2014年07月23日

立山砂防 取材余話。

140723n001.jpg
▲七郎スイッチバック4段目を登る2tモーターカー「はやぶさ」。崖下は目もくらむ谷。左斜面には大崩落が見える。'14.6.17 鬼ヶ城-樺平
クリックするとポップアップします。

RM本誌最新号では国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所のご協力を得て、ひさしぶりに立山砂防工事専用軌道を取材させていただきました。ひさしぶりというのは、かつて連載『模「景」を歩く』で同軌道を詳細に紹介させていただいたことがあるからですが、この取材が1996(平成8)年10月のことでしたから、本誌としては実に18年ぶりの正式取材となります。

140723n002.jpg
▲起点・千寿ケ原の朝は活気に満ちている。組成を終えた貨物列車が次々と現場を目指して発車してゆく。'14.6.17 千寿ケ原
クリックするとポップアップします。

140723n003.jpg立山砂防工事専用軌道は、立山カルデラから崩れ落ち、わが国最大の河床勾配を持つ常願寺川を伝って富山平野を襲う土石流を未然に防ぐ砂防工事のために敷設された610㎜軌間の軌道で、富山地方鉄道立山駅横の千寿ケ原を起点に、終点の水谷まで延長17.7㎞を結んでいます。そしてその最大の特徴は樺平の連続18段を筆頭に、合計38カ所のスイッチバックを擁していることです。まさに国際的にも屈指のインダストリアル・ナローと言えます。しかし、極めて危険な地域を走る工事専用軌道だけに、当然のことながら乗車はもとより立ち入りも厳しく制限されており、これまでにも正式な取材協力のもとに車輌や施設の詳細まで紹介したのは、鉄道誌としては先述の『模「景」を歩く』(のちに単行本化)が唯一です。
▲最初のスイッチバックへと向かう混合列車。'14.6.17 千寿ケ原
クリックするとポップアップします。

140723n004.jpg
▲一昨年完成した新鬼ヶ城トンネル(214m)だが、昨年春に下流側坑口付近で大規模な岩盤崩落が発生、現在は旧トンネルを通過する暫定処置が行われている。崩落地点には生々しい土嚢の山が...。'14.6.17 桑谷-鬼ヶ城
クリックするとポップアップします。

140723n005.jpg今回は連載「広田尚敬の視線」の取材がメインで、6月17日(火)に乗車取材を設定していただき、事務所との事前打ち合わせも兼ねて広田さんとともに前日に立山入りしました。とにかく梅雨の真っただ中とあって一番懸念されたのは天候です。極めて過酷な条件下を走る非営業鉄道だけに荒天時の運転見合わせは茶飯事で、撮影どころではなくなってしまう恐れさえあります。結果的に天気には恵まれ、これ以上ないほどの晴天となったのですが、逆に直前に一番のハイライト樺平18段スイッチバックの4段目で大きな倒木があり、残念ながら取材は千寿ヶ原~樺平間のみとなってしまいました。
▲桑谷連絡所で対向列車と交換。右は停車時間を利用して取材する広田さん。'14.6.17 桑谷
クリックするとポップアップします。

140723n006.jpg
▲鬼ヶ城スイッチバックは連絡所構内から1段目が始まる。1段目を上り始めた列車から続行列車(右)と、交換で千寿ケ原へと戻ってゆく人車列車(左)を見下ろす。'14.6.17 鬼ヶ城
クリックするとポップアップします。

それでも砂防事務所の皆さんの献身的なご協力と、広田さんの見事な"視線"により立山砂防工事専用軌道の生き生きとした姿を誌面に再現することができました。まだご覧になられていない皆さんもぜひともお目通しいただければと思います。

140723n007.jpg
▲樺平の18段スイッチバックとともに知られるのがサブ谷のΩループ。なんと半径7mでサブ谷橋梁を渡る。手前の枕木に付けられた赤い札は半径10m以下の急曲線標識。'14.6.17 樺平-鬼ヶ城
クリックするとポップアップします。

ちなみに私が初めて立山砂防軌道を訪れたのは今から39年前の1975(昭和50)年。それ以来たびたびこの軌道を訪れ、2000(平成12)年に建設省(当時)立山砂防工事事務所で開催された「国際トロッコサミット」では実行委員を仰せつかり、富山市内のコンベンション会場で行われたシンポジウムではこの軌道の国際的位置づけを論証するパネラーも務めさせていただきました。そんなご縁もあるだけに、今回の取材はさながらホームグラウンドに戻ってきたかのような気のするものとなりました。

140723n008.jpg
▲鬼ヶ城スイッチバックを登りきり次の七郎スイッチバックを目指す列車。右には七郎砂防堰堤が見える。'14.6.17 鬼ヶ城-樺平
クリックするとポップアップします。

国際的な観光地でもある立山黒部アルペンルートと立山カルデラの内外の位置関係にある立山砂防工事専用軌道。その特殊性ゆえにほとんど知られてはいませんが、2014年の現代に、これほどの大規模な特殊軌道が人知れず日々その任務を遂行しているのは、ある意味で奇跡とも言えるのではないでしょうか。

140723n009.jpg
▲終点の水谷は標高1,116m。まだ雪渓が残っており、あたりは新緑に包まれていた。'14.6.17
クリックするとポップアップします。

※明日より不在のため28日(月)まで休載させていただきます。

140718nRML180bn.jpg

kokutetsu38bn.jpg

国鉄車輌誕生秘話_bn.jpg

kikansyahyoubn01.jpg



ページTOPへ