鉄道ホビダス

正しい「電略」。(下)

100114n2984.jpg
▲運転関係電略に見る「サボ」。もちろん「列車行先札」の電略で、ファン用語としてもすっかり定着している。ちなみにその下の「ビト」は尾灯を示す電略。

ひき続き、岡田誠一さんからお借りしている昭和34年9月17日『鉄道公報』通報別冊『鉄道電報略号』(国鉄電気局)より、趣味的にも興味深そうな「電略」の数々をご紹介してみることにいたしましょう。

000n058.jpg000n059.jpg
▲略号別(イロハ順)の一部。「ハ」は3等(普通車)の意味とともに、「発」の意味も持つことがわかる。入場券は「ニサツ」、特急券は「トクサツ」となる。 (昭和34年9月17日『鉄道公報』通報別冊『鉄道電報略号』国鉄電気局より抜粋)
クリックするとポップアップします。

電略はカタカナ1~4文字の配列によってさまざまな意味を表しますが、重複を避けるために時には“荒業”も使われます。その代表例が基本的に2文字で表記される駅名で、中央線飯田橋を「イイ」、隣の飯田町(貨)を「イヒ」のように使い分けるのは、まさに苦し紛れのあげくでしょう。なかには浜松町=ハテ、田町=チタのように判じ物の翻訳(?)も出現してしまいます。ただ、もちろんこの荒業を駆使しても全国の駅名を網羅できるわけはなく、管理局を超えて使用できる「全国共通駅名」が設定されていました。同じ電略「トタ」でも、東京鉄道管理局内では豊田を示し、全国共通駅名としては十和田南(盛岡局)を示すといった具合です。

000n062.jpg000n075.jpg
▲同じく略号別の一部(左)。現在でも現場では有蓋貨車を「ヤネ車」と通称するが、電略も「ヤネ」であることがわかる。右は気象通報略号で、これまたきわめて詳細に取り決められている。 (昭和34年9月17日『鉄道公報』通報別冊『鉄道電報略号』国鉄電気局より抜粋)
クリックするとポップアップします。

もっとも難解と思われるのが鉄道気象通報略号で、概況、風、雨、災害など、群別に細分化されて事細かに定められています。たとえば次の例文…
「トウ1123テケニ1100 1アトメ2ウタミ3カマシム4ソヘアミレ5シソハコソネ6ツ」
は、「東京1・2・3鉄道予報区は暴風雨になる(テケニ)。11:00発表。台風が当地方の南方を通過する見込み(アトメ)で、南部では暴風雨になり(ウタミ)、今日夕方から強くなり、明朝には弱くなる(カマシム)模様。北東の風のち北西の風、全域ともに最大風速は30メートル以上の見込み(ソヘアミレ)。山岳地帯では雨量は200ないし300ミリ、平野部では100ないし150ミリの見込み(シソハコソネ)。大きな災害を引きおこすおそれがある(ツ)」…と読み取れます。

000n125.jpg000n126.jpg
000n127.jpg000n128.jpg
000n129.jpg000n130.jpg
▲東京鉄道管理局管内各駅の電略一覧。ほとんどは今日でも変更されることなく引き継がれている。 (昭和34年9月17日『鉄道公報』通報別冊『鉄道電報略号』国鉄電気局より抜粋)
クリックするとポップアップします。

携帯も電子メールも無線も当たり前の現代から見れば、なんとも信じられないほど原始的なツールではありますが、この鉄道電報略号が築いた独自の文化は、これから先も底流として生き続けてゆくに違いありません。
最後に、資料をご提供いただいた岡田誠一さんに重ねて御礼申し上げます。

hirota_2.jpg

レイル・マガジン

2010年1月   

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.