鉄道ホビダス

2011年2月アーカイブ

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▲白山神社、新潟地裁、そして新潟県庁跡地に囲まれた新潟交通電車線の起点、白山前。夜は走り去る自動車の音だけが響いていた。 '86.11.21 P:寺田裕一 (『新・消えた轍』第5巻上信越より)
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全10回を7回の配本でお届けする『新・消えた轍』も、今回の第5巻上信越で第5回配本を迎え、いよいよ佳境に入ってまいりました。

110228nC.jpgこの『新・消えた轍』シリーズは、現在は廃止されたローカル私鉄の現役当時の姿と共に、その廃線跡を寺田裕一さん本人が訪ね歩き記録したものです。旧版の『消えた轍』では昭和30年代以降、昭和52年の尾小屋鉄道廃止までに全線廃止されたローカル私鉄を対象にしておりましたが、今回の新シリーズでは、昭和52年以降の廃止路線や、路線の半分以上が廃止された路線などを新たに収録し、エリア別に再構成しています。

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▲水運に取って代わる形で誕生した新潟交通電車線。ひたすら堤防に沿って敷かれた線路は、その歴史を如実に物語っていた。 (『新・消えた轍』第5巻上信越より)
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第5巻上信越は長野・新潟両県の廃止私鉄路線を収録するもので、旧版収録の草軽電気鉄道、上田丸子電鉄、頸城鉄道自動車、越後交通に加え、今回新たに長野電鉄河東線(信州中野-木島間)、新潟交通、蒲原鉄道の3路線を収録しました。3線とも比較的近年の廃止路線であり、読者の方々の中にも乗られたことのある方が多いのではないでしょうか。

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▲昭和50年に廃止された越後交通栃尾線。軌間762mmの軽便鉄道ながらCTCの導入や固定編成化といった近代化を推し進めていた。 (『新・消えた轍』第5巻上信越より)
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新規収録3路線のうち、新潟交通は現在も新潟県下随一のバス会社として盛業中なのはご存知の通りですが、電車線のルートを走るバスはかなり数が少なくなっており、最初に廃止された月潟-燕間は自治体によるコミュニティバスのみになっています。一方、蒲原鉄道は、かつては村松駅が自社のバスターミナルも兼ねていましたが、現在では蒲原鉄道自体が一般路線バスから撤退してしまっており、加茂-村松間は加茂市による市民バスが1日わずか3往復運行されるだけになりました。そして長野電鉄では、木島線に続いて屋代線の廃止が表面化し、予断を許さない状況になっています。このように、廃止後の状況はどこも厳しいのが現実のようです。

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▲雪深い越後の山里を縫うように走っていた蒲原鉄道。それだけに沿線人口は希薄だった。 (『新・消えた轍』第5巻上信越より)
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さて、第6回配本分は第3巻に北東北エリアと、北海道の道南・道央エリアを収録した第2巻『北海道・北東北』で、4月末の発売を予定し、鋭意制作進行中です。どうかご期待ください。

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▲巻末には各鉄道の輸送量・収入の推移や貨物取扱高、そして施設一覧を掲載。 (『新・消えた轍』第5巻上信越より)
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■第5回配本分の内容
草軽電気鉄道・上田丸子電鉄丸子線/真田傍陽線/西丸子線・長野電鉄河東線(信州中野-木島間)・頸城鉄道自動車・越後交通栃尾線/長岡線・新潟交通・蒲原鉄道

■既刊
〔 3 東北〕
松尾鉱業・花巻電鉄・秋田中央交通・羽後交通・宮城バス仙北鉄道・秋保電気鉄道・仙台鉄道・庄内交通・山形交通・日本硫黄沼尻鉄道・岩手開発鉄道・くりはら田園鉄道
〔4 関東〕
九十九里鉄道/鹿島臨海鉄道/鹿島鉄道/茨城交通茨城線/日立電鉄/筑波鉄道/上武鉄道/山梨交通電車線/小名浜臨港鉄道・江名鉄道
〔7 北陸〕
福井鉄道鯖浦線/南越線・京福電気鉄道永平寺線/丸岡線・北陸鉄道加越線/小松線/金名線/能美線/金石線/能登線・尾小屋鉄道・のと鉄道能登線/七尾線(穴水~輪島間)・加越能鉄道加越線・富山地方鉄道笹津線/射水線
〔8 近畿〕
江若鉄道・北丹鉄道・淡路交通・別府鉄道・三木鉄道・能勢電鉄川西能勢口~川西国鉄前・加悦鉄道・野上電気鉄道・有田鉄道・和歌山県営鉄道(南海電気鉄道和歌山港線)和歌山港~水軒間
〔9 中国〕
玉野市営電気鉄道・両備バス西大寺鉄道・井笠鉄道・日ノ丸自動車法勝寺鉄道・一畑電気鉄道広瀬線/立久恵線・尾道鉄道・防石鉄道・船木鉄道・長門鉄道・下津井電鉄・岡山臨港鉄道・同和鉱業片上鉄道
〔10 九州・四国〕
大分交通/荒尾市営電気鉄道/鹿児島交通/島原鉄道/宮崎交通/熊延鉄道/山鹿温泉鉄道/熊本電気鉄道/高千穂鉄道/日本鉱業佐賀関鉄道/伊予鉄道森松線/土佐電気鉄道安芸線/琴平参宮電鉄

■続巻の内容 (内容は変更になる場合があります)
〔1 北海道〕
根室拓殖鉄道・釧路臨港鉄道・雄別鉄道・尺別鉄道・十勝鉄道・北海道拓殖鉄道・夕張鉄道・三菱美唄鉄道・三井芦別鉄道・ちほく高原鉄道・三菱石炭鉱業大夕張鉄道
〔2 北海道・北東北〕 (4月末発売予定)
寿都鉄道・定山渓鉄道・旭川電気軌道・羽幌炭砿鉄道・天塩炭砿鉄道・留萌鉄道・南部鉄道・南部縦貫鉄道・下北交通・弘南鉄道黒石線・小坂製錬小坂鉄道
〔6 中部〕
静岡鉄道駿遠線・遠州鉄道奥山線・豊橋鉄道田口線・三重交通松阪線・東濃鉄道・三井金属神岡鉄道・北恵那鉄道・神岡鉄道

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加藤製作所を訪ねる。

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先日、加藤製作所の加藤公康社長にお招きいただき、実に12年ぶりに東京・品川の同社本社をお訪ねしました。加藤製作所といえば、いまさらご説明するまでもなく産業用内燃機関車メーカーとしてその名を轟かせ、私たちファンの間では"加藤くん"の愛称でいまだに根強い人気を博しています。すでにご承知かと思いますが私が仲間と共同所有している4t機も典型的な"加藤くん"の1輌です(アーカイブ「足尾歴史館再訪」参照)。

▲品川の加藤製作所本社に保存されている2輌の自社製機関車。左はいわゆる"たれ目の加藤くん"ことレディーメードの15t機、右は小誌トワイライトゾ~ンが発端となって里帰りした戦前の3.5t機。それにしてもこうやって並ぶと、まるでスケールが違うがごときその大きさの違いにあらためて驚かされる。'11.2.17
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残念ながら時代の変化とともに機関車の製造は1960年代に終焉を迎えてしまいましたが、その後の同社はクレーン、油圧ショベル、アースドリル等のリーディングカンパニーとして大発展を遂げ、現在では中国にも生産拠点を持つわが国を代表する東証一部上場の建設機械メーカーに成長しております。

