鉄道ホビダス

2011年1月アーカイブ

第18回:沿岸整備局の車輌たち。

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▲一日の仕事を終えて沿岸整備局の作業列車が帰ってきた。市民が憩う土手を駆け降りる列車の先頭にたつSchömaは2009年製の"新車"。'10.9.17 Dagebull
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「島軌道」Oland-Langeness線の主役は、実は「ウシ」やその仲間たちではありません。沿岸整備局(沿岸保護や環境整備を行う独立行政法人?のようですが、正式名称はわかりませんでしたので仮にこう呼びます)の車輌こそがこの軌道のオフィシャルであり、「ウシ」とその仲間はいわばプライベート・エントリーといったところでしょうか。

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▲Oland-Langeness線のニューホープSchöma(製番6419)はいかにも現代の産業用ロコといった味気ないスタイル。'10.9.21 Dagebull
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機関車のロスターによれば、現在、沿岸整備局Oland-Langeness線に所属している機関車は5輌。いずれも地元のSchöma製で、最も古いものは1961(昭和36)年製(製番2550)ですが、残念ながら本土Dagebull側ではその姿を確認することができませんでした。島内にいるのか、はたまたすでに廃車されてしまったのかはわかりません。

110129n007.jpgいっぽう驚きなのはピカピカの新車が幅を利かせていたことです。製造番号6419は何と2009年製。1930(昭和5)年創業のSchöma社はブレーメン南方に本社工場を構える北ドイツ、いや西側ヨーロッパを代表する産業用機関車メーカーで、世界各地に数多くの製品を送り出しています。小型ロコばかりか、最大80t規模の入換用ディーゼル機関車まで生産しており、北ドイツのターフ軌道にも精力的に新鋭機を納入しています。この製番6419も一連の規格品の流れを汲むもので、趣味的には少々無味乾燥な気もしますが、さすがに性能は抜群のようで、毎日、定期列車の先頭にたって大活躍していました。
▲そのバックビュー。防音性も抜群で、エンジン音も極めて低い。'10.9.21 Dagebull
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▲作業員輸送に活躍する客車(人車)。担バネも備えた立派なもので、日々第一線で活躍している。'10.9.21 Dagebull
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▲その車内。中央にヒーターを備え、居住性は抜群に良さそう。島民の"自家用車"とは比べ物にならない。'10.9.21 Dagebull
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島民たちの"自家用車"と異なり、職員輸送用の客車も立派なものが揃っています。Schömaの新車と組んでいたのが、木造の小洒落た車体を持つ客車。かなり幅広な車内はルーミーで、保温効果も良さそうです。この客車は見ている限りでは2軸の工作車と組んで運用されていることが多かったようです。

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▲ランドマークとなっているヤード入口の灯台横を通って帰ってきた沿岸整備局の定期列車。左後方の側線には例の「ウシ」が休んでいるのが見える。'10.9.17 Dagebull
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昨年、一昨年と大好評を博した「冬のSLと石炭のマチ・釧路」~SL冬の湿原号撮影・乗車と釧路の石炭産業・鉄道名所を体験する3日間~が、今年もJR北海道釧路支社から発売されています。
▲選炭場から連接構造のセキ6000を引き出すディーゼル・エレクトリックのDE601(アーカイブ「もうひとつのディーゼル・エレクトリック」参照)。'07.1.20 太平洋石炭販売輸送春採 P:名取紀之
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fuyukushiro_1n03.jpgあらためてご紹介いたしますと、これは釧路商工会議所、釧路市などでつくる「くしろ圏広域観光推進コンソーシアム」が、地場産業や地域資源を活用した観光活性化を進めている「くしろ海底力(そこぢから)プロジェクト」の事業として行なわれるもので、「石炭」をキーワードに、釧路の石炭産業や鉄道産業について理解を深めることをテーマに企画された「海底力モニター見学会&体験会」です。普段立ち入れない鉄道名所(炭鉱の坑外軌道や釧路運輸車両所など)や訪問しづらい場所を含め、釧路の鉄道名所を訪問できるツアーとして毎年好評を得てきましたが、3年の期限事業であるため、モニターツアーとしての実施は最終年度となります。
・昨年の様子はこちら
・一昨年の様子はこちら

▲通常は立ち入ることのできない釧路運輸車両所でC11を見学。P:釧路臨港鉄道の会
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▲昨年のモニターツアーから。D701とD801のコンビで結氷した春採湖岸を行くシャトルトレインを撮影。'10.2.19 太平洋石炭販売輸送臨港線春採-知人 P:釧路臨港鉄道の会
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fuyukushiro_1n.jpg今年は東京発と札幌発2つのコースが釧路で合流する2泊3日の日程で、今回も釧路コールマインでの視察研修会に参加、JR釧路運輸車両所での見学時間も大幅に延長し、最終日には「SL冬の湿原号」の沿線撮影や乗車も楽しめます。もちろんこれまで同様「釧路臨港鉄道の会」の皆さんが企画からガイドまで全面協力し、鉄道好きの気持ちになってコーディネートしてくださいますので、太平洋石炭販売輸送の石炭列車が運行される場合は沿線撮影を優先して随時行程を変更するなど、お仕着せのツアーにはない臨機応変さも大きな魅力です。また、厳冬期の北海道だけに、地元の皆さんがエスコートしてくれるのも心強い限りです。

▲春採湖湖畔を行く太平洋石炭輸送販売のシャトルトレイン。P:釧路臨港鉄道の会
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「冬のSLと石炭のマチ・釧路」
~SL冬の湿原号撮影・乗車と釧路の石炭産業・鉄道名所を体験する3日間~

●2011(平成23)年2月18日(金)~20日(日)2泊3日
募集人員: 東京羽田発着10名、札幌・南千歳発着10名(最少催行人員各コース5名)
旅行代金:(1名1室)
東京発着コース(往復航空機利用)64,000円
札幌発着コース(往復JR特急列車利用)37,500円
 ※2名1室利用は1名あたり1,000円
利用ホテル 釧路東急イン
現地移動・貸切バス利用
食事:朝2回(ホテル)、昼3回(車内弁当)付
添乗員:釧路空港または釧路駅より現地同行します
※札幌発コースのみ最大3日間まで復路の日程を延長できます(東京発コースでは復路延長はできません)

fuyukushiro_1n02.jpg■主な行程
(石炭列車が運行される場合は沿線撮影を優先するほか、天候や道路状況に応じて行程を随時変更します)

▲釧路コールマインの坑外軌道で働くナローゲージの電気機関車。P:釧路臨港鉄道の会
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1日目(2月18日)
東京コース 羽田空港発8:55(ANA741便)-10:30釧路空港着=専用バスで釧路駅へ
札幌コース 札幌駅発7:03(スーパーおおぞら1号/新札幌・南千歳からの乗車も可能)-10:51釧路駅着(11:40改札口横集合までフリータイム)
釧路駅で東京発と札幌発合流=太平洋石炭販売輸送(石炭列車の基地・春採駅での見学または沿線撮影、以下同じ)=JR釧路運輸車両所(SL機関庫や転車台でC11を見学・撮影など)=ホテル
2日目(2月19日)
ホテル8:30頃=太平洋石炭販売輸送=釧路製作所SL8722号=太平洋石炭販売輸送=釧路コールマイン視察研修会(座学やVTR上映などで石炭産業を学んでいただいた後に、特別に坑外軌道を見学)=炭鉱展示館見学(坑内電車・機械などを展示)など=ホテル
3日目(2月20日)
(出発までフリータイム)ホテル10:00頃=SL沿線撮影など=標茶駅発13:52-「SL冬の湿原号」乗車-釧路駅着15:10
東京コース 専用バスで釧路空港へ 釧路空港発20:15(JAL1148便)-22:00羽田空港着
札幌コース 釧路駅発16:17-(スーパーおおぞら12号)-札幌駅着20:13(南千歳・新札幌下車も可)※ご希望によりスーパーおおぞら14号への変更も可能です
※詳細はJR北海道釧路支社のページをご覧ください.→こちら
問い合せ・申し込み:JR北海道・旅行センター釧路支店 電話:0154-25-4890

