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2005年11月20日
そろそろ出番です。

中華鍋洗い、易者の易棒、はたまた肩叩き…何だかよくわからないこの物体、実は「ささら電車」の“ささら”です。山口県萩市産の孟宗竹だそうで、手元の実物を実測したところではひと束の直径はφ35、長さは285㎜。札幌では9日に初雪を観測し、いよいよこの“ささら”の出番も間近です。
▲ささら竹の先は3mm角に裂かれ、一束で約150本。それが50束まとめてひとつの木台に取り付けられ、さらにその木台8本が一組として回転軸に放射状に取り付けられる。つまり片側で400束、それが前後に取り付けられるわけだから、1輌=800束、12万本のブラシが路面の雪を掻くことになる。

この「ささら電車」、札幌市交通局の前身・札幌電気軌道の技師長が大正時代に台所で使っていた竹箒(ささら=米びつなどを洗うのに使う)にヒントを得て発案したものとされ、それ以来延々とこのプリミティブな装置が使われ続けてきました。素人考えではもっと画期的な除雪方法がありそうにも思えますが、舗装路面を傷付けずに効果的に除雪するのはこの孟宗竹製ささらに勝るものはないそうで、現在でも札幌と函館の市電でこの「ささら電車」が活躍を続けています。
▲30年前の札幌市交「雪」。旋回窓のサイズが違うなど細かい点以外は現在の姿とほとんど変わらない。右後方には現在では交通資料館に保存されているプラウ式排雪車「雪11」の姿も見える。'75.3
正式にはブルーム(Broom=箒)式排雪車と称されるこの「ささら電車」は、現在札幌市交に4輌、函館市交に2輌が現存していますが、これからの季節、毎日初電前に必ず出動する札幌と異なり、函館の方は自動車除雪への転換が進み、出動回数は少ないようです。同市交通局のホームページによれば、先週17日に駒場車庫から五稜郭公園折り返しで今シーズン初の試運転が行われたようです。
▲いつ見ても奇妙な札幌市交ブルーム式排雪車正面。ちなみに、よく見ると旋回窓の支持枠は水平方向で、JR等の縦方向と90度逆。旋回窓自体、船舶用のものを流用したのが最初と伝えられ、鉄道車輌の場合は視認性から船舶と90度逆の縦方向の支持枠になったと伝えられているだけに、なぜ札幌市交は船舶と同様なのか不思議。


▲「雪1」と5年ほど前に登場した最新鋭の雪10形「雪11」(写真下)。雪10形は従来チェーン駆動(25馬力)だったブルームの駆動を低騒音型の油圧とした新鋭で、フランジウェイの氷結を取り除くアイスカッターも装備している。
札幌市交通局のホームページによると、ささら電車4輌の年間走行距離は7000kmにも達するそうです。車輪と逆方向に毎分255回転するブラシは走行距離700〜800kmで交換せねばならず、ひと冬で2〜3回交換するため、実に1シーズンで7000〜8000束のささらを消費することになります。
▲函館市交では排雪車「排3」と「排4」が健在。どちらも戦前、しかも昭和ひと桁生まれの東京市電が出自で、車体構造など札幌のものより数段古めかしい。残念ながら近年では事業用自動車による排雪が定着し、なかなか本番の出番はないようだ。写真は30年以上前の姿で、モニタールーフが古めかしい。'73.3 駒場車庫
ブルーム式除雪電車というと札幌と函館だけのように思われがちですが、実は旭川電気軌道にもまったく同じシステムを使った排雪車が存在しました。1931(昭和6)年汽車会社製のこの車、元は旭川市街軌道のもので、旭川電気軌道では同線の廃線まで「無番」の除雪車として使用していました。
▲'72.5 旭川追分 P:笹本健次
投稿者 名取紀之 : 2005年11月20日 23:34

