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2008年02月20日

RMライブラリー新刊は『日本の蒸気動車』。

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▲唐津線山本駅に停車するキハ6414。1913(大正2)年に鉄道院九州鉄道管理局に配置された汽車会社製工藤式蒸気動車のうちの1輌である。'37.1.7 所蔵:湯口 徹(RM LIBRARY103『日本の蒸気動車(上)』より)
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これまでにも消えた地方私鉄や知られざる国鉄車輌など、従来あまりスポットの当てられることのなかった題材を積極的に取り上げてきたRMライブラリーですが、今月と来月の2ヶ月にわたっては究極のマニアックなテーマ、湯口 徹さんによる『日本の蒸気動車』をお届けします。

rml103hyou1.jpg「蒸気動車」という車種に“?”と思われる方もおられると思いますが、端的に言えば蒸気機関によって自走する客車のことです。日本では1905(明治38)年に瀬戸自動鉄道(現・名鉄瀬戸線)が導入したフランス製「セレポレー式」車が営業運転における嚆矢であり、続いて近江鉄道など幾つかの鉄道がオーストリア・ハンガリー(当時)製の「ガンツ式」を採用。そして1909(明治42)年に国産車「工藤式」が完成すると、鉄道院を含め各地の鉄・軌道でその活躍が見られるようになりました。

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▲汽車会社で製造された鉄道院6005形ホジ6010の公式写真。写真右側の台車が動台車。 P:汽車会社(RM LIBRARY103『日本の蒸気動車(上)』より)
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rml103boiler1a.jpgしかし、後を追うように内燃機関が発達してくるとその必要性は急速に薄れ、1930年代には多くが廃車されるか客車化されるかして姿を消してゆきました。第二次大戦による石油統制により生きながらえたものもありましたが、戦後間もなく、その歩みは完全に途絶えてしまいます。現在では博物館明治村に静態保存されているキハ6401(←鉄道院ジハ6006)が唯一の現存車です。
本書では日本で活躍した60輌あまりの蒸気動車たちを上下巻に分けて徹底解説。上巻では海外からの売り込みにはじまり、国産蒸気動車発達に至る全体像の解説とともに、鉄・軌道別の使用例を北から順に樺太庁鉄道から初瀬軌道(奈良県)までを収録します。
▲国鉄名古屋工場で復元修復中のキハ6401。機関部の取り外しのために煙突が2ピースとなっているのがわかる。なお、表紙もこの修復時の貴重なカラー写真。'63年 P:国鉄名古屋工場(RM LIBRARY103『日本の蒸気動車(上)』より)
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ところでこの工藤式蒸気動車、“両運転台”なのにお気づきでしょうか。そうです、転車台なくしても折り返し運転が可能なのですが、その構造たるや極めてプリミティブなもので、なんと屋根上を這わせたワイヤーによって機関側のレギュレータを開閉する機構となっていました。素人考えでも降雪対策や氷結防止はどうしていたのだろうと心配になりますが、蒸気動車の分布が極端に西日本偏重だったのもその辺と関係があるのやも知れません。

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▲夕張鉄道キハニ1竣功図。向かって左側が機関室である。もちろん鉄道省払い下げ車だが、西日本偏重の蒸気動車の分布のなかでは珍しい存在。(RM LIBRARY103『日本の蒸気動車(上)』より)
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湯口さんが切り拓いたと言っても過言ではない「特許」を再検証して傍証を固めてゆく手法はいつもながらお見事で、従来“定説”とされていたものが本書によっていくつも書き替えられてしまっています。今週以降将来にわたって、わが国で蒸気動車を語るからには、決して避けては通れない一冊です。

RMライブラリー『日本の蒸気動車』上巻
B5判・48ページ
定価:1000円(税別)/発売中

投稿者 名取紀之 : 2008年02月20日 15:31

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