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▲昨年のモニターツアーから。近代化産業遺産の8722号(旧雄別鉄道)を見学。'10.2.20 釧路製作所 P:釧路臨港鉄道の会
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冒頭でも触れましたように、3年にわたって「くしろ圏広域観光推進コンソーシアム」の関連事業として行われてきたこのモニターツアーも今回が最後となります。モニターツアーだからこその魅力あるプログラムと、コーディネーター役の「釧路臨港鉄道の会」の皆さんの温かいアテンドに支えられ、ファン同士の数多くの出会いも生まれたと聞きます。余席わずかのようですので、この最後のモニターツアーも盛況で催行されるものと思いますが、ぜひこれを端緒として新たな展開が生まれることを願ってやみません。

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▲華蔵寺公園遊園地から搬出されて一年、ついに復活の刻を迎えたC61 20号機。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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動態復活に向けて修復が進み、昨年12月にボイラー載せを行ったC61 20号機ですが、本日1月27日、ついに「火入れ式」が行われその模様が報道公開されました。各部の修復作業状況とあわせて、本誌誌上よりひと足早くその模様を動画を交えてお伝えいたしましょう。

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▲テンダーには重油タンクが埋め込まれ、ストーカーは外されている。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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今回報道公開されたC61 20号機は、主連棒こそ外されているものの、動輪や先台車・従台車を履き、炭水車も連結されて、修復作業がいよいよ大詰めを迎えたことをうかがわせます。「火入れ式」は、安全運行を祈願する祝詞奏上などの神事が神主によって執り行われたのち、JR東日本や修復に当たった東日本トランスポーテックの関係者らの挨拶をはさんで、投炭口にお神酒をかける「清め」の儀式、点火棒でボイラー内に火を入れる「点火の儀」、そして石炭をくべる「投炭の儀」が行われました。

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▲安全運行を祈願して、大宮総合車両センター内で神事が行われた。JR東日本や修復に当たった東日本トランスポーテック、サッパボイラなどの関係者が約50名が頭を垂れた。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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▲「点火の儀」の前に、お神酒を投炭口にかける「清め」が、JR東日本本社運輸車両部の井上課長ら5名の手によって行われた(左)。「点火の儀」が東日本トランスポーテックの山田車両事業部長および修復活動に尽力された大宮総合車両センターの加藤技術課長の手により行われた(右)。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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「火入れ式」はあくまでも神事とのことで、厳かに式次第が進行され、煙を噴き上げ汽笛を鳴らしたというわけではありませんが、今春とアナウンスされている営業運転開始に向けて大いに期待が膨らむところです。

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▲火入れ式が行われ、キャブ内にうっすらと煙が上がる。いよいよ復活間近となったことを象徴するシーンだ。なお、窓枠はニス塗りとなり、区名札には〔青〕が差し込まれている。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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▲空気作用管がハンドレールより下方に這うのも20号機の特徴(左)。C59由来だったウエップ付第2先輪は劣化があって新品のプレート車輪に代えられている(右)。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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▲残念ながらまだロッド類は嵌められていない。動輪はすべて新しいタイヤに履き代えられている(左)。ストーカーの撤去にともない機炭間の送り出し管がなくなってキャブ下に空間ができている(右)。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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▲重油タンクや各種保安機器が内蔵されたテンダーは、外観こそほとんど変わらないもののハイテク満載(左)。テンダー台車間に設置されたATS車上子(右)。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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▲もちろんスノープラウも復元された。補助灯には真新しいLP405が取り付けられている(左)。キャブ全景。分配弁回りの配管や泥溜排水管などはまだ未整備(右)。'11.1.27 大宮総合車両センター P:RM(小野雄一郎)
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▲クリックすると「今日の一枚 The Movie」の動画がご覧になれます。 11分33秒 RM(伊藤真悟)

取材協力:東日本旅客鉄道株式会社大宮支社

■これまでにご紹介したC61 20号機関連記事
・祝! C61 20復活決定。→こちら
・C61 20号機を搬出。→こちら
・C61 20の細部を見る(全8回)。→こちら
・C61 20 先輪振り替えの謎。→こちら
・ふたたびC61 20の先輪について。→こちら
・C61 20号機は今...(全2回)。→こちら
・C61 20 いよいよ動態復活へ。→こちら

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第17回:桟橋へ行く"neg"。

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▲フェリーをバックにDagebull Mole(ダゲビュール桟橋)駅で発車を待つnegの上り列車。気動車の後にDBの客車が連結されており、この客車は途中NiebullからIC2073列車に併結されてハンブルクへと直通する。ちなみに最後尾には派手な塗装の2軸の事業用貨車が連結されているが、これは電源車役と思われる。'10.9.17 Dagebull Mole
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「渚ホテル」の目の前にはダゲビュール桟橋(Dagebull Mole)駅があり、"neg"(Nortdeutsche Eisenbahngesellschaft Niebull GmbH)の2輌編成の気動車がトコトコとやってきます。名前のとおりまさに桟橋に設けられたホームの横にはフェリーが横づけされ、それなりに見どころのあるシチュエーションを演じてくれます。

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▲黄昏のダゲビュール桟橋駅。突端から内陸方面を見たところで、右奥に例の「渚ホテル」が見える。'10.9.20 Dagebull Mole
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この"neg"のNiebull-Dagebull Mole線(13.6㎞)は1895年の開業。かつては1000㎜ゲージのメトリック・ナローでした。戦前のナロー時代に「島軌道」Oland-Langeness線との何らかの連絡(ただしOland-Langeness線は900㎜ゲージ)があったのかどうかは定かではありませんが、渚ホテルのレセプションに掲げられたナロー時代の桟橋の写真には心動かされるものがあります。

110122n005.jpgところで、Niebull-Dagebull Mole線は基本的にシャトル運転ですが、4月から11月にかけての、いわば観光シーズン中はハンブルクからの直通列車が入線してきます。"入線"といっても列車そのものが入ってくるのではなく、DB本線のICとして走ってきた列車の客車1~2輌がNiebull駅で切り離され、negの気動車に牽引されてDagebull Mole駅までやってくるのです。
▲渚ホテルのレセプションに飾られていた戦前の桟橋風景。軌道はナローゲージ(1000㎜軌間)であることがわかる。それにしても渚ホテルの建物はこの当時からほとんど変わっていないのが驚き。'10.9.21 Strandhotel Dagebull
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昨年の時刻表によれば...
Hamburg   Dagebull Mole
  9:15   →  12:16 (IC2314)
10:48   →  13:50 (IC2074)
13:15   →  16:24 (IC2310)
14:48   →  17:39 (IC2170)
Dagebull Mole   Hamburg
  9:35   →   12:42 (IC2311)
12:00   →   15:11 (IC2171)
13:25   →   16:42 (IC2315)
16:05   →   19:09 (IC2073)

と直通列車が4往復設定されており、3時間ほどでドイツ第二の都市ハンブルクと結ばれています。

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▲風力発電の風車や羊たちに囲まれてのんびりと走るnegのローカル列車。この写真はヤード前の堤防上から撮影したもので、カメラを左手前に振ると島軌道のヤードが写り込むことになる。'10.9.21 Dagebull
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残念ながら実見することはかないませんでしたが、もうひとつ驚きなのがこのNiebull-Dagebull Mole線での蒸機運転です。昨年は7月後半の土日に"Plan-Dampf"として運転され、You Tubeにも各種の動画が投稿されています。牽引機は1923年ヘンシェル製2C2タンク機の「78-468」。あの桟橋駅を発車するシーンはなかなか魅力的です。

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▲negの案内パンフレット。2010年は7月下旬に"Plan-Dampf"としてNiebull~Dagebull Mole間で蒸機運転が行われた。今年はどうだろうか?
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ということは、日によっては「ウシ」たちと蒸機を同じ画面に捉えることも不可能ではないわけです。彼の地でのレンタカーの運転はちょっと...という方には、ハンブルクからの直通ICでゆったりとダゲビュールへ。「渚ホテル」に泊まって島軌道とプラン・ダンプを堪能する...そんなプランもお勧めです。

