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2008年01月18日

上毛電気鉄道大胡車庫を訪ねる。(下)

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▲大胡駅ホームから電車庫と反対の桐生方構内をのぞむ。32年前(写真下)の好ましい貨物ホームは姿を消し、直営バスも現在ではタクシー会社が運行するミニバスとなっている。ただし背後の建物はまったく変わっていない。出発信号機に掲げられた「これよりタブレット閉そく区間」の表示に注目。'07.12.1/'76.5.16
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木造平屋の駅本屋に島式1面のホーム、それをはさむように上り方には電車庫、下り方には小さな貨物ホームと、大胡駅は模型にお誂え向きの構内レイアウトです。かつて『模「景」を歩く』を連載していた際にも、何度かこの大胡駅を取材対象にノミネートしたのですが、廃止が迫った地方私鉄の取材が優先され、ついつい後回しになってしまいました。

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▲電車庫内の機械室。小型電動機からプーリーとベルトで天井に這わせたシャフトを回転させ、そこから再びベルトで各工作機械を駆動させる極めてプリミティブな構造。もちろんこの設備が残っていたことも有形文化財指定の要因だったようだ。'07.12.1

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▲木造トラス構造の電車庫天井を見上げる。梁の碍子を辿って電線が伸びているのがわかる。右は庫内のレールで、ドイツはグーテ・ホフヌングス(G.H.H.)社製。1927年の陽刻から開業時のレールと推察される。'07.12.1
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有形文化財に登録された電車庫は、2線の木造矩形庫の北側に事務室、機械室、倉庫、鍛冶場、そして浴室が、南側には食堂、宿直室、電気作業所が併設された構造で、昭和期には各地で目にすることができた地方私鉄の典型的スタイルです。なかでも各種工作機械が並んだ機械室は圧巻で、現在は使われてはいないものの、電動機からベルトとプーリーによってそれぞれの工作機械に動力を伝える方式は、まさに工業技術博物館(日本工業大学)の展示そのもの。かつては隣接する鍛冶場とともに、ほとんどの修理はこなしていたとのお話で、言うなれば上毛電気鉄道の80年を影で支えてきたわけです。

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▲再び32年前の構内をご覧いただこう。このデハ220形224号は省電モハ50の成れの果てで、国鉄時代はクモハ11444。良く原形を留めていたが、西武鉄道から351系(→上毛デハ230)が転入してきたことによって廃車された。'76.5.16
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oogo2n.jpg昨年惜しくも廃止となったくりはら田園鉄道の若柳電車庫、さらには非電化ながら鹿島鉄道の石岡機関区も一脈通じる“古典的”な佇まいでした。とりわけ石岡機関区の庫内にあった工作室(機械室)は、大胡庫と同様のベルトとプーリーによる伝動方式が最後まで実用されており、今でも強く印象に残っています。ちなみに関東圏でこういった雰囲気の工作室が健在なのは、思い当たる限りではあとは小湊鐵道五井車庫くらいでしょうか…。
▲TR10を履き13mとショーティーな2扉車はクハ10形11号。もとは川崎車輌製の木造電動貨車で、馬来工業(日本鉄道自動車)が大胡庫で出張工事を行って半鋼製車体となったと伝えられている。すでにこの時点で使われてはいなかった。'76.5.16
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▲デハニ52を先頭にした西桐生行きが到着、続々とお客さんが降りてくる。この時代、ここ大胡に限らず地方私鉄の中間主要駅はまだまだそれなりの賑わいを見せていた。'76.5.16
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昨秋の日本鉄道保存協会年次総会の基調講演にもあったように、現在、登録有形文化財指定の建造物は総数6263件。しかしながら鉄道関連はそのうち90件にしか過ぎません。そんな状況の中で、上毛電気鉄道では大胡駅関連の7件の建造物のほかにも、荒砥川橋梁(大胡−樋越間)と西桐生駅が登録文化財となっています。本年11月に迎える開業80周年とあわせ、これらの文化財の活用がおおいに期待されるところです。

投稿者 名取紀之 : 2008年01月18日 18:38

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