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2007年12月16日
RAIL EXPOの旅。(9)
第9回:バトルフィールドの600㎜。
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▲フロント(前線)への600㎜軌道はまさに“兵站線”。アメリカ鉄聯2-6-2サイドタンク機が牽く物資列車がキャンプに戻ってきた。'07.11.25
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しばらく中断しましたが、話をRAIL EXPOに戻しましょう。
会場のグランドームに展示された個性的なレイアウト群の中でも異彩を放っていたものに、イギリスのサークル“Greenwich & District Narrow Gauge”が持ち込んだ4㎜スケール(1/76)の“Willesden Junction War Department Light Railways”があります。
バックヤードを除くディスプレー部分だけでも全長7.1mと巨大なこのセクション・レイアウト、第一次世界大戦時の600㎜(1"11 5/8")ゲージの野戦軌道をモチーフとしたものです。わが国でもドイツのプラクティスを用いた鉄道聯隊が独自の発展を遂げましたが、模型の世界となると車輌構造の特殊性もあってかほとんど製品化されることなく、かつて花園製作所が製造した「双合」が記憶に残る程度です。
▲“Brigadelok”(旅団機関車)の異名を持つドイツ鉄聯のDタンクの姿も。実際に西部戦線の軌道は敵軍機も取り込んで膨張していった。'07.11.25
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▲WILLESDEN JUNCTIONの庫で離合する2-6-2サイドタンク機たち。モデルそのものはメリディアン・モデルの4㎜スケール(1/76)キットと思われる。'07.11.25
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それに比してイギリス、フランス(それにオーストラリア)のナローゲージ・モデリングの世界では、600㎜ゲージの軍用鉄道は根強い人気があり、各種スケールでさまざまな車輌が製品化されています。実際今回のRAIL EXPO会場でもかなりの数の製品、作品を目にすることができました。
第一次世界大戦の戦況に詳しくない多くの日本人にとっては、彼らがなにゆえ今さらながらに興味を持つのかいぶかしく思いがちです。同大戦最大のバトルフィールド(戦場)となったフランス北東部のいわゆる「西部戦線」では、広大な農村・農地でとめどない塹壕戦が繰り広げられ、その兵站線として重要な役割を担ったのが600㎜ゲージの野戦軌道でした。ドイツ軍と対峙するフランス軍、イギリス軍(本国イギリスのほかカナダ、オーストラリア)、さらには遅れてアメリカ軍のいわば各国鉄道聯隊がこの西部戦線に車輌を送り込み、600㎜の軌道網は信じられないほどの拡大を見せたのです。
▲WILLESDEN JUNCTION全景。7つのモジュールからなる全長は7.1m、幅は61〜91.5㎝。'07.11.25
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▲Greenwich & District Narrow Gaugeではそのバックボーンやヒストリーの展示・解説にも力を入れている。ちなみにバックヤードもかなりの規模で、手を触れることなく編成替え等も可能。'07.11.25
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もちろんドイツ鉄道聯隊も大量の機関車等を投入し、西部戦線で向き合う両陣営は、それぞれの600㎜軌道を奪い合いながらの戦闘を続けます。ですから連合軍側が捕獲したドイツ鉄聯機をそのまま自軍機として使用する状況も散見され、純粋に趣味的見地からすれば、過去に例のない600㎜ゲージ車輌の大集合が実現したこととなります。
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▲衛生車を牽く甲虫のような異様な機関車はシンプレックス・プロテクテッド・バージョン。イギリス軍の野戦用内燃機関車で、西部戦線には200輌以上が投入されたとされる。'07.11.25
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▲大規模なウァイ(WYE=デルタ線)はいかにもアメリカ鉄聯らしいミルキーウェイ・ジャンクションという名称(左)。バトルフィールド(戦場)だけに被弾した戦車の残骸も…(右)。'07.11.25
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▲留置されているのはイギリス鉄聯のクラス“D”と呼ばれる10t積無蓋車。なぜか三脚を構えるカメラマンの姿が(左)。右はWILLESDEN JUNCTIONに立ち並ぶ軍用倉庫群。'07.11.25
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そんな背景もあってか、とにかく彼の地のナローゲージャーにとって600㎜の軍用軌道は一大勢力分野を築いています。この“Willesden Junction War Department Light Railways”でも、アメリカ軍が大量に持ち込んだ1C1サイドタンク機(ボールドウィン、バルカン、アルコなどで短期間に大量生産された)や、英国のシンプレックス、さらにはドイツ鉄聯のDタンクなどが縦横無尽に走り回っており、ほかではありえない状況にこのジャンルの人気の源泉を垣間見た思いでした。
投稿者 名取紀之 : 2007年12月16日 08:11