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第16回:「渚ホテル」にて。

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▲Dagebull Mole駅を発車、"Strandhotel Dagebull"=渚ホテルの玄関をかすめるように発車してゆくnegのNiebull行き気動車。右前方奥にフェリー乗り場が見える。'10.9.21 Dagebull Mole
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「島軌道」Oland-Langeness線の起点Dagebull(ダゲビュール)へはハンブルクからクルマで2時間半ほど。決して"通勤"できない距離ではありませんが、9月20日の夜は現地で一泊しようと、木村さんと宿を探すことにしました。

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▲地元市街図の接写。「島軌道」Oland-Langeness線の線路は"Lore Bahn"=トロッコ鉄道として表記されている。「ウシ」のヤードとneg本線とは本当に目と鼻の先。かつては荷役設備など何らかの接続があったのかも知れない。
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Dagebullにはささやかなフェリー埠頭にその名もDagebull Mole(ダゲビュール・モーレ=桟橋)という名の駅があり、"neg"(Nortdeutsche Eisenbahngesellschaft Niebull GmbH)という非電化のローカル鉄道が入ってきています。このダゲビュール桟橋駅前に白亜の小ぢんまりとしたホテルが建っており、これが駅周辺では唯一と思われる"Strandhotel Dagebull"(Strandは浜、渚の意。つまり「渚ホテル・ダゲビュール」)でした。

110123n010.jpgヤードで「ウシ」たちと戯れて、気づいてみるともう夕方。決してハイ・シーズンではないものの、9月中旬だけに予約もなしでは泊めてもらえないのでは...と思っていたのですが、そこはドイツ在住30年以上という木村さん、あっという間に部屋をとってきてくれました。しかもその料金たるや、朝食付きで69€(約7,700円)。あとからわかったことですが、戦前からの由緒ある建物のホテルで、アコモデーションもアンチークで実に綺麗。部屋には各種のサニタリー・グッズも備えられており、朝食も焼きたてのパンはもとより、ハムやらチーズやらえらく充実したもので、"定宿"にしているibisチェーンとはえらい違いでした。
▲Dagebull Mole駅側から渚ホテル横をゆくneg本線を見る。防潮堤の門扉が開け放たれているのがわかる。'10.9.17 Dagebull Mole
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▲渚ホテルの部屋から海岸を臨む。シーズン中は賑わったであろう小屋風のビーチチェアーが並んでいるのが見える。島軌道のヤードは画面左の建物の影になってしまっており、こちら側の部屋からは見えないのが残念。'10.9.21 Strandhotel Dagebulll
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▲渚ホテルは小ぢんまりとしているが、いかにもヨーロッパの田舎の歴史あるホテルらしい風情。部屋にはしっかり薄型テレビもあるが、エレベータはなく、急な階段(左)でトランクを運び上げるのには一苦労。'10.9.20 Strandhotel Dagebull
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110122n009.jpgインダストリアル・ナロー探訪にはそれなりの覚悟はつきもので、まずまともな宿泊は望めないのが常...熱湯と冷水が交互に噴き出てまったく使い物にならないシャワーやら、天井から落ちてくるヤモリ除けの蚊帳やら...といった状況から考えるとこの「渚ホテル」は夢のようです。Dagebull Mole駅が目の前に広がるレストランも実に雰囲気が良く、この日ばかりはジャンクフードを離れて名産のムール貝のワイン蒸しなどに舌鼓を打ったのでした。
▲レストランで名物と聞くムール貝を頼んだら、バケツほども出てきた。美味ながら食べれども食べれども減らない。ちなみにビールにワインも頼んで締めて25€(約2,800円)。'10.9.20 Strandhotel Dagebull
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▲例の「ウシ」の向こうに見えるのが渚ホテル。こんなプリミティブな軌道から歩いて帰れる範囲に立派なアコモデーションのホテルがあるのはさすがドイツ。'10.9.17 Dagebull
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残念ながら(?)コースト・ビューの部屋があてがわれ「ウシ」たちのいるヤードを見通すことはできませんでしたが、ホテルとヤードは直線距離でほんの200メートルほど。今度宿泊する際は、海側ではなくあえてヤード側の部屋をとって、ゆっくりと「ウシ」たちの生態を観察しながら過ごしてみたいものです。

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253系1000番代誕生。

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▲東武相直カラーを継承しつつ、東照宮等の社寺の「赤」、紅葉・日光キスゲの「黄」をまとった253系1000番代。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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4月16日より営業運転を開始する日光・鬼怒川ダイレクトアクセス特急用の253系1000番代が、1月21日に報道公開されました。

253_1000_002.jpg公開されたのはOM-N02編成で、改造種車は253系200番代です。東武日光・鬼怒川温泉方から1号車・2号車となり、新宿方が6号車となります。編成は1号車からクモハ252-1002(M'c)+モハ253-1002(M)+モハ252-1002(M')+モハ253-1102(M)+サハ253-1002(T)+クハ253-1002(Tc)の4M2Tで、全車普通車とされています。
▲新宿方先頭車クハ253-1002を正面から見る。貫通扉を撤去し、窓ガラスと愛称表示器を設置したのが特徴的。なお助士側に表記されている編成番号は、東急車輛出場時は「OM-N2」だったが、「OM-N02」に変わっている。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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車輌カラーは、現行の485系・189系の東武相直カラーを継承しつつも、現地を代表する観光素材カラー(東照宮等の社寺の「赤」、紅葉・日光キスゲの「黄」、レンゲツツジ・紅葉の「橙」、鬼怒川渓流・中禅寺湖の「青」)を配色しています。

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▲前面の愛称表示器は4カ国語で表示される。特急「日光」では、日本語+英語、日本語+韓国語、中国語の3パターン。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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外観上では、先頭車の前面は貫通扉が廃止され、その部分に大型窓とLED式の愛称表示器が取り付けられたのが特徴で、愛称表示器は4カ国語(英・中・韓・日)で表示されます。なお、自動車内放送は4カ国語で放送されますが、車内LED装置と側面行先表示器は2カ国語表記となっています。しかし、こちらも今後は4カ国語表記となる予定です。

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▲モハ253-1000番代、モハ253-1100番代に搭載されているVVVF制御装置。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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システム面では、制御装置が界磁添加励磁方式からVVVFインバータ制御方式に変更され、モハ253-1000番代、モハ253-1100番代の床下に搭載(主制御器はSC96)、主電動機はMT74A(120kW)、補助電源装置はSC97となっています。台車は種車と変更なく、動力台車がDT69、付随台車がTR254となっています。また、ATSはATS-P、ATS-SN、東武ATSが搭載されています。

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▲クモハ252-1002の乗務員室を見る。収納式ホロ枠がなくなったため、開放感が増している。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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一方、客室内ですが、腰掛は奇数号車が「橙」、偶数号車が「青」の回転クロスシートとされ、シートピッチは従来の1,020mmから現行485系と同じ1,100mmに拡大。また、向かい合わせにしたときに通路側席の人もテーブルが使えるように、肘掛収納式のテーブルが備えられています。
このほか車椅子対応座席、多目的室、車椅子対応の大型トイレ、AEDが2号車に、パウダーコーナーが3・4・5号車に、日光・鬼怒川のパンフレットなどを置くインフォメーションコーナーが1・4・6号車に、大型荷物置き場が1~6号車の各車に設置されています。

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▲「橙」のカラーの腰掛が備わる奇数号車(写真は5号車)の客室内。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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▲こちらは「青」のカラーの腰掛が備わる偶数号車(写真は4号車)の客室内。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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▲腰掛は肘掛収納テーブル付きで、背面テーブルも付く(左)。2号車(モハ253-1000番代)の新宿方には車椅子対応座席が2席と、その先に多目的室が備わる(右)。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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また、6号車のクハ253-1000番代はクロ253から改造していますが、気になるグリーン個室部分は業務用室となっていました。但し、今回は業務用室内は公開されませんでした。

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▲多目的室(左)には折りたたみ式腰掛やおむつ交換台が設置されている。3・4・5号車の設けられたパウダーコーナー(右)。女性だけでなく男性も身だしなみに使用することができる。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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253系1000番代は2月12日(土)にJR品川駅、2月20日(日)に東武日光駅でそれぞれ車輌展示会が予定されています。その後、4月16日の特急「日光1号」と「はちおうじ日光号」でデビューすることになります。
さらに、春の増発列車では品川、千葉、大船始発の臨時列車にも使用され、かつての「成田エクスプレス」を思わせる多彩な運用で活躍することになります。