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▲実に12年ぶりの再会となるフリクションドライブの3.5t機。1999(平成11)年にフル・レストレーションされ、その後も大事に保管されているだけあって、まさに新車状態。ちなみに主要寸法は3030(バンパー間長さ)×1250(台枠幅)×1795(屋根高さ)㎜。'11.2.17
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現在、加藤製作所本社には2輌の機関車が保存されており、今回の訪問もその機関車を拝見するのが主目的でした。1輌は1955(昭和30)年6月製の15t機(製番LD61107)で、新潟の大平洋ニッケル㈱新発田工場に納められたもの。"たれ目"とサイドロッドがチャームポイントの量産型で、のちに大平洋金属㈱八戸工場に転じて用途不要となったのち、自社茨城工場での保存用に引き取られてきたものです。もう1輌はおそらく現存最古と思われる昭和初期に製造された3.5t機で、こちらは小誌トワイライトゾ~ンがきっかけとなって里帰りを果たした、私にとっても思い出深い機関車です。

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▲ギアを用いない極めて原始的な変速機構=フリクションドライブがまるで"標本"のようによくわかるキャブ内。それにしても足先でこの直交する円盤がブンブン回っているキャブは現代の感覚では信じがたい。'11.2.17
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▲戦前の"加藤くん"の特徴でもあった上辺が弓なりにカーブを描くラジエータシェルのKATOWORKSの陽刻(左)と、奇跡的に残っていた始動用クランク棒(右)。'11.2.17
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▲エンジンは米国イリノイ州のBUDA社製WTU形ガソリンエンジンを備える。おそらく新製時から搭載されていたものと思われ、吸排気側には真鍮エッチング製の銘板もしっかりと残されいている。'11.2.17
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本誌1998年1月号(№172)のトワイライトゾ~ンで、江ノ電鵠沼駅にほど近い土木工事会社さんの倉庫を壊したら、実に半世紀ぶりにしまっておいた機関車が姿を現した...そんなお伽話のようなレポートをご紹介いたしましたが、この時に"発見"されたのが本機(製番4485)でした。昭和初期に製造されたと思われるこの機関車、変速方式はギア・ミッションではなくフリクション変速(アーカイブ「天草のガソリン軌道跡を探る」参照)で、しかもブダ製のガソリンエンジンはもとより、まったく欠品部品のない見事な状態での発見だったのです。

110217n009.jpg解体だけは免れてほしいと思っていたところに救いの手を差し伸べてくれたのが、ほかならぬ生みの親の加藤製作所でした。おそらくは60年ぶりに"里帰り"を果たした加藤くんは、同社の技術スタッフの皆さんの献身的な努力で、オリジナルの状態を損なわないよう配慮のうえほとんど新車状態にレストアされ、1999(平成11)年5月に本社内の倉庫に保管されたのでした(本誌1999年8月号/№191参照)。
▲よくよく見ると窓ガラスにも"KATO"の透かしが...さすがワークス仕様。'11.2.17
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▲最古の"加藤くん"を前に加藤公康社長と記念撮影。この日は夜の部(?)まですっかりお世話になってしまい、感謝感謝。'11.2.17 P:井門義博
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本社社内での保管という事情もあって、これまで一般に公開されたことはありませんが、東京の中心部にこんなプリミティブな機関車が大事に保存されている...それだけでも心温まる思いがしてなりません。

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雪下ろしツアー無事終了。

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▲SL館の巨大なD51形状のハリボテ上で雪下ろしをする参加者の皆さん。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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2月2日の小ブログでその窮状をお知らせした北海道・夕張市「石炭の歴史村」SL館の雪下ろしですが(アーカイブ「夕張・SL館の雪下ろしがSOS」参照)、はるばる京都や横浜から駆けつけてくださった方も含め、多くの皆さんの善意に支えられて無事に終了したそうです。お礼を兼ねて、企画の中心になっておられた三菱大夕張鉄道保存会の奥山会長よりレポートを頂戴いたしましたのでご紹介いたしましょう。

110224n030.jpg例年にない大雪で、倒壊・破損の恐れもありSOS状態であった夕張市・石炭の歴史村SL館ですが、去る2月13日に予定通り雪下ろし作業が行われ、夕張鉄道14号(1927年/日立)・三菱大夕張鉄道№4(1941年/日立)など、貴重な炭鉱鉄道の史資料が市民の力により守られました。
▲「SL館雪下ろしツアーバス」が到着、市民・現地集合者による先発隊に合流。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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SL館は石炭の歴史村の一部として1981年に開館、夕張市の財政破綻後は指定管理者が運営を続けてきましたが、老朽化等を理由に2008年に撤退、市内で鉄道遺産の保存活動を続ける三菱大夕張鉄道保存会(→こちら)が、「SL夕張応援号」運行時の無料公開や、独自のバスツアーを企画するなど、その利活用を進める一方、冬期間は雪下ろしのバスツアーを企画してその保守に努めてきました。

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▲梯子を上りいよいよ作業開始。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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▲雪と格闘する参加者。とにかく今年の雪はハンパでなく多かった。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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▲何とか作業も一段落。達成感とともに記念撮影。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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雪下ろし当日は、一時は「暴風雪」の天気予報もあり空模様が心配されましたが、幸い青空も広がり、遠く京都や横浜からの参加者17人を乗せた札幌からの「SL館雪下ろしツアーバス」が10時30分に石炭の歴史村に到着、すでに作業を開始していた夕張市民や現地集合者と合流して、総勢37人で作業を開始しました。途中お昼休みにはSL館内部で貴重な鉄道資料を間近にしながら昼食・休憩をとりましたが、1m以上の屋根上の積雪も何とか14時過ぎには取り除き作業を終了しました。

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▲SL館内部の状況。夕張鉄道14号機も今回の雪下ろしでほっとひと安心...。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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▲「ゆうばり市民会館」で開催中の炭田交流展を見学するツアー参加者。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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▲全国炭田交流企画展(左)と、貴重な北炭真谷地専用線のサボ(右)。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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▲参加者に配布されたSL館入館券。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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終了後には夕張市の担当者より、今となっては貴重なSL館の入場券が配布され、思わぬプレゼントに参加された皆さんも喜んでおられました。
その後、1971年までは夕張本町駅として夕鉄気動車が発着していた、「ゆうばり市民会館」で開催中の「全国炭田交流企画展」(主催:夕張地域史研究資料調査室→こちら)を見学、会員所有の北炭真谷地専用線のサボも展示され、最後は温泉で作業の疲れを癒して帰路につきました。

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▲作業終了後のSL館。手前にうず高く山となった雪が苦闘を物語る。'11.2.13 P:三菱大夕張鉄道保存会
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夕張市では現在、観光施設として規定されている石炭博物館の価値を見直し、新たな設置条例の策定を進めています(http://www.city.yubari.lg.jp/contents/announcement/news_1296091449.html)。
その中で、SL館も含めた市内の産業遺産が新たな価値を与えられ、夕張市再生の資源として活用されるよう期待しています。また、24日からは「夕張映画祭」も開催され、過去の記録映画なども上映されます。どうか今後も夕張の応援のためにもよろしくお願いします。

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▲スユニ61 14の側面。種車であるオハニ61時代の座席車部分の窓配置が溶接の歪みからうっすらとわかる。'84.8.10 門司 P:野村一夫 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』下巻より)
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110223H1.jpgたいへんご好評をいただいております藤田吾郎さんによるRMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』の下巻が完成しました。上巻では565輌という圧倒的多数を誇ったマニ60形について、その分類と車歴をご紹介しましたが、下巻ではマニ61形、スユニ60形、スユニ61形、そしてオエ61形0番代についてご紹介します。

マニ61形はマニ60形の台車交換形式で、鋼体化客車の特徴であるイコライザー式のTR11ではなく、スハフ32形と交換したTR23を履いています。マニ60から41輌が改造され、マニ60とは区別されずに運用されました。

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▲マニ61形0番代および100番代。 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』下巻より)
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スユニ60形は1954(昭和29)年に登場した木製客車からの鋼体化改造による郵便荷物車で、67輌が誕生。一方、スユニ61形は1960(昭和40)年から90輌が登場したもので、こちらはオハニ61形やオハユニ61形、スハニ62形といった鋼体化客車からの再改造によるものが中心ですが、うち300番代の5輌のみはスロフ53形から改造、つまり鋼体化客車ではありませんでした。

