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近鉄内部・八王子線を訪ねる。(上)

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▲大近鉄に奇跡的に残る"特殊狭軌線"内部・八王子線。標準軌(1435㎜)の半分ほど、762㎜軌間の軌道を三重交通生え抜きのサ130形改造のク114を先頭にした内部行きがゆっくりと走る。'10.7.19 小古曽−内部
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ひさしぶりに近鉄ナロー、内部・八王子線を訪れました。近鉄四日市駅を利用する機会はここ十年ほどの間で何回かあったのですが、内部・八王子線はホームを覗く程度で乗車することはありませんでした。あらためて振り返ってみると、最後に終点の内部まで乗車したのは何と30年以上も前のことになります。

R0011480n.jpg近鉄の中でも"特殊狭軌線"と称される内部・八王子線は、三重軌道に端を発し、2フィート6インチ(762㎜)軌間のまま間もなく開業100年を迎える由緒ある路線です。同じ四日市を起点とした湯の山線もかつては762㎜軌間で、現在は三岐鉄道となっている北勢線、それに松阪を起点として大石まで延びていた松阪線とともに、三重交通のナローゲージ路線として独特の世界を醸し出していました。東海道新幹線が開業した1964(昭和39)年に松阪線は廃止、湯の山線は標準軌に改軌され、"特殊狭軌線"として近鉄に引き継がれたのは内部・八王子線と北勢線だけでした。そしてご承知のように存廃の岐路に立たされていた北勢線は2003(平成15)年4月1日付けで三岐鉄道に譲渡され、内部・八王子線だけが大近鉄の中の"特殊狭軌線"として残されることになったのです。
▲近鉄四日市の内部・八王子線乗り場へは、いったん名古屋線、湯の山線の改札を出て連絡階段を渡らねばならない。'10.7.19 近鉄四日市
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内部・八王子線は、正確には旧東海道沿いに四日市から内部(うつべ)まで5.7㎞を結ぶ内部線と、同線の途中駅・日永から西日野まで1.3㎞を結ぶ八王子線を合わせた通称です。現在では両線の運行はほぼ一体化しており、近鉄でも両線を分けずに内部・八王子線と称しています。ちなみに八王子線の名称ともなった西日野~伊勢八王子間(1.6㎞)は水害で罹災して1976(昭和51)年に廃止となっています。

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▲内部・八王子線のホームは本線の高架下にある(左)。右は運転台向きに並んだ一人掛けクロスシートのク110形車内。'10.7.19 近鉄四日市
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近鉄四日市駅の内部・八王子線の乗り場は、名古屋線、湯の山線の本屋改札をいったん出て、コンコースの突き当りの連絡通路・階段を降りた場所に位置し、まったく独立した奇妙なシチュエーションとなっています。しかもホームは高架下の狭隘なスペース。頭端式2線のホームに、見るからに小さな電車が出入りする様は現代の感覚からすると何とも不思議な光景です。

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▲日永で接続する内部線上り四日市行き(右)と八王子線下り西日野行き(左)。八王子線側のホームは半径100mの急曲線上にある。'10.7.19 日永
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▲日永駅ホームなどの急曲線に対処するために車端部が絞られているのがわかる(左)。右は日永駅下り方のスプリングポイント。'10.7.19 近鉄四日市/日永
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▲軌間が狭く線路内に上下のATS地上子を設けることができないため、内部・八王子線では上下列車用の地上子をそれぞれ軌間外の進行右側に設置している。左はその車上子。'10.7.19 内部
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内部・八王子線で活躍する車輌は260系14輌(3連4本、2連1本)。四日市方のモ260形は全長15.6mの電動制御車で、もちろん吊り掛け駆動。形態的にはあまり面白味のないスタイルですが、いかにもナローらしい一人掛けのクロスシートは一度体験してみたい当線ならではのものです。

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▲内部・八王子線用車輌は5編成14輌。基本的には各車がレインボーカラーと称する7色に塗られている。'10.7.19 小古曽−内部
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かつてはマルーンレッドにオレンジの2色を用いた近鉄塗装だった車輌ですが、2004(平成16)年から沿線の幼稚園・保育園の子どもたちの意見を参考にした7色(赤系・橙系・黄系・黄緑系・緑系・青系・紫系)に塗色変更されており、現在では広告ラッピングを施した車輌も見られます。シックな装いのかつての220系に親しんだ身にしてみれば何とも微妙な思いですが、内部・八王子線が奇跡的にナローのまま残されていることを思えば、やむを得ぬことなのかもしれません。

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