※JR東日本発表の春の増発列車は→こちら(PDF形式)を参照

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▲2号車新宿方のデッキには車椅子対応大型トイレ、洗面所等が備わる。'11.1.21 小山車両センター P:RM(伊藤真悟)
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また、今回の253系1000番代の投入により、189系"彩野"は廃車、485系は他区へ転用予定となっています。
この253系1000番代については本誌次号で詳しくご紹介いたします。

取材協力:JR東日本大宮支社

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阪堺電車 住吉界隈。(下)

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▲「初辰まいり」の露天で賑わう住吉鳥居前を行くモ161形。縁日の呼び声と吊掛けモーターの音が懐かしい調和をみせる。'11.1.13
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「はったつさん」はともかく、この季節の阪堺電気軌道の魅力のひとつに1928(昭和3)年製=齢83歳を迎えようというモ161形(171以降は昭和6年製)との出会いがあります。動態保存やイベント用は別として、一般運用に就く電車としてはわが国最古の存在であるこのモ161形は現在10輌が実動状態にありますが、いかんせん冷房装置を持たないため夏場は運用から外れることが多く、一日中その元気な姿を目にできるのは冬場がベストということになります。

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▲冷房装置を持たないモ161形は冬場に集中的に運用入りし、夏場は予備に回ることが多い。それだけに今の季節はこの老兵に会える絶好の機会といえる。写真は旧南海塗装のモ163。'11.1.13 住吉鳥居前
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▲モ161形の客室内。齢83歳の木製の車内はそこはかとない温かみに包まれている。微妙なテーパーのついた真鍮製の手すりも逸品。'11.1.13
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このモ161形のうちの164号は、昨年10月に2週間限定で1986(昭和61)年当時の試験塗色(正面V字)に戻され、166号は雲形の旧塗装に復元されるなど、このところ相次いで復刻塗装がなされています。南海時代の塗色に戻された162、163の2輌も健在で、この季節であれば、住吉のジャンクションで待っているだけでもさまざまなモ161形に出会うことができます。

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▲住吉公園駅は2線頭端式のささやかなホームを持つ。画面手前の箱は戦時中の防火水槽だそうで、現在では金魚の水槽として利用されている。菰を被されて金魚も冬眠中? '11.1.13
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ところで旧都電カラーとなって活躍しているモ501が今度は「福助電車」として再デビューしました。これは足袋製造会社「福助」が地元の堺市で創業し、そのキャラクター福助が広く親しまれてきたことに因むもので、"福を招く"電車として去る1月7日より3輌が「福助電車」として運行されています。

110120n004.jpgモ501、502、505の3輌で、車内の運転室間仕切り幕板部に「福助」から寄贈された福助人形をクリアケースに入れて展示、車体正面にも福助のステッカーを掲出して乗客誘致に一役買っています。これは堺市の肝入りでもあり、同時に堺市は阪堺線の利用客拡大策として支援を行い、1月15日から運賃も全線均一200円と大幅にプライスダウンされています。従来は1区200円、2区(大阪市内←→堺市内)290円の設定で、堺市内から大阪市内へ、もしくはその逆の乗車については90円の割引となります。昨秋、阪堺線堺市内区間の存続のために堺市が公的資金を投入することにしたもので、同じく同日から高齢者割引も新たに設定されています。
▲上町線はかつての熊野街道に沿って走るだけに、沿線には旧街道の歴史を感じさせる情景がそこかしこに残されている。ちなみに熊野街道は大阪の天神橋付近から熊野本宮への熊野詣ルートで、平安時代からの長い歴史を持つと言う。'11.1.13
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▲南海高野線を潜る恵美寿町行きモ172。外覆いで見えないが、この高野線のガーダー橋は1911(明治44)年梅鉢製の由緒あるもの。'11.1.13
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▲阪堺線東玉出にある南海電気鉄道玉出変電所。阪堺への電力供給も行っている変電所(旧第二変圧所)で、こちらも1911(明治44)年に建築された煉瓦造りの見事な歴史的建造物。'11.1.13
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現役オールドタイマー・モ161を筆頭に、この12月に100周年を迎える阪堺電気軌道ではその歴史を伝えるさまざまな遺産を目にすることができます。大阪市と堺市の間に架かる大和川橋梁は1911(明治44)年横河橋梁製の鉄管柱橋脚を持つ下路プレートガーダーとして知られていますし、住吉界隈にもその一世紀の歴史を物語るさまざまな産業遺産を見ることができます。一度ゆっくり探索をしてみたいもの...と思いつつ、初春の住吉をあとにしたのでした。

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阪堺電車 住吉界隈。(上)

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▲ずらりと並んだ住吉大社の灯篭を横目に住吉ジャンクションを行くモ603。'10.7.17
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「今日の一枚」はもちろんのこと、「今日の一枚 The Movie」にも思わず見入ってしまうような素晴らしい動画が数多く寄せられており、編集業務の間に再生してみるのが密かな(?)楽しみともなっております。そのなかでも現在トップ画面にアップされている阪堺電気軌道住吉ジャンクションの正月の賑わい(中川健成さんのご投稿)は、つい先日現地を訪れたばかりだけに、食い入るように見入ってしまいました。

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▲昨年6月から運行している旧都電カラーのモ502がクロッシングを渡ってゆく。対向は上町線からの浜寺駅前行きで、一昨年から実に36年ぶりに上町線天王寺駅前~阪堺線浜寺駅前間の直通運転が復活している。'11.1.13
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定期運用がある電車としてはわが国最古参となったモ161形(アーカイブ「阪堺電軌モ163に出会う」参照)や、東京都交通局との共同誘致活動の一環として旧都電カラーに塗られたモ502の登場(アーカイブ「阪堺電車モ502 旧都電カラーで活躍中」参照)などなにかと話題の多い阪堺電気軌道ですが、実は今年、開業100周年を迎えます。NHKの朝の連続テレビ小説「てっぱん」の舞台(帝塚山四丁目電停)になっていることもあって、最近ではカメラを手にした観光客らしき姿も数多く見かけるようになってきています。

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▲住吉電停の住吉公園側に立つ「駅舎」。通常は待合所としてしか機能しないが、正月三が日は臨時の出改札が設けられる。'10.7.17
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その阪堺電車の見どころのひとつが阪堺線と上町線が交差する住吉ジャンクションです。恵美寿町~浜寺駅前を結ぶ阪堺線(14.1㎞)と、天王寺駅前と住吉公園を結ぶ上町線(4.6㎞)は住吉で平面交差しますが、阪堺線恵美寿町発の電車は朝夕のラッシュ時を除いて恵美寿町~我孫子道間の区間運転。天王寺駅前発の列車が上町線住吉公園と阪堺線浜寺駅前へと直通する運転形態となっています。つまり全営業列車が住吉ジャンクションを通過するわけです。

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▲上町線天王寺駅前方から住吉ジャンクションのクロッシングを見る。画面前方が上町線住吉公園方、左は阪堺線浜寺駅前方、右が阪堺線恵美須町方となる。10.7.17
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そしてその住吉が最も活況を呈するのが正月。商都大阪の総鎮守として知られる住吉大社の最寄り駅だけに、初詣の人出は想像を絶するもので、阪堺電車も全車を出動させての臨時ダイヤを組みます。当然、要衝たる住吉ジャンクションは大わらわ。三が日以外では見られないまさに路面電車王国の様相を呈します。「今日の一枚 The Movie」は正月3日のその賑わいぶりを記録したもので、4方向からひっきりなしにやってくる電車が次々とクロッシングを渡ってゆく様は感動的でさえあります。

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▲住吉鳥居前電停で発車を待つ都電カラーのモ502。この日は「はったつさん」の日とあって、住吉大社には「初辰まいり」の幟が立ち並んでいる。'11.1.13
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残念ながらその正月の賑わいからはほど遠くはありましたが、私が訪れた先週13日はちょうど住吉大社の「初辰まいり」の日。住吉鳥居前の電停には赤い幟が林立し、参道にはさまざまな露天が立ち並んで賑わっていました。

