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集煙装置装備となったD51 498。

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▲集煙装置と後藤工場式に準じた切取デフを装備してすっかり印象の変わったD51 498号機。明日から営業運転に入る。'10.4.28 高崎車両センター高崎支所 P:RM(小野雄一郎)
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先日、中間検査Bを終えて大宮総合車両センターから高崎車両センター高崎支所へと戻ったD51 498号機ですが、明日(4月29日)からの営業運転再開を前に嬉しいサプライズが用意されていました。なんと集煙装置と切取式除煙板が装備されたのです。

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▲その非公式側。これで外付けの重油タンク(現在はテンダ内に収納)が加われば、かつて山岳路線で見られた重装備D51の再来となる。'10.4.28 高崎車両センター高崎支所 P:RM(小野雄一郎)
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集煙装置は来る5月29日(土曜日)から始まる「SLやまなし」号の運転に備えたものです。これまでの中央東線での運転が塩山~甲府間の甲府盆地内であったのに対して、今回の運転区間は甲府~小淵沢間。勾配に加えて隧道区間が多く、その対策のためにわざわざ集煙装置が新製されることになったものです。

_DSC8610n.jpgあらためて簡単にご紹介すると、「集煙装置」とは集煙冠とも称され、煙突に取り付けて煙の流れを変える装置です。名称から煙を集めて減らす効果があると誤解されがちですが、あくまで煙の流量に変化はなく、隧道進入時に天井に叩きつけられた煙が渦を巻いて列車に纏わりつくのを防ぐために、集煙装置の上部シャッター(天窓)を閉めることで煙を上に上げずに後方に流す機能だけを備えています。1952(昭和27)年に北陸本線柳ケ瀬越えを担当していた敦賀機関区が考案したのがその嚆矢とされ、以後、急勾配と長大トンネルを持つ全国の機関区でさまざまな形態のものが使用されてきました(RMライブラリー西尾恵介『国鉄蒸機の装備とその表情』参照)。
▲僚機D51 499号機と同様に上部の折り返しが大きい後藤デフを装備してすっかり面相も変わった。'10.4.28 高崎車両センター高崎支所 P:RM(小野雄一郎)
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▲サイドビューを見る。この角度からだと中央本線の車輌限界に合わせた背の低い集煙装置は大きなデフレクターに隠れてしまう。'10.4.28 高崎車両センター高崎支所 P:RM(小野雄一郎)
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今回新製されたのは、外観から判断するに、蒸機現役時代もっともポピュラーであった「鷹取工場式」と呼ばれる形状のものをベースとしているようです。ただし、鷹取式はエアシリンダーによって上部シャッターの開閉を行いますが、この498号機用はテコによる手動開閉式となっており(成田冬紀「集煙装置の系譜」=『国鉄時代』vol.10所収)、その点ではかつて中央本線や篠ノ井線で見られた長野工場式に準じていると言えましょう。

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▲長野工場式に準じた手動式の集煙装置の動作。左が通常、右が上部シャッターを閉じた状態で、煙は集煙装置後部へと誘導される。'10.4.28 高崎車両センター高崎支所 P:RM(小野雄一郎)
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_DSC8622n.jpgさらにデフレクターも切取式に変更されています。これまでのC57 180号機や58654号機、さらには昨年秋に衝撃的なデビューを飾った秩父鉄道のC58 363号機はいずれも小倉工場式のいわゆる"門デフ"ですが、今回D51 498号機に装備されたのは1番違いの499号機に装備されていた後藤工場式に瓜二つのスタイルとなっています。関 崇博さんの『門鉄デフ物語』によれば、これは"G-3"タイプと呼ばれるもので、同形態のものはD51 499号機とD51 727号機の2輌のみ。一見すると"象の耳"のような上部の折り返しと、アールを描いた前支えと後支えが堂々たるイメージを与えてくれます。
▲機関助士が握っている棒を前後に操作することで集煙装置の開閉を行う。なお、キャブには楕円形の鷹取工場の製造銘板(レプリカ)が取り付けられている。'10.4.28 高崎車両センター高崎支所 P:RM(小野雄一郎)
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▲498号機とは1番違いの499号機は1957(昭和32)年に後藤工場でこの独特のデフを装備した(『門鉄デフ物語』による)。デフ側面中央には後藤工場標準車のマークが取り付けられていた円形の跡が見て取れる。'72.8 関西本線柘植駐泊所 P:名取紀之
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まさか2010年の世に"新品"の集煙装置と後藤デフが誕生しようとは夢にも思っておりませんでした。この生まれ変わったD51 498号機は明日(4月29日)の「SL碓氷」号から活躍を開始し、連休中の「SLみなかみ」号でもその姿を見られるはずです。

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▲中央本線・篠ノ井線で活躍したD51は長野工場式集煙装置に重油タンクが標準装備だった。なかには長工デフと通称された切取除煙板を装備したものも多く、フロントビームに塗られた"白ひげ"とともに信州のD51をイメージ付けていた。498号機がこんなシーンを再現してくれれば...。'67.2.19 篠ノ井線姨捨 P:笹本健次
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※今週金曜日(4月30日)15時30分からのNHKラジオ第一「金曜旅倶楽部」で「絆が守ったミニ鉄道」(→こちら)と題して、20分ほどひたちなか海浜鉄道のお話をいたします(生放送)。連休中でもありますので、お時間のある方はぜひお聞きください。全国どこからでもお聞きになれます。

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