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▲マニ61形41輌の車歴表。最後の2輌は竜華区配置の2201および354で、1986年3月31日に廃車された。 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』下巻より)
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本書ではこれら3形式の形態分類と全車の車歴(改造年月、改造所、種車車号、各年度末配置、廃車年月など)を収録するほか、巻末には再改造車の種車の概要、そして事業用車への改造としてオル60形およびオエ61形0番代の概要・車歴を収録しました。

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▲オエ60形0番代は4形式以外からの改造車も含めて、種車別にその形態を紹介する。 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』下巻より)
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これでRMライブラリーとしては荷物車関連が4冊目。本書上下巻と藤田さんの前著『マニ35・36・37形 -改造荷物車のバリエーション-(上)(下)』を合わせてご覧いただければ、戦後、パレット積み対応車や50系が登場以前の鋼製荷物車の概要がほぼおわかりいただけるようになりました。ぜひ、4冊まとめて書架にお揃えください。

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▲E4系と並んで仙台駅12番線で折り返しを待つE5系U2編成試乗列車。'11.2.18 仙台
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宇都宮駅を定時通過した特別試乗会列車537号は営業運転国内最高速度の300㎞/hに向けてぐんぐん加速してゆきます。285㎞/h、290㎞/h、295㎞/hとアテンダントが車内アナウンスでカウントを伝えてくれるのも試乗列車ならではです(動画参照)。宇都宮通過1分ほどで300㎞/hに到達。電気式アクチュエータを採用したフルアクティブサスペンションの効果で、車内はとても時速300㎞で走行しているとは思えない、まさに"鏡の上を滑っている"かのごとき安定感です。

110220n015.jpgすでに報じられているように、3月5日のサービスインでは300㎞/hを最高速度に設定しているものの、2012年度末には320㎞/h運転にアップされる予定です。同乗されていたJR東日本の小縣方樹副社長によれば、2002(平成14)年からFASTECHで培ってきた技術を反映させたこのE5系の高速性能は360㎞/h運転も充分可能なものだそうで、ひょっとすると近い将来320㎞/hオーバーの時代がやってくるのかもしれません。
▲10号車(Tsc)側面のグランクラスのロゴ。頭文字「G」をデザインし、最上級車輌が提供する5つの快適(車輌テクノロジー、スペース、シート、インテリア、サービス)が一人の乗客を包み込むイメージを六角形で図案化したもの。'11.2.18
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▲E5系最大の話題といえる18席のグランクラス。通路の絨毯部にはまだ養生シートが貼られている。'11.2.18
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▲リクライニング角最大45°の本革製バックシェルタイプのシートは座席幅520㎜、シートピッチ1300㎜とまさに格段のラグジュアリーさ。'11.2.18
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▲そして専任アテンダントによるサービスも大きな魅力。食事はもとより、10種類以上のフリードリンクサービスも用意されている。'11.2.18
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さて、このE5系といえばマスコミの話題も集中している"グランクラス"でしょう。下り方先頭車E514形(Tsc)にわずか18席のみ用意されたプレミアム・シートは、まさにかつての3等級時代の1等車に匹敵する別格の豪華さです。すでにそのあらましはお伝えしておりますが(アーカイブ「ベールを脱いだE5系"グランクラス"」参照)、実際に腰掛けてみると、スポーツカーのシートでも世界的に知られるレカロ(ドイツ)と日立、それにJR東日本の3者がコラボレートしたという本革製のシートは柔らかすぎず硬すぎず、しっとりとした感触で体全体を包み込んでくれる素晴らしい仕上がりです。インテリアのみならず、専任アテンダントによる各種サービス、さらには各種アメニティー・グッズの充実と、現在最も入手しにくいチケットとなっているのも頷けます。

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▲グランクラスの陰に隠れてしまった感のあるグリーン車だが、電動レッグレストに読書灯、パソコン電源と充実の設備。'11.2.18
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さて、16時10分に仙台を出た上り試乗列車538号は途中、郡山、那須塩原と運転停車し、那須塩原17時02分発。暮れなずむ街の灯の中、17時34分定刻に大宮駅15番線に帰着しました。実に3時間4分のラウンドトリップでしたが、485系全盛期1970年代の特急「ひばり」が片道3時間30分余りを要していたことを思うと、まさに隔世の感があります。

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▲E1系Maxと並走しながら大宮駅に帰着する特別試乗列車。2週間後にはいよいよ「はやぶさ」の営業運転が始まる。'11.2.18
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3月5日からこのE5系「はやぶさ」は東京~新青森間2往復、東京~仙台間1往復が設定されて営業を開始します。先述のように2012年度末には320㎞/h運転を開始、さらに秋田新幹線用E6系との併結300㎞/h運転、翌2013年度末にはE6系との併結320㎞/h運転と進化を続ける予定で、当分目が離せません。

※E5系量産車については発売中の本誌最新号→こちらでJR東日本による詳細な解説原稿をご覧いただけます。

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▲クリックすると「今日の一枚 The Movie」より宇都宮駅を通過、300㎞/h運転に到達する特別試乗列車の車窓をご覧いただけます。再生時間1分52秒

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▲大宮駅15番線で発車を待つ特別試乗会U2編成。写真はグランクラスを備える10号車・仙台方先頭車のE514(Tsc)。'11.2.18 大宮
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3月5日の営業開始を前に「はやぶさ」用E5系の特別試乗会が行われ、ひと足早く大宮〜仙台間を往復してまいりました。

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▲ホーム上の発車案内には「団体」537号仙台行きの表示が...。'11.2.18 大宮
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試乗列車は大宮を14時30分に出て仙台に15時42分に到着、30分もなく16時10分に折り返して17時34分に大宮に帰着するという慌ただしい行程ですが、宇都宮〜仙台間で300㎞/h運転を体感できるほか、注目の"グランクラス"(アーカイブ「ベールを脱いだE5系"グランクラス"」参照)の試乗も予定されているとあって、なんとも楽しみな試乗会です。

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▲ハヤブサをモチーフとしたシンボルマーク(左)。低騒音仕様のパンタグラフは編成中で1基のみが使用される(右)。'11.2.18 大宮
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▲営業開始後の「はやぶさ」は全席指定。今回の特別試乗会では号車指定のみで座席指定はないため営業後は見られない「自由席」の表示が見られた。'11.2.18
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開業後の「はやぶさ」の大宮〜仙台間の所要時間は1時間12分。今回の下り試乗列車はこの営業時とまったく同じ1時間12分で同区間を走破します(上りは運転停車があるため所要1時間24分)。現行の「はやて」が1時間20分を要していますから、E5系の投入によって大宮〜仙台間だけでも8分の短縮が図られることになります。

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▲2号車普通席(E526形)客室内。普通車のシートピッチは従来の980㎜から1040㎜に拡大され、3人掛けシートの座席幅も拡大されている。'11.2.18
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▲普通席座席のヘッドレストは上下に動かすことができ、その柔らかさもあって従来の普通席にはないサポート感が味わえる。'11.2.18
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今回の特別試乗会に充当されたのは昨年末に登場したばかりの量産第一編成(U2編成)。量産先行車S11(U1)編成(アーカイブ「E5量産先行車を公開」参照)をさらに改良したもので、インテリアが一新されたほか、先頭車のプラグドアが引き戸に変更されるなど外観にも小変化があります。

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▲冬枯れの関東平野の彼方に日光連山が遠望される頃にはいよいよ時速300㎞/hへ(左)。300㎞/h走行時でもフルアクティブサスペンションの恩恵もあって揺れはほとんど感じられない(右)。さすがにボールペンを立てることはできなかったが、ご覧のようにリップクリームはまったく動揺することなく倒れなかった。'11.2.18
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14時30分、定刻に大宮駅15番ホームを出た特別試乗会537号は午前中の荒天が嘘のように晴れ渡った関東平野を一路仙台目指して加速してゆきます。300㎞/h運転は宇都宮を通過1分後位からとのアナウンスがありますが、300㎞/h到達前から、開発陣が目指したという"鏡の上を滑る乗り心地"は確かに実感することができました。