110120n005.jpgこの「初辰まいり」というのは、月に一度、その月最初の辰の日=「初辰」の日に境内の楠珺社(なんくんしゃ)というお稲荷さんに詣で、家内安全・商売繁盛を願うものです。この際に土製の小さな招き猫をいただく(500円)のですが、おもしろいのはこの小さな招き猫を48ヵ月集めると大きな招き猫と交換してくれることです。四十八辰、つまり「始終発達」は商売繁盛といういかにも大阪らしい倣わしですが、48ヵ月といえば4年、なんとも気の長い話ではあります。
▲「はったつさん」の招き猫。土製の招き猫は奇数月は左手、偶数月は右手を挙げている(奥)。手前が48ヵ月満願成就の大猫(?)。'11.1.13
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▲住吉大社境内に一歩入ると、周囲の喧噪が嘘のような緑豊かな静寂が...。'11.1.13
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▲マニ60形とスユニ61形だけで構成された荷4044列車。今では普通列車の気動車だけが走るようになった関西本線にも荷物専用列車が運転されていた。'80.9.6 伊賀上野 P:藤井 曄 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』(上)より)
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ご高評をいただきましたRMライブラリー第135・136巻『マニ35・36・37形-改造荷物車のバリエーション-』の続編が完成しました。今回は鋼体化改造荷物車を対象にした『マニ60・61形 スユニ60・61』で、上下巻に分けて今月は上巻をお届けします。

110119rml138.jpgご存知の通り、国鉄の「鋼体化改造」は、第二次大戦後、明治・大正期に作られた木製客車を近代化すべく進められたもので、木製客車の台枠や台車、主要部品類を流用して、新製の半鋼製車体に組み合わせる改造です。したがって車体は新製同様ながら、台車は木製車由来のTR11を履いていることが多いのが特徴でした。本書はこれら鋼体化改造により誕生した荷物車および郵便荷物車4形式を解説するもので、上巻ではまずマニ60形について解説します。

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▲オハユニ61 36から再改造されたマニ60 2646。オハニ61・スハニ62・オハユニ61・スハユニ62から改造された500番代のグループは207輌と、マニ60形の中では最多である。'74.8.17 新津客貨車区 P:藤井 曄 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』(上)より)
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マニ60形は1953(昭和28)年から木製車の鋼体化改造により誕生したタイプと、後にオハニ61などの鋼体化客車から再改造されたグループがありますが、両者を合わせると実に565輌という多数が存在しました。車歴表の配置先を見ても北は南稚内から南は鹿児島まで全国規模で配置されていますから、60~70年代の国鉄でおけるもっともポピュラーな荷物車と言っても過言ではないでしょう。

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▲マニ60形全565輌を網羅する車歴表。前半では種車や落成年月日と廃車・改造年月日を掲載。 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』(上)より)
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本書前半ではこれら565輌全車の種車、落成年月日、場区、落成配置、改造/廃車番号・年月日、そして各年度末配置を網羅した車歴表を掲載し、続く後半で8種に分けて写真とともに各番代を解説しています。

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▲マニ60形の0番代は意外に少なく44輌のみであった。 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』(上)より)
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▲車歴表後半には各年度別の配置を収録。北は南稚内から南は鹿児島まで、日本全国を駆け巡っていた実像が浮かび上がる。 (RMライブラリー『マニ60・61形 スユニ60・61形』(上)より)
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なお、来月発売の下巻ではマニ60形の台車交換形式であるマニ61形と、郵便荷物車のスユニ60・61形を収録の予定です。ぜひ既刊135・136巻(→こちら)ともども、ぜひ書架にお揃えください。

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▲片瀬海岸が目と鼻の先の腰越の併用軌道には魚屋さんや名物のしらす料理屋さんが建ち並ぶ。店先の干物を横目にオリジナル塗色に復元された1001Fが行く。'11.1.9 江ノ島−腰越
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昨秋リリースされた最新のGR LENS A12 28㎜ F2.5を含め、GXR専用カメラユニットは現在4種。今回はこの4種すべてをお借りしての試写となりましたが、やはり伝統のGR LENSの名を冠した2本がとりわけ印象深く、個人的思い入れは別としても、ことに28㎜は返却するのが惜しくなってしまうほど素晴らしいものでした。

1101gxr106.jpgズーム全盛のこの時代、本誌にご投稿いただく作品の数々を拝見していても、撮影者自身が次第にレンズのディストーションに無頓着になってきているような気がしてなりません。もちろん画像処理ソフト「フォトショップ」の最新バージョンCS5に盛り込まれている新機能「自動レンズ補正」のように、画像ファイルのEXIF情報をもとにレンズの特性に合わせた収差補正・周辺光量補正まで自動で行える今、"あおり"機能さえ過去のものとなりかねませんが、撮影時の"心地よさ"は後処理とは別次元の問題で、それは結果として写真の質にも大きく影響してくるはずです。
▲海バックの定番ポイントの踏切。左右は建物に遮られており、このようないわゆる"飛び出し"のシャッターチャンスには、あらかじめマニュアルフォーカスに設定しておくと良い。'11.1.9 腰越-鎌倉高校前
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レンズ、撮像素子、画像処理エンジンは一眼レフに伍するとはいえ、さすがに動体撮影は不得手なのではと思われるでしょうが、実は"裏技"があります。同じリコーのGX200を購入した際、どうにも動体撮影がうまくゆかないのに業を煮やして広田尚敬さんに相談してみました。広田さんといえばほかならぬGX200のカタログ作例(秩父鉄道)を撮られた張本人。「うまく撮れないじゃないですか」とばかり詰め寄ると、間髪入れずに「あぁ、動体を撮る時はマニュアルフォーカスにしてね」。えっ、慌てて取扱説明書を見返してみると確かにマニュアルフォーカスの設定が...。こんなところにもリコーGR、GXシリーズのただならぬ拘りが感じられます。

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▲極楽寺の車庫裏で一日をともにしたリコーGXRを記念撮影。ちなみにこの写真は日頃愛用しているリコーGX200によるもので、逆光ぎみのため内蔵ストロボに手持ちのティッシュペーパーを何枚か被せて即席のディフューザーとしている。'11.1.9 極楽寺
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1101gxr03.jpgあらためてリコーGXRのシステムをご紹介すると、"ボディ"に相当するGXR本体は操作部と画像モニター、それに記録メディアと電源収納部で構成され、そこにレンズとセンサーを一体化した「カメラユニット」を合体させることによって初めてカメラとして機能することになります。つまりレンズの特性に合わせてセンサーを自由にチョイスできるわけで、現行カメラユニット4種を見ても、GRレンズには23.6×15.7㎜CMOSセンサー(総画素数1290万画素)が驕られています。このように、ユニット方式にしたことによって、 "ボディ"に縛られることなく、つまりマウントやフランジバックの制約を受けずにレンズとセンサーが開発でき、また逆に本体は本体でより自由に進化を遂げられるというわけです。
▲現在発売されている専用カメラユニット4種のラインナップ。カメラシステムに装着されているものから時計回りにGR LENS A12 28㎜ F2.5(23.6×15.7㎜CMOS/1230万画素)、RICOH LENS P10 28-300㎜ F3.5-5.6 VC(1/2.3型CMOS/1000万画素)、GR LENS A12 50㎜ F2.5 MACRO(23.6×15.7㎜CMOS/1230万画素)、RICOH LENS S10 24-72㎜ F2.5-4.4 VC(1/1.7型CCD/1000万画素)。
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▲小春日和の極楽寺駅。GR LENS A12 28㎜ F2.5はこのような陰影の強い被写体でもシャドー部の再現性が良く、実に階調豊かな描写をしてくれる。'11.1.9 極楽寺
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さらにレンズユニット以外への拡張性も考えられ、リコピー、プロジェクター、プリンター、GPSなどのユニットの可能性も示唆されています(『アサヒカメラ』2010年11月号)。なかでも個人的に待ち遠しいのは開発中というマウントアダプターのユニットです。もしこれが実現すれば銀塩時代の"名玉"の数々がGXRのレンズとして蘇ることになり、昨今のマイクロフォーサーズに伍する新たな楽しみが生まれることになります。

