鉄道ホビダス

2010年8月27日アーカイブ

100827n001.jpg
▲腕木式の出発信号機が進行を現示。「出発進行! 発車」 指差確認の喚呼応答に続いて5室の汽笛が鳴り響き、「甲組」乗務員はいざ主戦場へ。'62.9.30 木曽平沢 P:鈴木昭平 (『「SL甲組」の肖像』5より)

蒸気機関車全盛時代、「甲組」と称される選り抜きの乗務員たちは、いったいどのように機関車と向き合い、鉄道の安全を護ろうとしてきたのか...全国各地に甲組OBの皆さんを訪ね、その証言をもとに生きいきとした昭和の鉄道の姿を後世に残そうとする椎橋俊之さんの連載「SL甲組」の肖像は、本誌233号(2003年2月号)でスタート以来70回を超える人気連載となっております。

100827n59_p78_79.jpg
▲釧路機関区給水線へと向かうC58 127。道東・釧路機関区には20輌近いC58が配置され、根室本線や釧網本線で活躍を続けた。'68.11 P:酒井豊隆 (『「SL甲組」の肖像』5より)
クリックするとポップアップします。

その連載をまとめた単行本シリーズ第5巻の『「SL甲組」の肖像 5』が間もなく発売となります。今回収録しているのは、北は釧路機関区から南は宮崎機関区までの合計12区所。なかには現在もC57 180号機を護り続けている新津機関区や、来春には動態復活を遂げるC61 20号機の最終所属区であった宮崎機関区なども含まれており興味が尽きません。

100827nH1.jpg■第5巻目次から
新津機関区 日本海縦貫線の要衝を守る。
釧路機関区 濃霧、強風、急カーブ...試練の根室本線を行く。
道東の要衝、酷寒を制す
 □座談会 先輩大いに語る
 □思い出をつづる
弘前機関区 羽州北街道 難所の関守。
五能線管理所 弘前 津軽西海岸 自然との闘い。
東能代機関区 白神山地と日本海、伝説の細道を行く。
横川機関区 勘と度胸で碓氷を登ったアプトの戦士たち。
上諏訪機関区 誇り高き山線集団。
松本機関区 主戦場は冠着越え。
 □明治、大正、昭和。激動の思い出を語り合う
 □線路の小石に聞け
木曽福島機関区 木曽谷に響いた咆哮。 
 □木曽路を行く蒸気機関車の記録
直方機関区 石炭王国に君臨した輸送戦士。
 □機関車用水に関する一調査
宮崎機関区 パシフィックの楽園。
 □見守ったC61 20の晩年
青函連絡船 津軽海峡縦断八十年。
 □青函連絡船航海の実際
 □出港――1分の重み
 □幻の青函連絡船32運航ダイヤ
機関士の「勘」に裏付けあり

100827n56_p56_57.jpg
▲上諏訪機関区は全国で唯一の石炭試験機関区として名を馳せた。ギースルエジェクターの試験もここ上諏訪のD51 349(写真左)が先陣を切った。 (『「SL甲組」の肖像』5より)
クリックするとポップアップします。

単行本化にあたっては単に連載を再録するだけにとどまらず、取材秘話「出会った人びと」をはじめ、様々な補遺資料を追加しております。特に今回は、横川機関区のアプト時代の新章を追加している点が特筆されます。横川機関区は第4巻でも収録しておりますが、この際は粘着運転を開始してからのエピソードが中心で、ED42全盛時代の記事は取材が済んでいたものの未発表のままとなっていたものです。

koukumi5-1n.jpgkoukumi5-2n.jpg
▲貴重な回顧録や資料を収録しているのも本冊の特長。釧路機関区のOBによる座談会(左)と、直方機関区の機関車用水に関する調査(右)。 (『「SL甲組」の肖像』5より)
クリックするとポップアップします。

追録した釧路機関区や松本運転所の座談会も必読です。後者に出てくる「冠着隧道環境衛生試験」では、9月下旬に行った実態調査の結果、キャブ内温度は本務・補機ともに平均59℃、最高65℃、隧道の排煙装置を使用しないと補機で最高75℃を記録。これは隧道通過時間の7分であっても人間が耐えられる温度ではなく、精神力のみで克服できる高温であると報告されています。さらに一酸化炭素濃度は平均0.3~0.4%、最高0.5%、排煙装置を使用しないと補機で1.0%、出口で最高1.6%を示し、1%の空気中で一時間呼吸すれば生命に関わるとされる中で、信じがたい数値であったことが知れます。

100827n64_p96_97.jpg
▲後補機にも言い知れぬ苦労がある。弘前機関区は奥羽本線のプッシャー役として、矢立峠をはじめとした峠越えのエキスパートであった。 (『「SL甲組」の肖像』5より)
クリックするとポップアップします。

このような過酷な状況の中でも、安全運行と定時運行を"誇り"として加減弁ハンドルを引き、投炭を続けた蒸気機関車乗務員の苦労と矜持は、鉄道というジャンルを超えて、昭和の日本と日本人を映し出しているようにも思えてなりません。そんな点もあってか、『「SL甲組」の肖像』は名誉なことに日本図書館協会選定図書ともなって、鉄道界のみならず大きな評価を頂戴しております。

100827n002.jpg
▲中央本線塩尻〜小野間の後補機仕業は木曽福島機関区の受け持ちだった。過酷な運転条件もあって、善知鳥トンネル越えは防毒マスクが欠かせなかった。P:鈴木昭平 (『「SL甲組」の肖像』5より)

なお、『「SL甲組」の肖像』第1巻、第2巻、第3巻、第4巻も好評発売中です。ぜひこの機会にお揃えください。
第1巻
盛岡機関区/小郡機関区/人吉機関区/東京機関区/青森機関区/夕張鉄道/追分機関区
第2巻
長万部機関区/倶知安機関区/熊本機関区/宮地機関区/中津川機関区/郡山機関区/郡山工場/高崎第一機関区/名寄機関区/原ノ町機関区/平機関区
第3巻
小樽築港機関区/豊岡機関区・和田山支区/福知山機関区/沼津機関区/福島機関区/長野機関区/直江津機関区/新得機関区/鷲別機関区/美唄鉄道/鉄道聯隊/水戸機関区
第4巻
広島第二機関区/瀬野機関区/飯山機関区/中込機関区/一ノ関機関区/釜石機関区/宮古機関区/盛岡機関区北上支区/亀山機関区/横川機関区/門司機関区/鳥栖機関区
各巻 定価2,800円(税込)

kohgumi005.jpg

wadachi.jpg

レイル・マガジン

2010年8月   

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.