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▲クリックすると「今日の一枚 The Movie」より大宮駅を発車する特別試乗列車の車窓をご覧いただけます。再生時間2分34秒 

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▲恵比寿のガーデンホールに詰めかけた皆さんに、「Fan+(ファンプラス)」のサービス開始とともにオープンする「鉄道ホビダスEX」をビジュアルを交えてご紹介させていただいた。'11.2.16
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昨年5月にプロジェクトのスタートをお知らせした(→こちら)NTTプライム・スクウェア株式会社の新しいクラウド型コンテンツ配信サービス「Fan+(ファンプラス)」がいよいよ3月14日(月曜日)正午にサービスインすることとなり、昨日は東京・恵比寿のガーデンホールでそのプレス発表を兼ねたキックオフ・ミーティングが開催されました。

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▲幕末、落語、妖怪、ゴルフ、テニス、ボクシング、演劇、アニメ...そして鉄道と、ありとあらゆるジャンルを網羅してスタートする「Fan+(ファンプラス)」。サービス開始後も続々とコンテンツが増殖してゆく予定という。'11.2.16
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_MG_1442nn.jpg"「大好き」が、ここにある。"をコンセプトに、様々なジャンルのファン向けに"狭くて深い"デジタルコンテンツを配信する「Fan+(ファンプラス)」は、「ヒト、モノ、コト、ココロ」にこだわった幅広いジャンルのファン向けのショップが「ファンプラスモール」に集まり、それぞれのショップから"狭くて深い"独特の世界観で、映像・写真・テキスト・音声・音楽等を自在に組み合わせたリッチコンテンツの提供やサービスの展開を行なっていくものです。
▲キックオフ・ミーティングの冒頭で挨拶に立つNTTプライム・スクウェアの中山俊樹代表取締役社長。'11.2.16
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▲司会のDJ TAROさん、スペシャルコメンテーターの松尾貴史さんと「鉄道ホビダスEX」の可能性を語る。'11.2.16
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Fan+(ファンプラス)会員は、ショップで購入したコンテンツを、クラウド上の自分専用の「MyBox(マイボックス)」に、数に制限なくコレクションしていくことができ、さらに、自分の「MyBox(マイボックス)」へのアクセスは、手持ちの対応デバイスからアクセスしてコンテンツを視聴できるので、様々なシチュエーションに応じて楽しむことができます。

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▲サービスインと同時に配信予定の「鉄道ホビダスEX」オリジナルコンテンツのイメージ。画像をクリックすると動画も見ることができる。
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すでにお知らせしているように、3月14日(月)正午よりオープンするショップには、NTTプライム・スクウェアのオフィシャル・ショップとして「鉄道ホビダスEX」(弊社が企画協力)も用意されています。この「鉄道ホビダスEX」では、オリジナルコンテンツ、動画配信のほか、『Rail Magazine』、『RM MODELS』、『国鉄時代』の電子書籍版のコンテンツ配信も予定しております。
○「鉄道ホビダスEX」ショップページ
http://promotion.fanplus.jp/s08.html(PC)
http://promotion.fanplus.jp/s/s08.html(スマートフォン)
○ショップ一覧ページ
http://promotion.fanplus.jp/index.html(PC)
http://promotion.fanplus.jp/s/index.html(スマートフォン)

詳しくはあらためてご紹介申し上げますが、昨日より事前登録キャンペーンも開始されています。また、ツイッターの"つぶやき"を分析することにより「大好き」成分がわかる「Fan+Connect(ファンプラス・コネクト)」のサイト(→こちら)も同時にオープンしています。
●「Fan+(ファンプラス)」のさらに詳しい情報はこちら

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※明日(18日)は不在のため小ブログは休載させていただきます。


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▲熊本駅新幹線ホームに並んだ「みずほ」「さくら」用N700系。手前が試乗してきたS6編成。'11.2.12
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あいにくの天候で試乗891列車は山陽区間で減速運転を強いられ、結局、博多駅には約30分延の13時30分に到着(所定は13時01分30秒)。しかし、関門トンネルを越えて九州に入ると雪も止み、余裕をもって設定されていた停車時分の切り詰めをはじめ回復運転を図ります。

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▲新鳥栖駅に20分の遅れで到着。新鳥栖駅は在来の長崎本線と交差する位置関係にあり、今後、在来線の新鳥栖駅も新設される予定。'11.2.12
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博多からはいよいよ九州新幹線(鹿児島ルート)最後の未開業区間へ。今回開業する博多~新八代間130㎞は1998(平成10)年に船小屋~新八代間を着工、続いて2001(平成13)年に博多~船小屋間が着工され、足かけ13年の歳月と総工費約8,920億円をかけて完工したものです。今月4日に国土交通省から完成検査の合格証が交付されておりますので、今回はまさにその一週間後の試乗ということになります。

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▲天候は新鳥栖付近から急速に回復し、時折日差しも差してくるようになった(左)。右は山陽・九州新幹線直通運転を記念したお弁当、その名も「みずほとさくら」。'11.2.12
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博多を出た列車は左に博多総合車両所を見て、すぐに区間中最長の筑紫トンネル(12,115m)へと突入します。福岡・佐賀県境を分けるこのトンネルへの勾配はなんと35‰。8輌編成の「みずほ」「のぞみ」用N700系はこの急勾配を克服するために全車が電動車となっており、その恩恵もあってか乗車している限りはほとんど登坂を感じることはありませんでした。

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▲いよいよ熊本駅に到着。車内の案内表示にはドアの開閉方向も表示される。'11.2.12
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博多起点26.25㎞の新鳥栖駅で運転停車(所定13時22分着→13時28分発)。この時点で20分の延着でした。この新鳥栖駅は将来、九州新幹線長崎ルートのジャンクションとなる要衝ですが、現在のところクロスしている在来・長崎本線との接続はなく、これから在来線の新鳥栖駅が新設される予定です。さらに、ゆくゆくは在来線のすべての列車がこの新鳥栖駅に停車することになります。

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▲14時03分、定刻(13時51分)より12分ほど遅れて熊本駅に到着。真新しい駅名標が迎えてくれた。'11.2.12
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試乗列車はようやく回復した空模様の下、久留米、筑後船小屋、新大牟田と順調に歩みを進めます。久留米、船小屋、大牟田...そんな名前を耳にするとかつて足しげくトワイライトゾ~ンを訪ね歩いた日々が蘇ってきます。久留米の解体屋さんの小型蒸機や大川鉄道のコッペル(アーカイブ「山下商店の"深川"」「三瀦に保存されたコッペル」参照)、船小屋駅前のガソリン機関車、そしてあの三井三池(アーカイブ「三井三池鉄道は今...」参照)の賑わい...まさか彼の地を新幹線で通過することになろうとは思いもしませんでした。

110213n034.jpg三池トンネル、玉名トンネルを潜って在来線との接続のない新玉名駅を通過、田原坂を過ぎればいよいよ熊本は目前です。筑後平野を中心とした比較的平坦な区間で、いわゆる明かり区間が全体の7割と車窓展望に期待していたのですが、残念ながら風景は平板で、しかも防音壁が山陽区間などと比べて少々高いようにも見受けられ、その面では肩すかしの感が否めませんでした。
▲熊本駅ホームには試乗会の号車案内表示が目立つ。これから開業までさまざまなかたちで試乗会が行われるものと思われる。'11.2.12
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▲開業を一か月後に控えた熊本駅「新幹線口」正面。まだ盛んに駅前の整備が進められている。'11.2.12
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▲試乗列車の到着を迎えてくれた地元PR隊の皆さん(左)。新幹線口の自動改札にはカバーが掛けられて開業の日を待つ(右)。'11.2.12
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▲この日も熊本からの一般試乗会が行われていた。写真は改札前の試乗会受付(左)。関西直通をPRすべく駅前には観光キャラバン隊の一員として「せんとくん」も登場(右)。'11.2.12
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熊本城を左上方にのぞみながら試乗列車は定刻より12分ほど遅れて熊本駅に到着、ホームでは地元のPR隊の皆さんが出迎えてくれました。熊本駅を訪れるのはほぼ一年半ぶり。新幹線新駅は「新幹線口」と名づけられ、まさに最終仕上げの真っ最中です。一方、在来線の東側は「白川口」と称されるようになり、こちらも路面電車の軌道緑化など駅前の整備が急ピッチで進められています。