110116n00.jpg満足度の高かったGXRですが、ひとつ気になったのは液晶ビューファインダーです。視野率100%で収差の少ない約92万ドット高精細、しかもチルト機能まで備えた贅沢なものですが、やはり液晶ファインダー特有の"虚像"を見ているような感じは否めませんでした。これは愛用しているGX200の液晶ファインダーにも言えることで、ファインダーにはとりわけ拘りを持っているだけに(アーカイブ「単独ファインダーの魔力」参照)、何かすっきりとしない思いが残りました。
▲使いにくかった液晶ビューファインダーの代わりにかつてのGR 28㎜用透視ファインダーを装着してみた。残念ながら画角が微妙に異なり実用にはならなかったが、今後はブラス(真鍮)削り出しのこんな専用ファインダーの登場にも期待したい。
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▲ついに最後の1本となってしまった旧型連接車305F(RMライブラリー『江ノ電 旧型連接車物語』参照)。冬の斜光線を受けて峰ケ原信号場で交換待ちする姿をGR LENS A12 50㎜ F2.5 MACROで狙う。素性の良い標準レンズのありがたさを実感する瞬間。'11.1.9 鎌倉高校前-七里ヶ浜(峰ケ原信号場)
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『東洋経済』2010年12月4日号によれば、リコーGRデジタルは「カメラ女子の間で大流行?」だそうです。ストイックなまでに基本性能を追求する中から生まれたシンプルさがかえってファッションとして受け入れられているのかも知れませんが、GXRの実力はこれまでさんざんカメラ遍歴を重ねてきた世代、言いかえれば『国鉄時代』世代にこそ味わっていただきたいものです。

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▲短い冬の陽が江の島沖に沈もうとしている。迷うことなく西日を入れてフレーミングしても、GR LENS A12 28㎜ F2.5はゴーストやフレアもなく安定した画質を提供してくれた。'11.1.9 鎌倉高校前
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※リコーGXRオフィシャルサイトはこちら

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▲昨年10月に発売された専用カメラユニットGR LENS A12 28㎜ F2.5を装着したリコーGXR。背後は14年前に購入して以来愛用してきたスクリューマウントのGR 28㎜ F2.8を付けたライカⅢG(ライカビット付き)。かつてのGR 28㎜は専用ビューファインダーとともに厳かな化粧箱に入り、外箱には個体のシリアルナンバーも記されていた。
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一昨年年末に発売され、従来のカメラの概念を覆した「ユニット交換式カメラシステム」という画期的発想で脚光を浴びているリコーGXRに、"GR"の名を冠した28㎜の専用カメラユニットが加わりました。リコーではレンズの名称に実焦点距離とは別に35㎜判換算の焦点距離を表記しており、今回ラインナップに加わったGR LENS A12 28㎜ F2.5は実焦点距離18.3㎜、非球面レンズ2枚2面を含む6群9枚構成の単焦点レンズを備えるカメラユニットです。

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▲連休中日とあってこの日の江ノ電はたいへんな賑わい。さすが伝統の"GR"の名を冠するだけあって、あらゆる方向の直線だらけのこのようなアングルでもディストーションは感じられず、実に気持ちよく撮影することができた。'11.1.9 藤沢(GR LENS A12 28㎜ F2.5)
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私がこのレンズに過剰(?)に反応するには少々わけがあります。今を去ること実に14年前の1997(平成9)年9月5日にスクリューマウントのGR 28㎜ F2.8を購入して以来、最も信頼するレンズの1本として長年愛用してきたからです。そもそもこのGR 28㎜は、1996(平成8)年に発売されてその卓越したレンズ性能から一世を風靡した35㎜レンズシャッター・カメラ「GR1」のレンズを単体レンズとして設計し直したもので、その描写力に惚れ込んだユーザーからの熱い要望を背景に誕生したものです。

1101grxr01.jpgもちろん私もその一人で、発売を待ち侘びてブラックとシルバーの2本を購入しました。当時の価格は1本10万5千円、しめて21万円也。シルバーはその後ほかの方に譲ってしまいましたが、ブラックの製番「10880」はながらく国内外の撮影に大活躍することになります。そう、忘れがたいギャロッピングースの復活試運転を捉えたのもこの「10880」でした(アーカイブ「愛しの"ギャロッピンググース"」参照)。
▲GXR本体は"カメラ"ではなく"カメラシステム"というまったく新しい概念。専用カメラユニットを合体させることによって初めてカメラとして機能する。装着しようとしているカメラユニットはGR LENS A12 50㎜ F2.5 MACRO。
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▲かれこれ20年来鎮座する「江ノ電最中」扇屋さん店頭の651に見守られながら、江ノ電全線開通100周年記念リバイバルカラーの21が行く。収差が少なくシャドー部の再現性も安定している広角レンズは気軽な街歩きにぴったり。'11.1.9 江ノ島-腰越(GR LENS A12 28㎜ F2.5)
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▲汎用版たるRICOH LENSのカメラユニットにはP10 28-300㎜ F3.5-5.6 VCという光学10.7倍ズームもラインナップされている。質量約160gと持ち歩いていることを忘れるほどにコンパクトで、1本持っていると望遠系が欲しい場面でおおいに威力を発揮する。写真左は腰越の併用軌道をゆく「嵐電号」。右は併用軌道入口で列車の接近を知らせる警報機。今では貴重な鐘撞式(アーカイブ「"鐘撞き"の踏切」参照)で、懐かしい音を聞かせてくれる。'11.1.9 江ノ島-腰越(RICOH LENS P10 28-300㎜ F3.5-5.6 VC)
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そんなわけでGR 28㎜と聞いただけで血が騒ぎ(?)、新年早々さっそくデモ機をお借りして撮影に繰り出すことにしました。被写体に選んだのは少々ご無沙汰してしまっている江ノ電。広角単焦点レンズの使い勝手を一番実感できるのは路面区間に違いないと、まずは定番・腰越の併用軌道を目指しました。

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▲魚屋さんの店先をゆく10形。GR LENS A12 50㎜ F2.5 MACROは23.6×15.7㎜の撮像素子とあいまって、実に贅沢な標準レンズ。画像のヌケの良さと階調の豊かさもさすがGRレンズ。'11.1.9 江ノ島-腰越(GR LENS A12 50㎜ F2.5 MACRO)
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いつにも増して寒さの厳しいこの冬ですが、幸いこの日は風もなく、湘南の日差しはそこはかとなく春を感じさせるほど。江ノ島-腰越間の併用軌道を歩きながらGR LENS A12 28㎜ F2.5でさまざまなアングルを試みてまず感じたのは、その見事なまでの収差のなさです。きょう日のコンシューマ向けデジタルレンズ、とりわけいわゆる"キット"にセットされているようなズームレンズのなかには、ファインダーを覗きながらカメラを回すと視界がグルグル湾曲して気持ちが悪くなってしまうようなものも見受けられますが、さすが"GR LENS"、レンズとはかくあるべしというお手本のような完成度です。

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▲「ズミクロン50㎜1本あれば、何でも50㎜で撮るだけだ」と言い放ったのはかの土門 拳。GR50㎜1本あれば...と気取ってみたものの、ほんの1m分シャッターリリースが遅かったか...。'11.1.9 江ノ島-腰越 (GR LENS A12 50㎜ F2.5 MACRO)
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このクオリティーの高さは先行して発売されている標準系マクロレンズGR LENS A12 50㎜ F2.5 MACROも同様で、標準域の焦点距離を持つ単焦点レンズを装着して線路端を歩いていると、鉄道写真の原点に立ち返ったような清清しい気分になれるから不思議です。なお、28㎜、50㎜ともに23.6×15.7㎜のCMOSセンサー(総画素数1290万画素)を持ち、一眼中級機をも凌駕する性能を秘めています。まったく新しい概念"カメラシステム"としてのGXRのポテンシャルについては、また明日。

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第15回:続・「ウシ」の仲間たち。

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▲買い出しを終え、側線(画面右)に押し込められた"自家用車"を引き出すべく手押しで入換えを開始する島民ら。左は先発の"発電機"。'10.9.17 Dagebull
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ひき続き「ウシ」の仲間たちをご紹介いたしましょう。先述のようにOland島とLangeness島には何軒もの民宿があり、「ウシ」の仲間たちもそのいくつかは宿泊客送迎用としての使命を担っています。

