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2005年11月05日
常紋の季節。

RM次号の特集は「冬こそ北海道!」、いよいよ始まる風雪の大地への誘いです。そしてこの季節になると思い出すのが、昨年3月の石北本線9061・9062列車添乗取材です。
石北本線に3往復設定されている季節・臨時貨物列車は、DD51重連の牽引とあってかねてより大きな人気を呼んでいましたが、厳冬の常紋を一人乗務で超える過酷さは想像に余りあり、「SL甲組の肖像」を連載いただいている椎橋俊之さんに是非ルポをお願いしたいと考えていました。幸いにもJR貨物の全面的なご協力をいただき、この季節の運転が終了する直前の3月9日に、遠軽〜北見間往復(9061レ・9062レ)の添乗取材が実現することになりました。
▲ DD51 1059号機の運転台より先頭本務機DD51 1166号機を見る。キャブ内は快適な温度に暖房が効いているが、やはり号機によって暖房の効きの悪いものもあるという。'04.3.9


写真は今や椎橋さんとのゴールデン・コンビともいえる広田尚敬さんにお願いし、責任者として私も同乗することになりました。
当日の北見地方は鉛色の空から小雪が舞うあいにくの天候でしたが、これが吹雪くほどになってしまうと撮影どころではなくなってしまいますから、かえってこの季節の石北本線の厳しさをお伝えするにも絶好の条件だったといえます。
▲蒸機時代に足繁く通った遠軽駅本屋はそっくりそのまま残っていた(左)。右は本屋改札付近から見た遠軽の象徴・瞰望岩(がんぼういわ)。かつて9600たちがたむろしていた扇形庫は跡形もない。
仕事でDD51重連に添乗するのは実はこれが2回目でした。最初はまだ国鉄時代の八高線八王子〜高麗川間ですが、武蔵野の面影が残る長閑な丘陵地帯と、雪に閉ざされた北海道の大自然…運転台の窓から見える光景によって同じDD51がまるで別の機関車のように思えるから不思議です。
▲遠軽を後に、いざ常紋めざして歩みを進める9061列車。安国付近まではDD51重連にとってはとるに足らない軽い勾配で高速運転が続くが、中間台車を持つDDの乗り心地はすこぶる良い。'04.3.8

北見から遠軽への折り返しは20時10分発、とっぷりと暮れた雪道は北見から遠ざかるにしたがって街の灯も見えなくなり、DML61Zのエンジン音だけがキャブを覆ってゆきます。この日は私たち取材組3名と、説明役の指導さん合わせて5名の乗車ですが、当然通常は運転士1名だけの乗務です。人家さえない雪に閉ざされた闇夜の原生林に分け入ってゆくその孤独と厳しさは、実際に添乗してみると改めてひしひしと実感されるのでした。
▲次位補機のキャブから本務を見る。時折、踏切の照明がボワッと一瞬本務機を照らし出し、踏切警報器の電子音がドップラー効果とともに後ろに流れてゆく。

本誌2004年8月号(No.251)でこの添乗ルポをお伝えしたすぐ後に、遠軽駅での入換え作業の合理化のために補助機関車が後部補機に変更となってしまい、常紋を越えるDD51重連の姿は見ることができなくなってしまいました。しかし、考えようによっては、蒸機時代から常紋の補助機関車は後補機が定位置、それほど落胆することもありません。紅葉シーズンから雪景色へ。この冬も常紋は多くの名シーンを生んでくれるに違いありません。
▲真っ暗闇の149キロポスト付近を常紋めざして攀じ登る。乗務員にとって前照灯に幻惑されて飛び出してくるエゾシカが一番怖いという。
投稿者 名取紀之 : 2005年11月05日 22:35