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▲将来高架化される予定の在来線ホームから新幹線高架ホームをのぞむ。下のモノクロ写真は39年前のほぼ同地点で、19680〔熊〕のいる矩形煉瓦庫が熊本機関区の象徴であった。架線柱とビームの形状がどことなく似ているのが興味深い。'11.2.12(現状)/'72.8.19(旧写真)
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開業まで残すところ3週間あまり。3月12日の九州新幹線(鹿児島ルート)全線開業で新青森から鹿児島中央まで列島2000.8㎞が新幹線で結ばれることになります。さらに昨年11月には韓国の高速鉄道KTXの東大邱~釜山間が開業、ソウル~釜山間が最速2時間18分で結ばれています。釜山港~博多港間の高速船航路と合わせるとまさに新幹線新時代が到来すると言えましょう。

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▲クリックすると「今日の一枚 The Movie」より熊本駅到着までの試乗列車の車窓をご覧いただけます。6分06秒
※音声が小さめとなっております。ボリュームで調節してください。

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▲試乗列車は博多に到着。いよいよ熊本を目指して新規開業区間へと進んでゆく。4号車787-7006車内より。'11.2.12
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乗車したのは4号車16番B席。取材可能なのは3・4・6・7・8号車と5号車に設定されているパウダールームで、いくつかの設備には使用できない旨の張り紙があり、営業列車にはない雰囲気が漂っています。

110213n006.jpgこの日は西から低気圧が接近しており、天気予報でも中国地方・北九州地方は大荒れが予想されていました。案の定、姫路を出たあたりから降り始めた雨は岡山の手前で氷雨となり、車内アナウンスでも進路の降雪のため速度を落として運転するとの説明が流れました。山陽新幹線区間の最高運転速度は300km/hに設定されており、九州新幹線内の35‰勾配に対応するために全電動車化が図られたN700系7000番代の加速(起動加速度2.6km/h)を体感するのを楽しみにしていたのですが、残念ながらかないませんでした。
▲車内の案内表示には「試乗会891号熊本行き」の表示が流れる。'11.2.12
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▲新大阪を出た時は曇天だったが、山陽道を下るに従って天候は次第に崩れはじめ、岡山の手前からはついに氷雨となってしまった。左手の車窓には岡山電車区が広がる。'11.2.12 西岡山(貨)
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すでに本誌誌上でも何度かご紹介しておりますが、あらためて車内設備の見どころをご紹介してみましょう。まずは6号車に設定されているグリーン席。6号車は普通指定席との合造構造となっており、グリーン席は上り方の半室に設定されています。

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▲6号車766-7006(M's)のグリーン室。新大阪方の全24席で、普通指定席(全36席)との合造構造となっている。'11.2.12
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▲N700系のシンクロナイズド・コンフォートシートをベースに随所に古代桜調の木材を使用した高級感溢れるグリーン席。シートには消臭効果のある素材が採用されている。'11.2.12 P:松本典久
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古代桜調の木目を活かした内妻仕切壁とホワイトベージュの布目柄の内装は実に落ち着いた雰囲気を醸し出しており、花唐草模様のふかぶかとした絨毯も静粛性を高めています。シンクロリクライニング機能を持つシートにはエアシリンダー駆動によるレッグレストも付加されています。

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▲700系ひかりレールスターの指定席サルーンシートをさらにリファインした普通車指定席。「朱桜」をテーマとしたこの指定席は最もコストパフォーマンスの高い空間と言える。'11.2.12
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グリーン車もさることながら、普通車指定席の"サルーンシート"には驚かされます。700系ひかりレールスターの指定席サルーンシートをさらに進化させたというこの指定席シートは、ひと時代前のグリーン席を完全に凌駕するものです。もちろんレイアウトは2+2列。背もたれの動きに連動して座面が調整される新リクライニング機能も盛り込まれたこの指定席サルーンシートは文句なくお薦めです。

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▲自由席は「若桜」をテーマにした2+3列配置。2列側が茜色、3列側が縹色の市松模様のシートとなっている。'11.2.12
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▲7号車に設けられた多目的室(左)と多機能トイレ(右)。ともに充分な広さを備えた安心の設備。'11.2.12
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110213n017.jpg8輌編成の中にはトイレ、洗面所、喫煙ルームのほかにも各種のサービス設備が設けられています。なかでもパウダールームやオムツ交換台を設備した女性専用トイレ(5号車)、多目的室、多機能トイレ(7号車)は機能的かつスタイリッシュな造りとなっており、航空機からの乗り換え需要も見込めるであろう女性客にも好評を博すに違いありません。
▲5号車の女子専用トイレにはシートベルトも備えたオムツ交換台も用意されている。'11.2.12
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▲広島を過ぎた頃から本格的な雪となり、山口県に入るとついに吹雪模様となってしまった。'11.2.12
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さて、車窓の雪はいよいよ本降りとなり、徳山駅を18分延で通過、所定12時23分着の新山口には27分延の12時50分着。すでにあたりの雪はほとんど吹雪といってよいくらい激しさを増してきており、前途が心配されます。

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▲クリックすると「今日の一枚 The Movie」より博多駅到着までの試乗列車の車窓をご覧いただけます。1分39秒
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▲10時04分、多くの報道陣が待ち受けるなか新大阪駅20番線に入線する試乗891列車。'11.2.12
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3月12日の全線開業からちょうど一ヶ月前となる先週土曜日2月12日、国土交通省近畿運輸局とJR西日本主催の山陽・九州新幹線直通試乗会が開催され、ひと足早く新大阪~熊本間を試乗してまいりました。この日は開業初日の指定券発売日でもあり、新大阪発の「みずほ」初列車の指定券は何と15秒で完売する人気だったそうです。

110213n012.jpg試乗列車は10時22分に新大阪駅を出て熊本駅に13時51分に到着するダイヤ。所要3時間29分で、これは開業後の営業列車の同区間最速達「みずほ」が3時間ちょうど、「さくら」が3時間20分から3時間24分で走破するのに比べるとかなりの余裕時分をとっての設定です。

▲新大阪駅には、いたるところに山陽・九州新幹線直通運転開始キャンペーンが...。'11.2.12
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ちなみに各停車(運転停車)駅の発着時刻設定は以下のようなもので、営業列車に比べ、博多の6分30秒、新鳥栖の6分停など停車時間が長めにとられていることがわかります。
新大阪 10:22発
新神戸 10:35-10:37
岡 山 11:13-11:16
広 島 11:51-11:53
新山口 12:23-12:24
小 倉 12:43-12:45
博 多 13:01.30-13:08
新鳥栖 13:22-13:28
熊 本 13:51着

山陽区間での最高速度は300㎞/h、九州区間では260㎞/hの設定ですが、あいにく当日は広島・山口両県が大雪に見舞われ、この影響で所定より遅延しての走行となりました。

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▲試乗会参加者に配られたタグとワッペン。タグの裏面には号車と座席の指定が記載されている。'11.2.12
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試乗列車に充当されたのはJR西日本所属、博多総合車両所配置のN700系7000番代S6編成。開業に備えて準備された「みずほ」「さくら」用N700系は合計29編成。1号車(下り方)からMc+M1+M' +M2+M2W+M's+M1h+Mc'の8輌編成で、基本的には同一仕様ながらJR西日本所属の19編成(S1~S19編成)は7000番代、JR九州所属(熊本総合車両基地所属)の10編成(R1~R10編成)は8000番代を名乗っています。