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▲側面に並んだ丸窓とマリンブルーの車体塗色が強烈な"潜水艦"。ちなみにこの車輌は初日に見かけただけで、滞在中ついに再会することはなかった。'10.9.17 Dagebull
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ユトランド半島北海沿岸は古くから避暑地として知られ、バカンスシーズンにはヨーロッパ各地から避暑客がやってきます。それも日本のせせこましい夏休みとは比べものにならない優雅なもので、2週間くらいゆっくりと過ごすのが当たり前。訪問時はまだ繁忙期でもあったため一泊でのオーダーはできず、滞在期間中に「ウシ」の仲間に揺られて島で一夜という夢はかないませんでした。

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▲採光性抜群の"ビニールハウス"。一見するとトレーラーのように見えるが、もちろん自走する単車で、"浮き"が付いている方が前位、ゴムタイヤが付いている方が後位。'10.9.17 Dagebull
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ただ、例の"バスタブ"のおばさんに木村さんが尋ねたところでは、「シーズン外で空きがあれば一泊でも良いですよ」とのこと。ホームページで見る限りでは値段もリーズナブルで、もう一度訪れる機会があればぜひ島の民宿に泊まりたいものです。

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▲前々回(第12回参照)ご紹介した民宿のおばさんの"バスタブ"。側面にはランゲネス島の民宿組合(?)のURLが大書してある。'10.9.21 Dagebull
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110115n004.jpgところで初日から気になっていたのがこの軌道の運行管理です。島民用車輌が続行でやってきたかと思うと、今度は沿岸整備局の工事列車が洋上の交換所で何時間も作業に入ったり、はたまたヤードに到着したばかりの「ウシ」がすぐに島へと帰っていたり、とにかく変幻自在、自由奔放、一見する限りでは勝手に走り回っているかに見えます。しかし、本土のヤードと洋上の交換所、交換所とOland島の間はそれぞれ1閉塞ですから、"ハチ合わせ"しないためにはディスパッチャー(運行管理者)が不可欠です。
▲"ボート型"に限りなく近い屋根なし車。島民用車輌の半分以上は屋根なしのいわゆる"ボート型"だが、北緯55度の極寒の地で良く耐えられるもの。'10.9.21 Dagebull
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▲工事現場のデンヨーをそのままボンネットにしたような"発電機"。この車輌とも一度きりの邂逅であった。'10.9.17 Dagebull
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これまた"バスタブ"のおばさんに聞いたところでは、携帯電話にその秘密が隠されているようです。詳しくはわかりませんが、どうやら携帯のショートメール機能を使っての閉塞取り扱いが行われているようです。なお、Dagebullのヤード入口には煉瓦造りのかつての灯台らしきものが残されており、以前はこの灯台の灯火で軌道の運行管理が行われていたのかも知れません。

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第14回:「ウシ」の仲間たち。

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▲Dagebull(ダゲビュール)のヤードにたむろする「ウシ」の仲間たち。手前の箱型車体はブルーシートでテントを作ったような体裁。'10.9.21 Dagebull
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「ウシ」はあまりに衝撃的でしたが、Dagebullのヤードで待っていると、「ウシ」のほかにも奇妙な"漁船型"が次から次へと現れ、まるで「図工」の教室で夏休みの宿題を見ているような気分になってきます。いずれも鉄道車輌の概念を超え、おそらくは島の船大工が片手間に造り上げたものなのでしょう。では、その個性豊かな「ウシ」の仲間たちを順に見てゆくことにいたしましょう。

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▲ベニヤ細工と言えなくもないが、数ある「ウシ」の仲間のなかでは比較的スタイリッシュ(?)な"煉瓦色"。フロントのゴムタイヤと白枠の窓がチャームポイント。インダストリアル・デザインがご本業の木村さんも「模型にする」と熱心に採寸されていた。'10.9.21 Dagebull
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▲結構頻繁に走り回っていた"ブルーシート"。台枠横にエンジン始動用のクランク棒が掛けられているのがわかる。'10.9.21 Dagebull
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110110n103.jpg鑑札番号の「X/97」が何を意味するのかはわかりませんでしたが、分母の「97」は全車共通。仮に分子Xをシリアルナンバーとすると、分母「97」は登録総数を示すのか、はたまた1997年に一斉に登記した意なのか...いずれにせよかなりの輌数の"漁船型"や"ボート型"がこの9キロほどの軌道上に"生息"していることだけは確かです。
▲子ども連れのおばさん(第12回参照)が側線奥に入ってしまった"自家用車"を出すのに難儀しているのを見かねて入換え作業を手伝う私。'10.9.21 Dagebull P:木村右史
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▲干潟から本土へのコーナーを回ってくる"ブルーシート"。バック運転状態で、前方視界を確保するためか妻面のドアは開け放たれたまま。'10.9.21 Dagebull
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▲側面の窓が特徴の"長窓"。この車輌も出入口は後部妻面だけ。それにしてもボンネットはまるで街角のゴミ箱のよう...。'10.9.21 Dagebull
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110109n001.jpg例の「ウシ」のようにやたらと姿を見せるものもあれば、訪問初日に見かけただけで、ついに再び姿を現すことのなかった個体も少なくありません。とにかく実態は島民の"自家用車"ですから、たまたま買い物へ行く用もなく数日間動かさない車輌もあるでしょうし、しばらく使っていない休車状態のものもあるに違いありません。いずれにせよ、全体像を把握するにはOland島とLangeness島に渡るしか術はなさそうです。
▲ボンネット内にはやはり舶用機関が...。'10.9.21 Dagebull
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▲"長窓"の車内。ムートン地(?)のロングシートはあまり趣味が良いとはいえない。'10.9.21 Dagebull
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※明日(13日)は不在のため、小ブログは休載させていただきます。

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▲鶴来ではわずか足許程度だった雪も、釜清水が近づく頃には人の背丈まで及んでいた冬の北陸鉄道金名線。鶴来を中心に伸びる石川・金名・能美の3線を総称した「石川総線」という呼び名も、今では過去のものになってしまった。'81.2.22 手取温泉-下野 P:寺田裕一『新・消えた轍』第5巻より)
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続刊についてのお問い合わせを多数いただいております『新・消えた轍』の第4回配本分が完成いたしました。今回は北陸地方を収録した第7巻です。

wadachi7.vol7.jpgこの『新・消えた轍』シリーズは、現在は廃止されたローカル私鉄の現役当時の姿と共に、その廃線跡を寺田裕一さん本人が訪ね歩き記録したものです。旧版の『消えた轍』では昭和30年代以降、昭和52年の尾小屋鉄道廃止までに全線廃止されたローカル私鉄を対象にしておりましたが、今回の新シリーズでは、昭和52年以降の廃止路線や、路線の半分以上が廃止された路線などを新たに収録し、エリア別に全10巻で再構成しています。

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▲大阪側から北陸に入ると最初に接続する私鉄が福井鉄道南越線。起点は国鉄武生駅に隣接していたが、駅名をあえて「社武生」として区別していた。ちなみに現在は越前武生に改称された福武線「武生新」駅は、南越線でひと駅目の「福武口」で接続。こうした独特の駅名が多いのも北陸地方の特徴だった。『新・消えた轍』第5巻より)
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今回収録の北陸地方は、福井=福井鉄道・京福電気鉄道、石川=北陸鉄道、富山=富山地鉄グループと、鉄道事業者の統合がより明確に進んでいたことが特徴です。戦前期に開業し昭和40年代まで残った鉄道の中で唯一の例外は尾小屋鉄道でしたが、その尾小屋も晩年は福井鉄道、北陸鉄道とともに名鉄傘下になりました。本書はこの尾小屋鉄道をはじめ、福井鉄道2線区、京福電気鉄道2線区、北陸鉄道6線区、加越能鉄道、富山地方鉄道2線区、そしてJRから能登線と七尾線の一部を引き継いだのと鉄道の計7社16線区を収録しています。

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▲能登半島の奥深く、60km以上の路線長があったのと鉄道能登線。1987年にJR西日本から引き継いで開業したが、能登空港の開港後の2005年に廃止された。『新・消えた轍』第5巻より)
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また北陸地方の私鉄で特徴的なのは、北陸本線という一本の幹から、数多くの小さな路線が枝葉のごとく伸びていたことです。昭和40年当時でも、西は武生の福井鉄道南越線から、東は魚津で並ぶ富山地鉄まで、路面電車を除いても実に16もの駅で私鉄路線が接続していました。この頃に北陸線に乗られたことのある方なら、駅ごとに車窓を彩る個性豊かな車輌たちの姿を楽しまれた方も多いのではないでしょうか。本書はそんな時代を再現する一冊と言えるでしょう。

