鉄道ホビダス

甦った「豆相人車鉄道」。

101208n015.jpg
▲つい先日完成したばかりという復元人車。豆相人車鉄道にはいくつかの形態が存在したようだが、これは裾絞りのない上等車をプロトタイプとしたもの。当時を再現した社紋は人車の「人」を意匠化している。'10.12.5
クリックするとポップアップします。

「小田原から先は例の人車鉄道」と国木田独歩が『湯河原より』に書き、芥川龍之介が『トロッコ』で「小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年だった」と記したのが、小田原~熱海間25.6㎞を結んでいた2ftゲージの豆相(ずそう)人車鉄道です。1895(明治28)年に開業、わが国最初の営業用人車鉄道でした。1905(明治38)年には熱海鉄道と改名、翌年には2ft6inに改軌のうえ蒸気動力に変更していますから、人車鉄道としては十年ほどの命だったことになります。

101208n011.jpg101208n012.jpg
▲小田原から熱海に至る沿線には「豆相人車鉄道歴史街道」と称していくつもの案内板が設置されている。左は真鶴駅前の「城口駅跡」、右は「根府川駅跡」を示す案内板。'10.12.5
クリックするとポップアップします。

この豆相人車鉄道が近年にわかにクローズアップされてきています。小田原商工会議所などが中心となって「豆相人車鉄道 温泉夢物語」と題した立派なパンフレットを作成、軌道跡の随所に旧駅の位置等を示す案内板が設置されました。しかもそれぞれの案内板には人車鉄道時代の貴重な写真が嵌め込まれており、最近ではハイキングを兼ねてこのルートを辿る方も少なくないようです。

101208n019.jpg
▲妻面には上下2本のバーが取り付けられている。下段は押すための棒、上段は下り勾配時にステップに乗って掴まるための棒。右下にラチェット式の手ブレーキが見える。'10.12.5
クリックするとポップアップします。

そのルート上、根府川駅跡にほど近い「離れのやど 星ケ山」(→こちら)に人車が復活したと聞いてさっそく訪ねてみることにしました。かつての豆相人車鉄道は、現在のJR根府川駅前から旧道を白糸川上流に向かって進み、山越えをして真鶴トンネルの上を乗り越してゆくという信じがたい険しいルートを走っていました。「離れのやど 星ケ山」はその白糸川上流に位置するログハウスを中心とした瀟酒な宿で、豆相人車鉄道ゆかりの地の宿泊施設としてその歴史を顕彰しようと人車の復元を計画したとのことです。

101208n018.jpg101208n014.jpg
▲「離れのやど 星ケ山」の入口に設けられた案内板(左)。宿泊せずともフロントで記帳すれば見学させていただける。右は「乗り場」に掲出された豆相人車鉄道に関する解説。'10.12.5
クリックするとポップアップします。

101208n017.jpg101208n016.jpg
▲車輪と軸受は埼玉県川口市にあるメーカーから購入したとのこと(左)。ただ、残念ながら軽レールは調達する術がなく、やむなく木材に鋼板を貼って代用している(右)。軌道延長は約20m。'10.12.5
クリックするとポップアップします。

代表の内田昭光さんのお話によれば、人車は「上等車」をプロトタイプとし、写真から寸法を割り出して大工さんと一緒に手作りしたもので、つい先日、10月3日に"開業"したばかりだそうです。輪軸と軸受は川口市のメーカーから取り寄せたものの、軽レールは入手できず、やむなく木材に鋼板を打ち付けたものが用いられています。手作り...と謙遜される割りにはなかなかの力作で、狭い車内に乗り込むと、遙か100年以上前に消えていった豆相人車鉄道の賑わいが甦ってくるような気さえします。

101208n013.jpg
▲平成の「豆相人車鉄道」を押す手前から白土貞夫さん、湯口 徹さん、髙井薫平さん。わが国の軽便鉄道研究を代表する「軽便御三家」による夢の三重連が実現した。'10.12.5
クリックするとポップアップします。

残念ながら今回は宿泊することはかないませんでしたが、機会があればぜひゆっくりとこの人車鉄道のある宿に泊まってみたいものです。ちなみに、豆相人車鉄道の復元車は湯河原の温泉街近くの和菓子処「味楽庵」にも展示されているそうで、いずれこちらも拝見したいものです。

timetravel_bunner.gif

RML136bn.jpg

waga_jnr005b_520px.jpg

レイル・マガジン

2010年12月   

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.