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▲新大阪駅1階で9時30分から行われたJR西日本によるプレスカンファレンス(左)が終わるといよいよ試乗列車が入線する20番線へ(右)。テレビ局クルーは機材も多くたいへんそう。'11.2.12
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▲新大阪駅20番線の案内は「回送891」を表示(左)。車輌の側面表示は「試乗会」を示している(右)。'11.2.12
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110213n005.jpg「みずほ」「さくら」用N700系そのものの試乗会はこれまでにも行われておりますが、JR九州所属車は九州区間のみで、JR西日本所属車は山陽区間のみでの試乗にとどまっており、山陽・九州新幹線直通での試乗会はこの日が初めてとなります。列車には報道関係者のほか、関西大手私鉄の経営陣の皆さんなど50名ほども乗車、到着地の熊本、さらに鹿児島では関西への誘致集客を図るべく各種のPRイベントやレセプションが設定されていました。
▲テレビ局はじめプレス陣には6号車に半室構造で設けられたグリーン車が人気。座り心地のレポートが続く。'11.2.12
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▲客室間仕切りに掲げられたJR西日本のキャンペーンポスター。JR九州所属車には別バージョンのポスターが入る。'11.2.12
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待望の試乗列車は10:04に20番線に入線、唯一ドア扱いが行われる7号車上り方のドアから全員が乗車し、定刻10:22に新大阪駅をあとにしました。

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▲クリックすると「今日の一枚 The Movie」より新大阪を出発する試乗列車の車窓をご覧いただけます。1分56秒
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▲かつての熱海鉄道の山越えを髣髴させる牧場裏手の斜面を行く"へっつい"の列車。'10.12.5
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東海道本線の小田原駅からバスで10分ほど山側に行ったところに小田原こどもの森公園「わんぱくらんど」があります。小田原市が運営するこの施設は、1991(平成3)年9月に国から指定を受けた全国15か所の「平成記念子供の森公園」のひとつで、市制60周年を記念して2000(平成12)年に開園しました。この「わんぱくらんど」に"へっつい"が走っていると聞き、訪ねてみることにしました。

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▲電動レプリカとはいえ良くイメージを捉えている。一応ブラスト音らしい擬音とささやかなスモークも出る。'10.12.5
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"へっつい"とは大日本軌道鉄工部(雨宮)などが軌道用に製造した小型蒸気機関車の愛称で、志賀直哉が小説「真鶴」(1920年)の中でこう形容したことから名付けられたもの(アーカイブ「熱海の"へっつい"を見る」参照)。大日本軌道小田原支社(熱海鉄道)所属機が"語源"ですから、小田原市にとっても縁の機関車に違いありません。

101209nn004.jpg園内の東管理棟前のエントランス広場駅と園内中央に位置する冒険の丘駅を結ぶ軌道は全長約520m。エンドトゥエンドの線形ながら両端駅はリバースとなっており、列車は自動的に方転して常にチムニーファーストとなります。肝心の機関車は大阪市の遊具メーカー・泉陽興業/泉陽機工で2000(平成12)年4月に製造されたもので、"へっつい"の特徴を見事に捉えた秀作です。なお、このメーカーは那須にある「りんどう湖ファミリー牧場」のアプト式鉄道(アーカイブ「知られざるアプト式鉄道」参照)も手掛けています。
▲路線の両端はスプリングポイントを用いたリバース線となっており、列車は機回しをすることなく編成ごと方転する。'10.12.5
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使用電圧は200V。興味深いのはその粘着方式で、台枠内に巧みに仕込まれたゴムタイヤが、勾配区間では軌道中央に設けられた走路を踏んで粘着を稼ぎます。路線にはかなりの急勾配も見受けられますが、このギミックによって"へっつい"は難なく2輌の客車(36人乗り)を牽引してしまいます。

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▲「わんぱく砦」を行く列車。天気に恵まれれば遙か周辺の山々も見渡せる絶好のビューポイントとなる。'10.12.5
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▲機関車背面に取り付けられた泉陽興業・泉陽機工の製造銘板(左)。勾配区間の軌道間にはタイヤ走路が設けられており、ゴムタイヤがこの走路で強力な粘着を得ている(右)。'10.12.5
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こども列車「なかよし号」と名付けられたこのミニ列車、平日には10時~15時台に30分ヘッド、休日・混雑時には9時30分から16時の間状況に応じて周回運転を行っています。乗車料金は大人(中学生以上)300円、小人(小学生)100円(未就学児は無料/いずれも片道)。開園時間は9:30~16:00(夏休み期間は16:30)、休園日は毎週月曜日(祝日を除く)・祝日直後の平日・年末年始(12/28~1/4)・雨天(GW・夏休みは無休)。市の施設だけに入園無料というのも特筆されます。春めいてきた休日の一日、"へっつい"に会いに出かけてみられてはいかがでしょうか。

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▲ちなみに熱海駅前の"本物"は公式側を遮っていた植栽が取り除かれ、ここ数十年で最も写真が撮りやすい状態となっている(アーカイブ「熱海の"へっつい"を見る」参照)。光線状態は午前中、しかもビル影が抜ける11時頃がベスト。'10.12.4
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第21回:さらば北ドイツ。(最終回)

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▲"自家用車"で送迎してもらう島の民宿の宿泊客たち。着ぶくれしたこの姿で北海を渡ってきたが、それでもかなり寒そう。'10.9.17 Dagebull
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「島軌道」Oland-Langeness線との出会いは、今回の北ドイツのナロー巡り最大の収穫でした。まさか21世紀のヨーロッパ、しかも、もともとの西ドイツ側にこんな鉄道が残されていたとは驚くほかありません。帰国後、いろいろと調べてみると、この北フリージア諸島、さらにオランダ国境にほど近いフリージア諸島には歴史的に数々の「島軌道」が敷設されており、フリージア諸島側のいくつかの島には現在でも観光鉄道として命脈を保っているものもあります。しかし、今回ご紹介したOland-Langeness線やNordstrandishmoor線のようなプリミティブな現役実用路線はほかに見当たりません。

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▲また1台、島民が"自家用車"で島へと帰ってゆく。乾いたエンジン音を響かせてヤード出口の灯台横をすり抜け、堤防の土手を駆け上がってゆく。散歩の馬や犬も馴染みなのだろう、軽く手を上げて北海へと走り去っていった。'10.9.21 Dagebull
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環境条例の改定によって2012年をもって採掘が禁止されターフ(ピート)採掘用の軌道が消えるのではないか...もともとはそんな危機感に背中を押されての訪独でしたが、結局、初日に右も左もわからずに覗いてみた島軌道の魅力にとりつかれ、わずか5日の滞在期間のうち3日を島軌道に費やすこととなってしまいました。旧市街をゆくバート・ドーベランの路面蒸機、リューゲン島の古典車輌たち、そして島軌道...あまりに濃密なナロー三昧の日々は、わずか4カ月前にも関わらず、今となってははるか昔の出来事のように思えてなりません。

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▲ヤード入口のささやかな踏切で列車を待つ私。次に現れるのはボートだろうか、はたまた例の「ウシ」だろうか...至福の時間が過ぎてゆく。'10.9.21 Dagebull P:木村右史
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第20回:続々・沿岸整備局の車輌たち。

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▲島民たちの"自家用車"置き場はヤードの入口近くの側線。いっぽう沿岸整備局の車庫はヤードの最奥に位置する。古いSchömaが作業車を車庫線へと押し込んでゆく。'10.9.17 Dagebull
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引き続き沿岸整備局の車輌たちをご紹介いたしましょう。2009年製のSchömaをはじめ近代化が進む機関車のなかでひときわ目を引いたのが1970(昭和45)年製の製番3263です。驚くほど小柄なこのSchömaは、車齢40年とこの手のフェルトバーン機としては古参の部類と言えるでしょう。