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▲一部がバス専用道になるなど、数多くの遺構が残る富山地鉄射水線跡。『新・消えた轍』第5巻より)
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なお、第5回配本分は長野・新潟の両県を収録した第5巻:上信越で、2月末の発売を予定し、鋭意制作進行中です。どうかご期待ください。

■第4回配本分の内容
〔7 北陸〕
福井鉄道鯖浦線/南越線・京福電気鉄道永平寺線/丸岡線・北陸鉄道加越線/小松線/金名線/能美線/金石線/能登線・尾小屋鉄道・のと鉄道能登線/七尾線(穴水~輪島間)・加越能鉄道加越線・富山地方鉄道笹津線/射水線

■既刊
3 東北〕
松尾鉱業・花巻電鉄・秋田中央交通・羽後交通・宮城バス仙北鉄道・秋保電気鉄道・仙台鉄道・庄内交通・山形交通・日本硫黄沼尻鉄道・岩手開発鉄道・くりはら田園鉄道
〔4 関東〕
九十九里鉄道/鹿島臨海鉄道/鹿島鉄道/茨城交通茨城線/日立電鉄/筑波鉄道/上武鉄道/山梨交通電車線/小名浜臨港鉄道・江名鉄道
〔8 近畿〕
江若鉄道・北丹鉄道・淡路交通・別府鉄道・三木鉄道・能勢電鉄川西能勢口~川西国鉄前・加悦鉄道・野上電気鉄道・有田鉄道・和歌山県営鉄道(南海電気鉄道和歌山港線)和歌山港~水軒間
〔9 中国〕
玉野市営電気鉄道・両備バス西大寺鉄道・井笠鉄道・日ノ丸自動車法勝寺鉄道・一畑電気鉄道広瀬線/立久恵線・尾道鉄道・防石鉄道・船木鉄道・長門鉄道・下津井電鉄・岡山臨港鉄道・同和鉱業片上鉄道
〔10 九州・四国〕
大分交通/荒尾市営電気鉄道/鹿児島交通/島原鉄道/宮崎交通/熊延鉄道/山鹿温泉鉄道/熊本電気鉄道/高千穂鉄道/日本鉱業佐賀関鉄道/伊予鉄道森松線/土佐電気鉄道安芸線/琴平参宮電鉄

■続巻の内容 (内容は変更になる場合があります)
〔1 北海道〕
根室拓殖鉄道・釧路臨港鉄道・雄別鉄道・尺別鉄道・十勝鉄道・北海道拓殖鉄道・夕張鉄道・三菱美唄鉄道・三井芦別鉄道・ちほく高原鉄道・三菱石炭鉱業大夕張鉄道
〔2 北海道・北東北〕
寿都鉄道・定山渓鉄道・旭川電気軌道・羽幌炭砿鉄道・天塩炭砿鉄道・留萌鉄道・南部鉄道・南部縦貫鉄道・下北交通・弘南鉄道黒石線・小坂製錬小坂鉄道
〔5 上信越〕 (2月末発売予定)
草軽電気鉄道・上田丸子電鉄丸子線/真田傍陽線/西丸子線・越後交通・頸城鉄道・長野電鉄木島線・新潟交通・蒲原鉄道
〔6 中部〕
静岡鉄道駿遠線・遠州鉄道奥山線・豊橋鉄道田口線・三重交通松阪線・東濃鉄道・三井金属神岡鉄道・北恵那鉄道・神岡鉄道

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第13回:「ウシ」のこと。

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▲堤防の斜面(元日の画像参照)を駆け下り、ささやかな踏切をわたってヤードへと滑り込んでくる「ウシ」。フロントビームにはお決まりの"浮き"が...。'10.9.20 Dagebull
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あらためまして、明けましておめでとうございます。
新年早々縁起でもない...とお叱りを受けそうですが、例の「島軌道」の続きをお伝えしましょう。
数多ある島民用車輌のなかで最も衝撃的だったのが今回ご紹介する鑑札番号「6/97」です。

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▲遙かオーラント島から北海を越えて本土側の干潟へとやって来る「ウシ」。水鳥が群れをなして飛び立ってゆく。'10.9.21 Dagebull
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▲堤防下の軌道を快走する。数ある島民用車輌のなかでも群を抜いて速い。ちなみに"単端"スタイルだが、なんらかの逆転機を備えているのか、後進も等速で走行可能。'10.9.21 Dagebull
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島民用の車輌には、屋根なしのコースターのようないわば"ボート型"と、それなりの小屋(?)を装備した"漁船型"が存在しますが、鑑札番号「6/97」はこの"漁船型"で、車体色の赤と、船舶用と思われる側面の丸窓、そして何といってもボンネット・サイドに描かれた不気味なウシの絵が特徴です。

110101n002.jpg赤いメガネ(?)を掛けたウシは、谷岡ヤスジでもあるまいし何故か"鼻血ブー"。最初に目にした時には子どもの落書きか...とも思ったのですが、よくよく観察してみるとキャンバスのような板に描かれたものがボルトで固定されており、しかも左右ほとんど同じ絵。残念ながら真相は詳らかにできませんでしたが、ひょっとすると島に伝わる何かフォークロア(伝承)のようなものに由来しているのかも知れません。
▲ボンネットサイドに描かれた不気味なウシ。何故か鼻血ブー。'10.9.17 Dagebull
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▲「ウシ」のプロフィール。車体はイスの蹴込部分の外板がなく異様な形状をしている。ハロゲンの前照灯のほかに"HELLA"のフォグランプが取り付けられているのがいかにも「ドイツ車」らしい。'10.9.20 Dagebull
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▲そのサイドビュー。特徴的な船舶用(?)丸窓は左右で非対称。それにしてもウシの絵は何を意味しているのだろうか? '10.9.20/'10.9.21 Dagebull
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110101n005.jpgそのあまりの荒唐無稽さに、最終日にご一緒した木村右史さんと私はこの鑑札番号「6/97」を、親愛の情を込めて「ウシ」と呼び慣らわすことにしました。実際この「ウシ」、いったい何の用があるのか島と本土の間を休みなくやたらと行ったり来たりしています。独特のパタパタパタパタという排気音を響かせ、これがまた速いこと速いこと...。運転しているのはいつも仏頂面をした鬚のおじさん。"客"らしき数人が乗っていることもあれば、Dagebullのヤードに到着するや、荷物を積み下ろすわけでもなくすぐにバック運転で島へと戻って行ってしまうこともあります。練習運転でもあるまいし、いったい何をしているのか、これまた解明することはかないませんでした。
▲鑑札番号札とともに25㎞/h制限のプレートが貼られているが、とても25㎞/h以内で走行しているとは思えなかった。'10.9.21 Dagebull
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▲出入口は後部の観音開きのドアしかない。この時は牽引用にえらく長いドローバーのようなものを装備していた。'10.9.17 Dagebull
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▲トップの写真と同じ踏切をヤードへと滑り込んでゆく「ウシ」を土手から流し撮り。'10.9.21 Dagebull
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堤防上の芝生に腰掛けて、いつ来るとも知れぬ"列車"を待っていると洋上にかすかに動く物体が...望遠レンズでのぞいてみると「なんだ、またウシか...」。それほど「ウシ」は甲斐甲斐しく北海洋上の軌道を往復していました。あれから4か月。極寒のこの季節、「ウシ」はどうしているでしょうか。

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▲クリックするとDagebullの堤防上から見た沿岸整備局の工事列車や「ウシ」の動画がご覧になれます。 3分28秒
※あくまで"覚え"のためにスチルの合間に撮影したものですので、画質等はご容赦ください。


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明けましておめでとうございます。本年も皆さんにとって、そして鉄道趣味にとって実り多い一年となることを祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
なお小ブログは7日(金曜日)より再開する予定にしておりますので、どうか本年も、本誌ともどもかわらぬご愛読のほどをお願い申し上げます。

2011年元旦

編集長:名取紀之 敬白

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