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くりはら田園鉄道は今...。

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▲見事に復原された若柳駅駅舎。アルミサッシの窓も木枠に戻された。なお、同駅舎は現役時代、東北の駅百選にも選ばれている。P:高嶋修一
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3年前の2007(平成19)年3月末に惜しまれつつ廃止となったくりはら田園鉄道ですが、実は保存活用に向けての整備が着々と進んでいます。先般、同鉄道の資料調査に現地を訪れた青山学院大学准教授の高嶋修一さんから画像とレポートをお送りいただきましたので、栗原市のご了解のもと、紹介させていただくことにいたしましょう。

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▲構内で保存されている車輌たち。動態保存が視野に入れられており、ふたたびその走行シーンが見られる日も遠くなさそうだ。P:高嶋修一
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高嶋さんがまず驚かれたのが、創建時の姿をイメージして復原された若柳駅舎だそうです。ご記憶の方も多いかと思いますが、晩年の若柳駅は窓のサッシ化をはじめだいぶ手が加えられてオリジナルの姿からかけ離れていましたが、ほぼ同一設計の沢辺駅舎が解体されたのを機会に、その部材を極力活かして復原が試みられたのだそうです。

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▲新設された保存用の屋根(左)。右は本屋側ホームから石越方を見たところ。動態保存線はこの方向に設定される予定。P:高嶋修一
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復原にあたっては細かいところまで徹底して配慮がなされており、たとえば窓の板ガラスも極力当時のものに取り換えられています。若柳駅は1921(大正10)年の建築。その頃の板ガラスは平滑度が低く、ガラス越しの景色が微妙に歪んでみえるもので、歴史的建造物の修復では、この板ガラスの確保が大きなネックとなっています。このほかにも引き戸のレールは竹製のものに、さらに電気配線にはレールファンでもある地元工務店の方が地道に蒐集されてきた陶製碍子が使われるなど、見事なまでの拘りようです。

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▲道路整備によって分断された構内。かつての検修庫もそのまま残されている。P:高嶋修一
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100404n005.jpg若柳構内に残された車輌も、すべて新たに屋根がかけられ、手厚く保存されています。計画では動態保存が行われることになっており、若柳駅跡から石越方面にむけて片道500mほどの運転が行われる予定です。検査設備も、現役時のものが道路整備による敷地の分断で使用できなくなることから、オリジナルの姿をイメージした新しいものが作られています。もちろんもとの検修設備(アーカイブ「北東北を巡る」参照)も残されており、将来的には公開可能な状態に整備を進めていくとのことです。
▲予定されている動態運転の終端部に新設された閉塞小屋と信号切替レバー。P:高嶋修一
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さらに驚くべきは、タブレット閉塞そのものを保存しようという試みです。保存運行の終着地点付近に新たに小屋を建設し、腕木式信号機を移設したうえで、現役時の閉塞器を利用して配線を引き直し、実際にタブレットの授受を行うことを可能にしてあります。

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▲閉塞器のテストが行われている(左)。右は夕暮れの若柳駅。実に印象的なシーンを見せてくれる。P:高嶋修一
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現在は公開に向けて準備中の段階ですが、駅に灯がともって機器のテストが繰り返されている様は、さながら新規開業の準備のようだったと高嶋さん。一昨年に亡くなられた岸由一郎さん(アーカイブ「岸由一郎さん遭難の報せに...」参照)がメンバーとなっていた、くりでん保存活用検討委員会の願いが、間もなく見事に実を結ぶことになります。公開開始の折りにはあらためて詳しくご紹介したいと思います。

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