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▲1970(昭和45)年製のSchöma(製番3263)の牽く作業車。ロスターによればほぼ同形の1961(昭和36)年製(製番2550)も在籍しているようだが、ついに見かけることはなかった。'10.9.17 Dagebull
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25.5PSと非力ながら、いつも2軸の作業車1輌を牽いて島との間を行き来していましたが、どうも本機の場合は機回しをすることがないようで、島へと向かう列車は正面向きの牽引、帰りは作業車を先頭にした推進運転となっていました。それにしても、作業車の方が車幅も大きく、推進時にいったいどうやって前方確認しているのかは不思議です。

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▲島から戻ってきて給油するSchöma3263。若い運転士なので英語が通じるだろうと、今日はもう運転は終わりかと訊いたがまったく通じない。夕方なのでそのまま入庫するに違いないと走行写真を断念してその場を離れると、ニコニコ手を振りながらまた島へと走り去っていってしまった。'10.9.17 Dagebull
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110129n005.jpg島民用車輌と異なり、こんなミニ機関車といえどもさすがに"オフィシャル"だけあって列車無線(?)も装備されており、屋根上には細いアンテナ線が突き出ています。ドライバーも運転時にはインカムをしているので、沿岸整備局の列車に関しては走行中もディスパッチャーとの間でやり取りが行われているものと思われます。
▲製番3263は自重3.5t、25.5PS。キャブはかなり狭く、運転席は横向きにレイアウトされている。'10.9.17 Dagebull
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▲走る物置といった風情の作業車。室内には資材のほかに作業員用のスペースも設けられている。'10.9.17 Dagebull
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▲島から帰ってきたナベトロにはなぜか廃家電が...。どうやら沿岸整備局は島の粗大ゴミ回収の役割も担っているらしい。'10.9.21 Dagebull
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このように、滞在中の足かけ3日間で目にすることのできた車輌だけでも驚くべきバラエティーでしたが、恐らくまだまだ未見の車輌が少なくないに違いありません。「島軌道」Oland-Langeness線の全容解明はそう簡単ではなさそうです。

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▲「コニカミノルタプラザ」は新宿駅東口駅前の抜群の立地。周囲の喧騒とは無縁の静寂も心地よい。'11.2.3
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2月1日(火曜日)から東京・新宿の「コニカミノルタプラザ ギャラリーC」で米屋浩二さんの写真展「アジアン鉄道で行こう」が開催されています。米屋さんは5年ほど前には斉木 実さんとお二人で写真展「鉄道遺産を旅する」を開かれ(→こちら)、銀塩モノクロームに拘わった独特の世界が評判を呼びました。

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▲例によって展示作品はすべていわゆる「黒線出し」でプリントされている。わずかに画面周囲の黒枠まで焼き込んだこの手法は、ノートリミング=写しとったものをすべて見せようという記録としての写真の力を感じさせる。'11.2.3
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今回の写真展のテーマはアジア。1994(平成6)年からアジア各国の鉄道を旅してこられた米屋さんは、ここでも銀塩モノクロを手放さず、その日常の情景を丹念に写しとってこられました。1968(昭和43)年生まれとお聞きしますから、ライフワークと呼ぶには早すぎるかもしれませんが、2003(平成15)年には「Asian Train Love」で富士フォトサロン新人賞も受賞されており、すでに独自の境地を形作りつつあるといっても過言ではないのかも知れません。

110204n001.jpg上海から成都への長距離列車は2泊3日を要し、2日目を迎える頃から、車内には生活の匂いがにじみ出て、「その光景は、まるで走る"長屋"のようだった。乗客同士は他人のはずなのに、いつの間にか、昔から顔見知りのように同居している。そんな落語の一席にでも登場しそうな車内空間で、僕も長屋の住人として認められている」と解説文で米屋さん。ここに登場する"アジアン鉄道"には遠い昔には日本でも感じられた人と鉄道の濃密な距離感が息づいています。やはりご本人の解説にあるように、「国にも年齢があるとすれば、思春期や青春まっただ中...」の諸国だからこそなのかもしれません。
▲一番のお気に入りという子犬を抱く少女(タイ)の作品を前にした米屋浩二さん。'11.2.3
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ところで、ご承知のように銀塩モノクロームを取り巻く環境は年々厳しさを増しており、今回の写真展に際しても印画紙の調達にひとかたならぬ苦労があったとお聞きします。レンタル暗室で自らプリントするのを身上としている米屋さんですが、長年お気に入りだったアグファの印画紙が入手できなくなってしまったため、代替品をアメリカから個人輸入して今回の作品作りをされたそうです。

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▲ライカ判に交じって散見されるスクエアフォーマットの作品が特に目を引く。テッサーF3.5付きのローライフレックス(6×6)で捉えたものだそうで、被写界深度の浅さとあいまって、"モノクロのテッサー"と形容される描写力、ヌケの良さ、4枚玉ならではのピントの芯(アーカイブ「いまさらながらの二眼レフ」参照)...デジタルでは決して感じられない銀塩モノクロの"説得力"を再認識させてくれる。'11.2.3
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今回登場するのはインド、ミャンマー、タイ、マレーシア、インドネシア、カンボジア、ベトナム、中国、台湾、韓国の10カ国。どの国でも車内の「長屋」で出会った人々の笑顔が印象的です。米屋さんの"アジアン鉄道"行脚はまだまだ続くに違いありません。

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▲春爛漫の小湊鐵道は首都圏で人気のスポット。あと2か月もすればこんな光景に出会える。'10.4.4 P:矢野登志樹 (『お立ち台通信』Vol.7より)
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ホビダスブログ「お立ち台通信」を一冊のハンドブックに、という読者の皆様からのご要望によって誕生した単行本の『お立ち台通信』。本日2月3日発売の最新刊でvol.7となります(→こちら)。vol.1の刊行が2008年2月ですから3年前のことです。つい最近にように思えますが、表紙の余部橋梁は架け替えられ、キハ181系は「はまかぜ」から引退しています。特急「北陸」、特急「富士・はやぶさ」は消え、急行「能登」は臨時列車に。特急「北斗星」「カシオペア」はEF81からEF510に牽引機が代わりました。新幹線500系ももう東海道区間では見られません。たった3年で、大きく撮影対象も様変わりしてきました。

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▲『お立ち台通信』もついに7巻目。累計1749箇所の撮影ポイントをご紹介してきたことになる。 (『お立ち台通信』Vol.7より)
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vol.7の特集は関西・北陸エリアの特急「日本海」「トワイライトエクスプレス」、気動車の楽園 春の房総、日豊本線485系ファイナルガイドの3本立て。今や貴重な存在となってしまった寝台特急、消え行く国鉄型特急電車の撮影の手引きとして役立つよう編集いたしました。また、房総では、いすみ鉄道の国鉄色キハ52の運転が開始される見込みとなっており、それに合わせてJR久留里線、小湊鐵道を取り上げています。今後、気動車の楽園・房総は一層盛り上がりを見せるはずです。

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▲数少ないブルートレインとして人気急上昇中の特急「日本海」。EF81との組み合わせも大きな魅力。'10.1.3 P:熊 博毅 (『お立ち台通信』Vol.7より)
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本書にはvol.1が241か所、vol.2が250か所、vol.3が240か所、vol.4が252か所、vol.5が248か所、vol.6が264か所、そして最新のvol.7が254か所、延べ1749か所の撮影ポイントが掲載されています。3年で大きく環境の変わってしまった場所もありますから、現在はすべて有効というわけではありませんが、撮影地ガイドシリーズとしては空前の規模となっています。

