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2008年02月24日

『フランス製糖軌道の70年』。

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▲フランスの製糖軌道の起源はそのままドコ―ビルの起源でもある。第3章「動力車」の冒頭を飾るのは500㎜ゲージ3.5tのオリジナル・ドコ―ビルと600㎜軌間のマレー・ドコ―ビル組立図。(“70ans de chemins de fer betteraviers en France”より)

先日、出社すると机の上に私個人宛の大きなエアメールが…差出人はと見ると、フランスの出版社“LR PRESSE”ではないですか。瞬間的にすっかり忘れていた記憶が甦りました。昨年秋にパリの“RAIL  EXPO”に参加した際に予約をしていた書籍が届いたのです。

70ans11a.jpgこのブログでもご紹介しましたが、“RAIL EXPO”会場で久しぶりに再会したレイモンド・デュトンさんにぜひ会わせたい人がいると、なかば強引に引き合わされたのがこの本“70ans de chemins de fer betteraviers en France”(『フランス製糖軌道の70年』)の著者であるEric Fresneさんでした。近々、フランスの製糖軌道の歴史をまとめた本を出版するので見てくれと、“Loco-Revue”誌で知られる“LR PRESSE”のブースへ。そこでエリックさんがごそごそとカウンターの中から取り出してきたのがこの本のゲラ刷りでした。

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フランスで砂糖など採れるのかと思われる向きもあるかも知れませんが、かのインダストリアル・ナローの祖ドコービルは、1873(明治6)年の甜菜(ビート)の大収穫の際にその臨機応変な輸送手段として考案されたもので、さらにフランスにおける製糖業の起源はナポレオンによる甜菜栽培の奨励にまで遡る歴史があると言われています。
▲ビートを満載した鉄聯くずれの貨車を牽いて併用軌道を行く。横の畑には収穫用荷車を牽く白馬の姿が…それにしてもよくぞこのようなカラー画像が残されていたものだ。(“70ans de chemins de fer betteraviers en France”より)

甜菜の栽培はパリ周辺のフランス北部を中心に大発展を遂げ、これにともなってビート輸送用の軌道が網の目のように張り巡らされてゆきます。本書を見ると1930年代頃がその最盛期であったようで、折りしも第一次世界大戦後に不要となった各国鉄道聯隊の車輌が大量にこの製糖軌道線に流れ込んでいます。つまりドコービルを核としながら、ペショやらコッペルやらボールドウィンやら、それこそありとあらゆる600㎜ゲージ車輌がこの製糖線網に集結したわけです。

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▲第一次世界大戦後は各国の鉄聯車輌が製糖軌道に払い下げられ、さながら600㎜ゲージの見本市の様相を呈した。クリーン・リントナー遊動輪装置を備えるドイツ鉄聯機も使用された。(“70ans de chemins de fer betteraviers en France”より)

本書は「歴史」、「組織・運転」、「動力車」、「トレーラー」の4章に分けてその全貌をまとめたもので、144ページ(オールカラー)の中には200枚以上の写真と図面が収められています。ことに車輌図面はすべて7㎜スケール(1/43.5)に統一されており、その辺にはモデラーでもあるエリックさんの拘りが感じ取れます。

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▲内燃機関車もまさに百花繚乱(左)。各種の貨車についても詳細な図面を添えて細かく解説されている(右)。(“70ans de chemins de fer betteraviers en France”より)
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お二人にぜひと勧められては逃れるわけにもゆかず、予約書類もなにもなく現金だけを渡してきただけに、ある面ではドーネーションと割り切って忘れつつありました。それだけに送られてきた本書を手にして再びあの会場の熱気を思い出し、感慨もひとしおでした。エリックさん(かなりお若い方です)の情熱の結晶であるこの“70ans de chemins de fer betteraviers en France”(『フランス製糖軌道の70年』)、仏和辞典を片手にゆっくりと拝見しようと思っています。

投稿者 名取紀之 : 2008年02月24日 22:15

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