月号(№172)のトワイライトゾ~ンで、江ノ電鵠沼駅にほど近い土木工事会社さんの倉庫を壊したら、実に半世紀ぶりにしまっておいた機関車が姿を現した...そんなお伽話のようなレポートをご紹介いたしましたが、この時に"発見"されたのが本機(製番4485)でした。昭和初期に製造されたと思われるこの機関車、変速方式はギア・ミッションではなくフリクション変速(アーカイブ「天草のガソリン軌道跡を探る」参照)で、しかもブダ製のガソリンエンジンはもとより、まったく欠品部品のない見事な状態での発見だったのです。

110217n009.jpg解体だけは免れてほしいと思っていたところに救いの手を差し伸べてくれたのが、ほかならぬ生みの親の加藤製作所でした。おそらくは60年ぶりに"里帰り"を果たした加藤くんは、同社の技術スタッフの皆さんの献身的な努力で、オリジナルの状態を損なわないよう配慮のうえほとんど新車状態にレストアされ、1999(平成11)年5月に本社内の倉庫に保管されたのでした(本誌1999年8月号/№191参照)。
▲よくよく見ると窓ガラスにも"KATO"の透かしが...さすがワークス仕様。'11.2.17
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▲最古の"加藤くん"を前に加藤公康社長と記念撮影。この日は夜の部(?)まですっかりお世話になってしまい、感謝感謝。'11.2.17 P:井門義博
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本社社内での保管という事情もあって、これまで一般に公開されたことはありませんが、東京の中心部にこんなプリミティブな機関車が大事に保存されている...それだけでも心温まる思いがしてなりません。

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