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2006年05月07日
博山水泥のこと。(上)

青島(チンタオ)から280キロあまり、中国・山東省のほぼ中央、緇(し=実際はさんずい)博を起点にした博山線(延長49km)は、ちょっと不思議な雰囲気の漂う支線でした。というのも、沿線各所に見られるロシア建築と、日本のプラクティスが垣間見られる博山線、それにひとたび町に繰り出せばドイツ風の黒ビールに本格的なソーセージと、それはまさにかつて教科書で学んだ“山東問題”の縮図を見るようだったからです。
▲砂塵を巻き上げて工場へと向かうB凸牽引の鉱石列車。'97.3.21

▲博山は山東省のほぼ中央部に当たる。現在では青島から済南まで高速道路があり車でも比較的容易くアプローチできる。
この博山線を訪れるきっかけとなったのは、途中の大昆崙駅から炭礦までのびていた西河礦の専用軌道でした。本誌の“World Steam Report”でも紹介したことがありますが、当時、この専用軌道にはメーターゲージのコッペル製Eテンダー機が健在でした。C2やC4といった規格型の2'6"機ばかりになってしまった中国にあって、メーターゲージのしかもコッペルが生きているとあっては、はせ参じぬわけにはゆきません。
ただ、今回のテーマはこの西河礦のコッペルではなく、一駅先の博山駅に入ってくる「博山水泥」の専用軌道です。水泥とはよく言ったものでセメントのこと。博山地区は古くから陶器の産地として知られており、現在ではセメントをはじめ、周辺には耐火材料工場が集中し、その多くが博山駅へと出荷しています。日本で言えば葛生のような駅とでも言いましょうか、「何かありそう」という予感が的中したのがこの博山水泥の軌道でした。
▲博山線を跨ぐ専用軌道の大コンクリート橋の上から見下ろした博山駅構内。'97.3.21
大冊『中国鉄道駅名詞典』によれば、博山駅の開業は1903年とたいへん古く、済南鉄路局青島分局に属する三等駅ながら、貨物取扱量はかなりの多さです。博山水泥の軌道は駅北東の原石鉱山のサイロから、駅に隣接するセメント工場のオアビンまでの2キロほどを結ぶ900ミリゲージの電化線。それだけなら他所にもありそうに思えますが、この2キロほどのロケーションが実にバラエティーに富んでおり、インダストリアルナローに興味を持つ、しかもモデラーの端くれとしては強いシンパシーを感ぜずにはいられませんでした。
▲開業当時の佇まいを残す博山駅駅舎。中国離れした造り。'97.3.21

▲「ZL14−TH形」と呼ばれる14t凸電。架線電圧は550V、ゲージは珍しいメトリックの900mm。'97.3.21


▲同形の予備機とその銘板。こちらは1973年9月「常州内燃機車廠」製造とある。'97.3.21
所属する機関車は2輌。いずれもZL14形と呼ばれる各地で見かける規格型電気機関車で、さして珍しいものではありませんが、その運転頻度たるや結構なものです。原石鉱山のサイロで鉱車に積み込みが完了するとすぐに発車。博山線を目もくらむような高いコンクリート橋で越え、未舗装の併用軌道から今度はアパートや商店の立ち並ぶ街区へ。さらに踏切番のいる踏切を越えて再び併用軌道へと進み、工場のホッパービンに原石をダンプすると、休む間もなく今度は推進で戻る…そんな運転を24時間行っていると言いますから驚きです。
▲鉱車は万国共通原理のダンプカーながら、足回りはコロ軸にバネとなかなか凝っている。'97.3.21
投稿者 名取紀之 : 2006年05月07日 22:22