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▲3月改正で定期運用から引退してしまう日豊本線の485系「にちりん」。残された日はわずか...。'09.3.18 P:藤田高士 (『お立ち台通信』Vol.7より)
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このシリーズの撮影地は「誰でも手軽に安全に」というのが基本となっています。その方針に沿った撮影地が今日も全国からブログに寄せられています。近隣の方々は誰でも知っている場所と思っても、初めて遠方から来る方々は不案内。ありふれた...、などと躊躇わず今後も基本的な場所をご投稿いただければと思います。

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▲名所・宗太郎越えを行く国鉄色485系。美しいカーブを俯瞰で捉える。'10.9.19 P:渡邉邦治 (『お立ち台通信』Vol.7より)
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今年はC61 20号機が復活いたします。そして、新幹線もE5系の登場、九州新幹線の開通など大きな話題が目白押し。また、一度ご紹介したポイントでも年月が経てば車輌や環境が異なって最新のものを掲載する必要性も高くなってきます。インターネットを通じてご投稿いただくというスタイルの利点を最大限に生かして、今後も最新の話題を盛り込んで皆様とともに刊行して行ければと思います。
マナーを守って安全に楽しく鉄道写真撮影を楽しんでください。

※明日2月4日(金曜日)15時30分頃から20分ほど、NHKラジオ第一「金曜旅倶楽部」で阪堺電車のお話をします(通常は第5週担当です)。全国放送ですので、どちらからでもお聴きになれます。(→こちら
また翌2月5日(土曜日)10時からはFM横浜で明日から始まる「ヨコハマ鉄道模型フェスタ」をはじめとしたお話をいたします。パーソナリティは「おくりびと」などで知られる脚本家の小山薫堂さん。こちらは地域限定ですが、どちらも生放送です。(→こちら


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▲展示棟の屋根の除雪に奮闘する参加者の皆さん。写真は昨年のツアーの様子。P:三菱大夕張鉄道保存会提供
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このところの例年にない大雪は北海道も例外ではなく、これまでにも幾度となくその窮状をお伝えしてきた北海道・夕張市の「石炭の歴史村・SL館」も深い雪に覆われてしまっているそうです。

110202n003.jpg毎年この季節にはその「石炭の歴史村・SL館」のボランティアによる雪下ろしツアーをお知らせしておりますが、今年は数年来例を見ない積雪に、企画にあたっている三菱大夕張鉄道保存会から"SOS"の連絡をいただきました。メールによれば、「SL館」周辺の1月17日時点での積雪は146㎝。昨年同日が97㎝だったでそうですから、1.5倍以上の雪に埋もれてしまっていることになります。
▲昨シーズンの積雪状況。「SL館」の象徴であるFRP製の巨大D51もしっかりとその存在がわかる。P:三菱大夕張鉄道保存会提供
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▲そしてこちらが今年1月24日の状況。FRP製の巨大D51さえもどこにあるのか判然としないほど周囲が埋まってしまっている。P:三菱大夕張鉄道保存会提供
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▲昨年のツアーから。除雪に汗を流したあとは普段は立ち入ることのできない「SL館」内で昼食。P:三菱大夕張鉄道保存会提供
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昨年行なわれた雪下ろしツアーでは、「SL館」を護ろうと多くの皆さんがボランティアに参加され、無事にひと冬を乗り切ることができましたが、積雪量からしても今年はまさに非常事態といえましょう。夕張市の財政破綻によって指定管理者が撤退してしまった今となっては、夕張鉄道14号、三菱大夕張鉄道4号など貴重な炭礦鉄道資料を収蔵した「SL館」の行く末は残念ながら未だに不透明のままですが、まずは大過なく雪解けの春を迎えられることを願ってやみません。

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『夕鉄バスで行く 夕張・SL館 雪おろしツアー』
昼弁当・温泉入浴付き(レースイの湯) 参加費 3,000円
・催行日 2月13日 日曜日 (申し込み締め切り2月9日・水曜日)
・募集人員 40名
※乗車場所
・札幌大通西3(8:00発)(夕鉄バス バス停)
・地下鉄白石駅(8:20頃)(環状通 ロイヤルホスト前)
・本通8丁目(8:25頃)(夕鉄バス 江別方面バス停)
・新さっぽろ駅(8:35頃)(地下鉄9番出口)
・大麻駅南口(8:42頃)(夕鉄バス 江別方面バス停)
・野幌駅南口(8:55頃)(夕鉄バス 江別方面バス停)
・野幌バスターミナル(9:00)(江別・栗山方面のりば)

作業 10時30分~15時頃 途中1時間の昼食・「SL館」内見学があります。
温泉入浴 15時30分~16時30分 レースイの湯

・札幌帰着 18時30分頃
※できるだけ プラスティックかアルミ製のスコップを持参願います(無い場合は夕張市が準備しますが、数に限りがあります)。
※バス車内で作業の説明を行います。 高所作業が無理な方も地上作業があります。
※雪おろしの性格上、同伴を含め中学生以下の参加はご遠慮願います。
※当日の昼食・休憩時に貴重な鉄道資料が保存されている「SL館」内を見学できます。

企画  三菱大夕張鉄道保存会
主催・参加申込  夕張鉄道株式会社
夕鉄旅行センター江別営業所(旅行業 北海道知事登録第2-167)
電話 011-382‐1101
FAX 011-382-0105

詳しくは→こちら

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第19回:続・沿岸整備局の車輌たち。

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▲朝日を浴びてヤードを出る沿岸整備局の作業列車。画面左には北海が広がり、のんびりと土手の草を食むヒツジたちが列車を見送っている。'10.9.21 Dagebull
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この沿岸整備局の列車は早朝に事務所のあるDagebullのヤードを出て、夕方早めに帰ってくるのが日課のようで、毎日3列車ほどが本土と島の間を行き来しています。

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▲新車"6419"とともに主力として活躍している本機は1985年製のSchöma(製番4816)。かなり小型で、もっぱら軽工事列車の牽引に使用されていた。'10.9.21 Dagebull
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110129n018.jpg驚いたのはその朝が早いこと。例の"渚ホテル"に投宿した際は、相手が官公庁だけに"9時ー5時"だろうとタカをくくってのんびりと朝食をとっていたのが間違いで、8時過ぎにヤードに出向くとすでに先発列車の姿はなく、呆然としました。ホテルからヤードまでは目と鼻の先。朝食前には桟橋に散歩に出てnegの上り列車の撮影などしていたのですから、いっそのことヤードまで歩き、一番列車の発車を見送ってからホテルに戻って朝食をとれば良かったと反省しきりでした。
▲庫内で待機する製番4816のフロントビュー。'10.9.21 Dagebull
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▲洋上の交換所での作業を終えて戻ってきた工事列車。フラットカーに載っているのは凝固剤のタンク。'10.9.21 Dagebull
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早朝に島へ向かった列車は引き揚げてくるのも早く、14時頃から続々と北海を渡って戻ってきます。ヤードに着くなりバラバラと客車を降りた作業員たちは足早に駐車場のマイカーへと急ぎ、あっという間に家路についていってしまうのでした。

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▲さながらガレージのような形態の2軸作業車。車内には各種の機材とともに作業員スペースも設けられている。'10.9.21 Dagebull
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110129n017.jpgところでこの作業列車、毎日いったい何の作業をしているのかと訝しく思っていたのですが、どうやら護岸の保全工事がその主たる任務のようです。先にご紹介したNordstrandishmoor(ノルトシュトランディッシュモール)島への軌道(→こちら)と同様に、このOland(オーラント)島・Langeness(ランゲネス)島への軌道もつい最近までは満潮時には波を被るような状態でした。そこで2009年にかけてDagebull-Oland間の大規模な改修工事が行われ、洋上の軌道道床を数十センチ嵩上げするととともに重軌条化が実施されました。現在も凝固剤の流し込みなど関連工事が続いており、作業列車はそんな役目も担っているのです。
▲出入口は片側妻面のみ。車高に比べて異常に高い煙突がチャームポイント。'10.9.21 Dagebull
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